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2017年10月

 スペイン語翻訳者になろう vol.425

  おはようございます。ピーチです。
  先週号を配信後、嬉しいことがありました。カズオ・イシグロ氏の愛読者
  という方(Aさん)からメールをいただいたのです。
  このメルマガを始めて11年目となりますが、ご意見やご感想を頂くことは
  本当に稀なんです。よってたまに読者の方から反応をいただくと「ああ、
  ほんとに読んでくださっているのだなあ」と実感し、しみじみと嬉しく
  なります。
  今回のAさんはちょくねりメソッドが「どこまで練っていいか、練るべきか」
  を考える上で参考になっている、との有難いご感想をよせてくださった
  ばかりか、前号でピーチが
  「『日の名残り』が一番好きで、土屋政雄氏の翻訳は名訳中の名訳」
  と述べたことに対し、全く同意見で、
  「あまりに共感したので思わずメールさせていただきました」
  と書いて下さいました。
  しかし、このAさん、ピーチのような一介のイシグロファンとは決定的に
  違うところがあるのです。なんとAさんは、イシグロ氏の出身校に留学
  されていたご経験をお持ち!その部分を拝読したとき、我知らず
  「うむむ〜」と唸っていました。
  あ、あ、あまりに羨ましすぎる〜。
  同時代に在学していたわけではなくても、かつてイシグロ氏が思索に耽り
  ながら歩んでいた(に違いない?)そのキャンパスをAさんも・・・!
  名の知られた大学ではない(のだそうです)だけに余計、その偶然の巡り
  あわせに、イシグロ氏とAさんの間に見えないけれど確固としたご縁がある
  ように感ぜられてわくわくしました。村上春樹や絲山秋子の愛読者だからと
  いって早稲田大学に足を踏み入れると嬉しい♪とはならない(para mi)
  のは、やはり距離的な問題(早稲田は英国に比べて余りに近すぎる)なんで
  しょうか。
  それともカズオ・イシグロ氏の圧倒的なカリスマ性ゆえのわくわくなんです
  かね。
  話がそれていきそうなので元に戻しますが、Aさん、ご感想メールを本当に
  ありがとうございました!凄くうれしかったです!(許可なくこの欄に引用
  しましたことをご容赦頂ければ幸いです。ペルドネメ!)
  さて、今号も本題はともかく、アースの「皆既日食旅行記(4)」が力の
  こもった内容です。何か感想や質問などがあればお寄せいただければ、
  アースの執筆モチベーションがさらに高まる・・のではないかとピーチは
  勝手に予測しています(全然違ってたら許せ、アース)。
  このメルマガはどんなご意見ご感想もビエンベニードの姿勢でお送りして
  おります(もちろん誤訳のご指摘等も!)ので、敷居は非常に低いです。
  いつでも気楽に感想などを送って下さいね。
  あら、前書きがあまりに冗長になりすぎました。
  気分を切り替えてと本題及び旅行記に移って参りましょう。

  ※スペイン語の表記:このマガジンは比較的上級者を対象としている
   ことから、基本的にアクセントおよびティルデを入れていません。
   ただし動詞など重要な部分については入れることがあります。
   例)bajo → bajo'(動詞、三人称点過去の場合)

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ 「ちょくねりメソッド」で翻訳に挑戦しよう
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【皆既日食(5)】

◇本日の課題
Segun revelo' un estudio de la Universidad de Reading, en Reino
Unido, como resultado del cambio de temperatura, el aire caliente
deja de elevarse desde el suelo y provoca un cambio en la
velocidad y la direccion del viento.

