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 スペイン語翻訳者になろう vol.532


おはようございます。ピーチです。
今回の課題文は、これまでの当メルマガ史上で、おそらく最も長いです。
だからと言って「今週はパス!」と一蹴せずに、ちょろっと目を通して
みて下さい。難易度は、初級から中級に移行したばかりの方々でも十分
対応できるレベルですし、日常的な会話文が多いので、どなたにも比較的
なじみやすいものと思います。
それにしても、新型コロナウィルスによる影響を、こういう角度で切り
取った記事は結構珍しいのではないでしょうか?
「分断」が世界のキーワードとなり、アメリカや欧州をはじめとした
世界の各地で「分断」が引き起こす政情不安が顕著になっている現在、
国家よりはるかに小さな構成単位である家庭の中にも「分断」は確実に
起きているのですね。「家族べったり」感のあったスペインにも
それが及んでいるのが意外ではありました(次号で、この続きを扱い
ますので、詳しいことはそちらで)
某大国の新大統領が訴えているように「分断から結束へ」とシフトして
いけるのでしょうか?(国も、家庭も)
コロナがこれ以上の分断を助長しないことを願うばかりです。

ところで、今回のメルマガでは、文章が長いために、レイアウトを
少し変えてあります。なにぶん課題文が長いので、少しでも見やすく
なるよう、工夫をはかりました。

それでは今週のメルマガに入ってまいりましょう。


  ※スペイン語の表記:このマガジンは比較的上級者を対象としている
   ことから、基本的にアクセントおよびティルデを入れていません。
   ただし動詞など重要な部分については入れることがあります。
   例)bajo → bajo'(動詞、三人称点過去の場合)

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┃ 「ちょくねりメソッド」で翻訳に挑戦しよう
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【コロナ時代の家族分断(1)】

◇本日の課題
(1)Desde que murio' su marido, hace 10 an~os, Carmen apenas tiene
noticias de sus hijas. "Se enfadaron conmigo porque me negue' a
malvender un terreno y, a partir de ahi, nuestra relacion se
enfrio'", cuenta.
(2)Sin embargo, ha sido durante la pandemia cuando ha sufrido con
mas intensidad los efectos del desapego y la soledad. "Ni ellas ni
mis nietos me han llamado ni una sola vez para saber co'mo estoy o
si necesito algo. Como si no existiera".
(3)Ante esta situacion, la mujer de 81 an~os, que prefiere no dar
su apellido, ha optado por legar todos sus bienes a una ONG. "Si no
quieren saber nada de mi, tampoco deberian disfrutar mi dinero cuando
me muera", afirma no sin cierto pesar.
(El Pais, 7 de noviembre)


【語注】
(1)
me negue'<negarse a...:〜を拒否する
malvender:投げ売りする
terreno :土地、地所
se enfrio<enfriarse :冷める、冷える
(2)
sufrido<sufrir:(よくないことを)経験する、耐え忍ぶ、我慢する
intensidad :強度
desapego :冷淡、無関心
(3)
legar :遺贈する
optado por<optar por:選択する、志望する
bienes:資産、財産
ONG :NGO、非政府組織
pesar :悲しみ、苦悩、後悔


【原文/直訳例(1)】
Desde que murio' su marido, hace 10 an~os, Carmen apenas tiene
noticias de sus hijas. "Se enfadaron conmigo porque me negue' a
malvender un terreno y, a partir de ahi, nuestra relacion se
enfrio'", cuenta.
10年前に彼女の夫が死んでから、カルメンは自分の娘達からの知らせをほとん
ど持たない。「土地を投げ売りするのを私が拒否したので、彼女たちは私に怒
りました。その時以来、私たちの関係は冷えました」と語る。

【原文/直訳例(2)】
Sin embargo, ha sido durante la pandemia cuando ha sufrido con
mas intensidad los efectos del desapego y la soledad. "Ni ellas ni
mis nietos me han llamado ni una sola vez para saber co'mo estoy o
si necesito algo. Como si no existiera".
しかしながら、無関心と孤独の効果を、より大きな強度で経験したのは、パン
デミックの間であった。「彼女たちも私の孫たちも、私がどうしているのか、
そして何かを必要としているかを知るために、一度も電話してきていません。
あたかも(私が)存在していないかのように」

【原文/直訳例(3)】
Ante esta situacion, la mujer de 81 an~os, que prefiere no dar
su apellido, ha optado por legar todos sus bienes a una ONG. "Si no
quieren saber nada de mi, tampoco deberian disfrutar mi dinero cuando
me muera", afirma no sin cierto pesar.
この状況を前に、名字を与えないことを好む81歳のその女性は、あるNGOに全
ての自分の資産を遺贈することを選択した。「私のことを何も知りたくないな
ら、私が死んだ時に私のお金を享受するべきではないでしょう」と幾らかの後
悔がないこともなく述べる。


