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アースの皆既日食旅行記(12)

皆既帯の端に位置するレドモンドから、皆既時間が最も長いマドラスに向けて幹線道路を北上。腰を落ち着けて日食を観察できる場所を探す。しかしついに、道路が渋滞し始めた。

日本人的感覚かもしれないが、わたしはなんとなく、太陽なんて、屋根さえなければどこでも見えるのだから、いざとなったら道路の脇に車を止めて見る人が続出するんじゃないかと想像していた。

だが、路側帯に車を止めている人はほとんどいない。ジョンとサラも、そうした方法はまったく念頭にないようだった。(田舎道だけあって、停めようと思えば場所はいくらでもあったのだが、防犯その他の問題だろうか)

道路の両側は、ぽつんぽつんと家や店があるだけで、基本的には広大な農地や草原が続く。そんな道路で車が数珠繋ぎになって北を目指しているのだから、異常と言えば異常である。

農園の入口に、 Total Solar Eclipse $20/hour などとヘタクソな字で書きなぐった看板が現れることもあった。だが、そうした場所に入る車はほとんどない。農園の所有者にしてみれば、「あてがはずれた」というところだろうか。どんなところかちょっと見てみたい気もしたが、いまは時間がない。

時間がないなら、なぜそこに決めないのか、という疑問が出てくるかもしれない。どこの誰やら分からない人の敷地だからとか、1時間20ドルはちょっと高いんじゃね、とかいう理由もあるにはある。だが大きな問題は「人が少ない」ことにあった。つまり、ジョンの言うところの「他に誰もいない場所で少人数で楽しむか、Moment of Truth を大勢の人とシェアするか、どうする?」ということである。

(こう聞かれたときわたしは、Moment of Truth って・・おお、闘牛で言う La hora de la verdad のことじゃな!などと場違いなことを考えていた。たまにはスペイン語メルマガらしきことを言ってみる)

わたしとしては、静かに見るなら、ジョンとサラには悪いが、いっそ誰もいないところで、太陽と月とわたしだけで過ごしたい。だが3人でどうせ騒ぐことになるのなら、いっそ大勢で騒いだ方が楽しそうだ。2人も同じ意見のようだった。

レドモンドとマドラスのちょうど中間地点あたりで、住宅や学校、ガソリンスタンドなどが集まっている場所があったので、ここで北上を諦め、脇道に入った。

左側を見ると、農園の中に車が何台も駐車してあり、大勢の人が集まっている。門には 2017 Total Solar Eclipse の巨大な横断幕と、明らかに門番と分かる男性。試しにそこに入ってみることにした。

ジョン「ここって日食みるとこ?」
門番氏「あーえーと、予約あるの?」
ジョン「ない」
門番氏「んじゃダメェ。ほれ、もどったもどった」

と手を大きく振り回す。にべもないとはこのことか。こういうとき、クソ丁寧な対応に慣れきっている日本人としては、何やらものすごく冷たい印象を受けるが、当然ながらジョンやサラは平気である。そうか予約・・きっと1年くらい前から募集していたのだろう。

少し車を走らせると、Paid Parking Only ($20). Inquire at Shell と看板を出しているシェルのガソリンスタンドがあり、ここならトイレも食料もばっちりだということで、決めることにした。

見たところ、ガソリンスタンドの敷地全体で100台は停められそうだが、まだ30台くらいしかない。

今回、地元の多くの商店や農園が小金を稼ごうと目論んでいたようだが、たくさん稼げたのは宿泊施設とガソリンスタンド、大型のレストランくらいだったのではないかと思う。しかもたった一日だけである。

地元の人にしてみれば、世界中から日食バカがウンカのように集まり、地元をほんの一瞬覆い尽くして、あっという間に去って行った、という感じだったろう。効果より悪影響の方が大きかったかもしれない。バカを代表して、謝罪する。

まだ時間があったので周りを少し歩いてみると、いかにもアメリカらしく、巨大なキャンピングカーばかりが停まっている有料区域もある。目算で約100台。壮観である。おそらく、最初からここに宿泊してここで日食を見て、そのまま帰るということなのだろう。うらやましいような、やっぱりホテルでちゃんと寝たいような。

さらにその向こうの広大な芝生には、中学生か高校生と思われる集団がテントを張っている。この気温なら、確かにテントで寝ることも可能か。

生徒を集めて、若い先生が熱心に説明している。日食観察は楽しい体験ではあるが、気をつけないと失明につながりかねない、非常に危険な行為でもある。それだけに先生も大変だと思う。

さて、そろそろ第一接触の時間だ。我がガソリンスタンドに戻ろう。

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