【語注】
revelo'<revelar:明かす、明らかにする、示す
Reino Unido:イギリス
elevarse   :上がる、のぼる
suelo      :地面

【直訳】
イギリスのレディング大学の研究が明らかにしたところによると、温度の変化
の結果として、熱い空気が地面から上昇するのをやめ、風の速度と方向の変化
を引き起こす。

※原文はかなり乱暴な説明となっていますので、練り訳では少し工夫が必要に
  なりそうです。正確には、cambio de temperatura は「気温の低下」を指
  し、結果として、地面の温度が上昇しない→地面の上の空気が暖まらない
  →その空気が上昇しない、と言いたいのでしょう。

◇本日の課題(再掲)
Segun revelo' un estudio de la Universidad de Reading, en Reino
Unido, como resultado del cambio de temperatura, el aire caliente
deja de elevarse desde el suelo y provoca un cambio en la
velocidad y la direccion del viento.

【練り訳例】
英レディング大の研究によると、気温が低下すると地面からの上昇気流が弱ま
り、風速と風向が変化する。

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┃ アースの皆既日食旅行記(4)
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

サンノゼ空港に到着。

ジョンとサラの迎えが遅れたため、しばらくターミナルのすみっこで
過ごしていたが、そのあいだ聞こえてきたのはほとんどスペイン語だった。
大半は観光客ではなく米国在住の人々のようで、スペインのスペイン語
とも中南米のスペイン語とも違う、独特の響きが興味深い(気まぐれに
スペイン語メルマガらしいことを言ってみる)。

感動の薄い再会部分は省略する。恐ろしく緩やかなペースながら
メールをやりとりしていたせいか、実は18年ぶりだというのに、
お互いちょっと(?)老けたなぁ程度で、ほとんど感動がない。
いいのやら悪いのやら。

市内での昼食後、すぐにポートランドに向けて出発するため、今度は
サンノゼ空港の出発ロビーへ。

日食の皆既帯に近いポートランドへのフライトということで、
空港のスタッフも含めて、

「あなたも日食?」
「たのしみよねぇ〜」
「いや、あんま興味ねーし」
「せっかくだからポートランド観光しないと!」
「あ〜渋滞すごそう」
「ポートランドからずっと車が数珠繋ぎになるって誰か言ってたよ」
「仕事さえなきゃーオレも行くのによお」
「甥がちょうどいい所に住んでて良かったわ!!」
「1000万人移動だってさ。マジか」

といったような会話があちこちで交わされていたように思う。

そうしたなか、アメリカ人の中でもフレンドリー度突出のジョンは、
すぐに周りの人とうちとけて話し出す。しかもすぐに「こちら、日本人の
日食トモダチのアース」と紹介してくれちゃうので、わたしもニコニコ
笑顔をふりまかざるを得ない。

1994年のチリ皆既日食の時に知り合って、その後もカリブで一緒に日食を
見たことがあり、今回が3回目だ・・と(ジョンがうれしそうに)説明
すると、「まあステキ!」などと返す人が多いのだが、顔には『物好きな
ひとたちね・・』とはっきり書いてある。

まあいいさ。今回の日食で、あなたがたも立派な日食中毒症になること
請け合いなのだ。

機内からは、カリフォルニアからオレゴンにかけて、あちこちで山火事の
煙があがっているのが見える。山火事自体、大変な問題だけれど、いまの
我々には、日食観察にどの程度の影響があるかが問題だ。

今回の観察地は、全米でも8月の「平均雲量」が特に少ない地域から
ジョンが選んでくれた。極端な話、空全体で、きれっぱしのような雲が
一つしかなくても、それが太陽の前にある限り、日食は見られない。
だから平均雨量が少ないことはもちろん、なるべく湿度の低い地域を探す。
また一日の平均湿度が低くても、一日の特定の時間に必ず霧が出るような
地域もあるので、そういった点のチェックも必要である。

そうして選びに選び抜いた地域で待ちかまえていても、やはり曇る時は
曇るし、降る時は降る。こればかりは文字通り、お天道さま任せだ。

だが、わたしは6戦6勝の強者である。つまり6回トライして、月が
太陽を完全に隠す「皆既」の瞬間が見られなかったことはない。

2002年のオーストラリアの時は、全天で見れば「晴れ」でも、雲が
いくつも浮かんでおり、皆既の10分前に太陽が隠れて、一時はやきもき
した。だが皆既直前、奇跡のように、ほとんど重なった太陽と月が登場。