【原文/練り訳例(1)】
Desde que murio' su marido, hace 10 an~os, Carmen apenas tiene
noticias de sus hijas. "Se enfadaron conmigo porque me negue' a
malvender un terreno y, a partir de ahi, nuestra relacion se
enfrio'", cuenta.
◎カルメンは、10年前に夫と死に別れて以来、娘たちから連絡をもらったため
しがない。「土地を安く売るのを私が嫌がったものから、娘たちが怒ってし
まってね。それ以来だね。関係が悪くなったのは」。
◎10年前に夫を亡くして以来、カルメンさんは娘たちと音信不通になりまし
た。「あの子たち、私に腹を立てたんですよ。バカみたいに安い値段で土地を
売りたくないと、私が拒んだものだから。それがきっかけで、親子関係が一気
に冷え込んだんです」

【原文/練り訳例(2)】
Sin embargo, ha sido durante la pandemia cuando ha sufrido con
mas intensidad los efectos del desapego y la soledad. "Ni ellas ni
mis nietos me han llamado ni una sola vez para saber co'mo estoy o
si necesito algo. Como si no existiera".
◎だが、娘たちの無関心と自分自身の孤独が前にも増して堪えるようになった
のは、新型コロナウイルスの流行が始まってからだ。「娘だけじゃなくて、孫
たちも電話の一本も寄越さない。おかあさん調子はどう?とか、何かほしい物
ない?とか、聞いてくれるもんだろ。まるで私なんかいないみたいだよ」
◎しかし、新型コロナウィルスが蔓延してからというもの、娘たちの冷淡さに
対してカルメンさんが感じる孤独がぐっと深まりました。「こんな時、母親に
対して、元気でいるか、不足はないか、尋ねてくるものでしょう?それなの
に、娘たちからも孫たちからも、なしのつぶてです。私のことなどすっかり忘
れてしまったんじゃないでしょうか」

【原文/練り訳例(3)】
Ante esta situacion, la mujer de 81 an~os, que prefiere no dar
su apellido, ha optado por legar todos sus bienes a una ONG. "Si no
quieren saber nada de mi, tampoco deberian disfrutar mi dinero cuando
me muera", afirma no sin cierto pesar.
◎名字を出すのは勘弁してくれ、というカルメンは、現在81歳。こうした事態
に、財産をすべて非政府組織(NGO)に遺贈することを決心した。「私のこと
なんかどうだっていいんだろ。だったら私が死んだって、お金を受け取る権利
はないよ」と語るカルメンだが、その顔には、いささか後悔の色がにじむ。
◎苗字は伏せることを条件にインタビューに応じてくれた81歳のカルメンさん
は、今回の一件を機に、全財産をNGOに寄付することに決めました。一抹の寂
しさを湛えながら、カルメンさんはこう話します。「私がどうなったって関係
ないのなら、死んだ時だけ遺産を受け取ろうというのは虫の良すぎる話です
よ」


◆編集後記◆
アースです。
いやあ、一般ピーポーのセリフを訳したのは、ほんと久しぶりでした。
専門の関係で、いつも企業CEOだの政治家だのの言ってることばかり訳して
いるので、自由度の高さが素晴らしい〜。(今回の練り訳は、どっちかが
アースでどっちかがピーチです。お互い、ほとんど手は入れていません)
CEOだの政治家だのの発言は、原文がどんなに稚拙であろうと、それっぽく、
かくちょ〜高く訳さないと、翻訳そのものの力量を疑われてしまいます
から、「大企業のCEOでこれかい。全部ひらがなにしたろか」とか思いつつ、
熟語を多用したり、美しい大和言葉をちりばめたりして、それらしく
するんですけどね。フェイクニュースの片棒を担いでいるようで、
ときどき、なんだかなな気分になります。
特に「場や身分にあった」表現を尊重する(強制する)日本社会なので、
仕方ないといえば仕方ないのでしょうが、例えば漫画や翻訳小説で、
女性といえば「〜ですわ」にしたり、おじいさんなら「〜なんじゃ」に
したり、現実的にあり得ない、というか誰もそんな表現使っておりません
わよ!な言い回しをいつまでも使い続けるのってどうなんだろう、と
思います。
でも・・
たぶんおそらくきっと saliente の某国大統領さんの場合、最初テレビで
あの方のツイートの訳を聞いたときに、「いや、もうちょっと大統領
らしく訳してあげれば?」と感じたものでしたが、実際の英語を見たら
まあモゴモゴモゴモゴ・・。

 

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