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 スペイン語翻訳者になろう vol.477


おはようございます。アースです。
昨日起きてカーテンを開けたら、家の前の畑が真っ白(゚ロ゚)。
今冬はなんともヌルイ寒さで、「冬だかどうだか分かりゃしない」との
わたしの発言を聞いていたかのごとく、ここ2、3日は暴風雨、落雷、
あられ、そして雪。
すみません、わたしが悪うございました。(ようやく桜の芽がふくらみ
始めてたのに、これでまた開花が延びるじゃんかブツブツ)

ところで先週の後記で、翻訳者のとるべきスタンスについてエラソーな
ことをいろいろ申しましたが、きょうの後記でピーチが書いています通り、
当然ながら、すんばらしー!!!!翻訳者さんも多数おられます。そう
いった方々が大いに報われる世の中になりますように。

さて、日本の女性首相誕生はいつのことやら、「女性閣僚」第2回に
入ってまいりましょう。


  ※スペイン語の表記:このマガジンは比較的上級者を対象としている
   ことから、基本的にアクセントおよびティルデを入れていません。
   ただし動詞など重要な部分については入れることがあります。
   例)bajo → bajo'(動詞、三人称点過去の場合)


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┃ 「ちょくねりメソッド」で翻訳に挑戦しよう
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【女性閣僚(2)】

◇本日の課題
De acuerdo con el mapa de las mujeres en politica, presentado en
Nueva York con motivo de la Comision de la Condicion Juridica y
Social de la Mujer, solo 10 de los 153 jefes de Estado electos en el
mundo son mujeres, lo que supone el 6,6 por ciento, frente al 7,2 por
ciento de un an~o antes. Entre los paises que cuentan con jefa de
Estado figuran Croacia, Estonia, Etiopia, Georgia, Malta o Nepal.


【語注】
mapa de las mujeres en politica:「女性政治参加マップ」
Comision de la Condicion Juridica y Social de la Mujer:「国連女性の
地位委員会」
jefe de Estado:国家元首、国の長

※mapa de las mujeres en politica は「女性議員比率に関する地図」
「女性閣僚の割合ランキング」と訳される場合もあるようです。
※Comision de la Condicion Juridica y Social de la Mujer の英語は
Commission on the Status of Women(CSW)


【直訳】
国連女性の地位委員会の目的でニューヨークにて公表された政治における女性
の地図によると、世界で選ばれた153人の国家元首のうち10人のみが女性であ
る、それは、昨年の7.2%に対して6.6%を意味する。女性の国家元首を持つ
国々の中には、クロアチア、エストニア、エチオピア、ジョージア、マルタ、
ネパールがある。


◇本日の課題(再掲)
De acuerdo con el mapa de las mujeres en politica, presentado en
Nueva York con motivo de la Comision de la Condicion Juridica y
Social de la Mujer, solo 10 de los 153 jefes de Estado electos en el
mundo son mujeres, lo que supone el 6,6 por ciento, frente al 7,2 por
ciento de un an~o antes. Entre los paises que cuentan con jefa de
Estado figuran Croacia, Estonia, Etiopia, Georgia, Malta o Nepal.


【練り訳例】
ニューヨークで開催された国連女性の地位委員会(CSW)で、「女性政治参加
マップ」が発表された。それによると、世界で選出された国家元首153名のう
ち、女性元首はわずか10名で、割合としては昨年の7.2%を下回る6.6%であっ
た。女性元首を擁する国としては、クロアチア、エストニア、エチオピア、
ジョージア、マルタ、ネパールが挙げられる。


◆編集後記◆
久しぶりに後記に登場・・のピーチです。
今回は(今回も)非常に長く、もはや後記とは言い難い状況となっていますの
で、お時間のあるときにどうぞ。(あれ、先週も似たような文言があったよう
な?デジャブかしら・・?)
         ☆         ☆
前書きでアースも触れていますが、巷には本当にプロフェッショナルで、感動
を呼ぶ仕事をする「ツワモノ翻訳家」もたくさんいらっしゃいます。

フィクションとノンフィクションを同じ俎上に載せることは難しいので、まず
前者を取り上げると、ラ米の小説でいえば、例えばアジェンデの「Paula」を
訳したS・K次郎氏、ホルヘ・フランコの「Rosario Tijeras」を訳したT村S子
氏などは、豊穣たる訳文の海の中で読者を泳がせ、スリリングで至福の数時間
を過ごさせてくれる手練手管をお持ちです(お2人ともわたしが憧れる「詩
人」でもあられます。やはり、「詩人最強説」は本物か?)。

後者では、最近読んで「訳、上手いなあ」と唸ったのが、スイス出身でホスピ
ス運動を世界に広めた精神科医エリザベス・キューブラー・ロス氏の「永遠の
別れー悲しみを癒す知恵の書ー」を訳したU・K氏(注:10年以上前に出版され
た本です)。

前号でアースが挙げた「X氏」の最新作を必死に堪えて読み、80ページまで
行ったところで力尽きて放擲した、丁度そのあとに読んだから・・というアド
バンテージは差し引いたとしても、この訳書の読みやすさといい、淀みない流
れといい、洗練された文体といい、おそらく原文ではかなり難解であると思わ
れる箇所の華麗なさばき方といい、巷に転がる駄訳(失礼・・)とは全く異次
元の領域に到達していると言っていいと思います。

推測ですが、U氏は、翻訳にあたり、全文を自分の頭で完璧に理解した上で、
決して原文から離れないように全体に統一感を持たせつつも、各文各語に最適
な日本語を入念に吟味した上で一つ一つ入れていくという、地道で時間のかか
る作業をコツコツ積み重ねられたのではないでしょうか。
「そんなの、翻訳家ならやってて当たり前じゃない?」
と言われそうですが、出版翻訳、実務翻訳問わず、その「当たり前」のことが
できていない訳者が世間にどれだけ多いかは、巷に出回る訳文の質の低さを見
ればお分りいただけるでしょう(そういった訳文を「酷い」と感じるセンサー
が壊れているらしい翻訳会社や出版社もあるようで、事態はさらに深刻かつ複
雑になってくるのですが、その話はアースが先週していますし、ここではやめ
ておきます)。流麗な文章を書く実力を備えた訳者は、自分の文体に酔って、
原文の世界観を損ねてしまう例も偶さかありますが、この本については、その
ような浮ついた箇所は(わたしの見る限り)皆無で、職人気質の堅実な仕事ぶ
りに、見習うべき点ばかりでした。

しかし、この作品、訳文が上手いだけでなく、内容も深くて示唆に富んでいま
す。一読して思わずメモを取りたくなったくだりも多々ありました。ここで
は、思わずハッとさせられた箇所を一つだけご紹介します。大切な人を失い、
悲嘆のあまり抑うつ状態になっている人への対処法について述べた部分です。

「悲しんでいる人に対するほとんどの人の最初の反応は、その人を元気づけ、
ものごとの暗い面ばかりをみずに人生のあかるい面に目を向けるように忠告
することだろう。「励まし反応」ともいうべきこの反応は、じつは励ます人
自身の必要から生じた表現であることが多く、いつまでも悲しんでいる人を
寛容に扱うことのできない、いわば励ます人自身の能力の限界の反映でもあ
る。」

うう、確かにその通りです。大切な人と「永遠の別れ」をした相手に対してで
はなくとも、何かに行き詰まって苦しんでいる人、辛いことがあって嘆き悲し
んでいる人などに対し、わたしたちの多くは「励まし反応」をしてしまってい
るのではないでしょうか。それが良いとか悪いとか言いたいのではなく、その
反応の理由が、励ます側の「寛容であることの限界」によるものだという説
に、著者の洞察眼や分析能力の非凡さを感知し、痺れるような衝撃を受けたの
です。

キューブラー・ロス氏は書いています。
「悲嘆のさなかにある人には自己の悲嘆を味わい尽くすことが許されるべきで
あり、黙ってその人のそばに寄り添う人こそが、そんなときに歓迎される人
である。」

残りの人生、そういう人を目指して生きたいものだ、と心から思いました。オ
リンピックの金メダルよりも、ノーベル賞よりも、本屋大賞よりも、遥かに困
難で尊い偉業かもしれません。(なぜ本屋大賞・・?いえ、単に「本」つなが
りからの連想でして、深い意味はないです)

この後にもキューブラー・ロス氏の滋味深い言葉が続くのですが、引用し続け
るときりがないので、関心を持たれた方は是非本書をお読み下さい。この本が
キューブラー・ロス氏の最後の著作です(正確には、彼女の弟子であるデー
ヴィッド・ケスラー氏との共著)。

 

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