このときは非常に低い雲だったので、数km離れた場所では同じ雲が
太陽&月を隠し、そのあたりにいた人は涙をのんだらしい。このときは、
海に太陽が沈もうとする場面での日食で、いままでで最高に美しかった。

2009年に中国〜奄美大島/トカラ列島〜小笠原を皆既帯が抜けた時は、
上海から日本列島に至る広い地域を分厚い雨雲が覆い、特にトカラ列島
では暴風雨となった。だが小笠原近海にいたわたしは、快晴の空の下、
ほぼ完全な凪の海の上で、日食を拝むことができた。(言っておくが、
手漕ぎボートで太平洋に乗り出したわけではなく、定期貨客船
「おがさわら丸」を使ったツアーに参加した。海の上で精密な観測・
撮影は不可能なので、メカな人々のための下見はなかった)

ジャンケン賭事くじ引き、すべて大変に弱いわたしだが、こと日食に
かけては百発百中。人生のすべての運をここで使っているのかもしれない。
それならそれでいい、とさえ思うのである。

◆編集後記◆
(日食旅行記連載中につきお休みとさせていただき。アース)

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 スペイン語翻訳者になろう vol.424

  おはようございます。ピーチです。
  ノーベル文学賞発表直後、何人かの友人から「おめでとう!」と
  祝メールが届きました。
  わたしがむかしからカズオ・イシグロ氏の愛読者であることを知って
  の祝意だったわけですが、うちの一人が
  「前にピーチは『ハルキよりカズオが先に受賞するとおもう』って
    言ってたよね」
  と書いてくれていました。わたし自身はそんな発言をすっかり忘れていた
  のですが、結構他人さまのほうが覚えていてくれるものなのですねえ
  (ちなみに、当時のピーチが慧眼の士だったのか、妄想家だったのか、
  はたまた単なるあてもの好きだったのか・・謎。ただし、最初のだけは
  あり得ません)。
  ところで、受賞を受けてコメントするイシグロ氏の映像を見ましたが、
  かつて来日時の講演会で生で拝見した際の気品ある caballero ぶりは
  健在!でも、やはり時は確実に流れたのだな・・・と感じずには居られない
  変化がそのお姿に見て取れました(かくいうわたしも同様に変容している
  わけで、時は皆に平等)。
  とまあ、そんなことはどうでもよろしい。
  今回の受賞を受けて、日本ではイシグロ氏の作品を100万部以上増刷する
  そうで、そのうちの22万部(?)がわたしの一番好きな「日の名残り」
  とのこと、喜ばしい限りです。同書の土屋政雄氏の翻訳は、翻訳文学史上
  最高位に輝く名訳中の名訳、と言えるのではないかと思います(勝手な
  私見ですが)。
  比類なく美しいストーリーの格調高い日本語に陶然としたいという方には
  自信を持ってお薦めします。
  もっと書きたいことはありますが、もう十分長くなりましたし、もっと
  長いアースの日食旅行記(今回も筆が立っている!お楽しみに・・)が
  控えていますので、このへんで本文に入って参りましょう。

  ※スペイン語の表記:このマガジンは比較的上級者を対象としている
   ことから、基本的にアクセントおよびティルデを入れていません。
   ただし動詞など重要な部分については入れることがあります。
   例)bajo → bajo'(動詞、三人称点過去の場合)

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ 「ちょくねりメソッド」で翻訳に挑戦しよう
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【皆既日食(4)】

◇本日の課題
Cuando la Luna se interponga entre la Tierra y el Sol y la noche
interrumpa brevemente el dia, las temperaturas bajara'n y lo hara'n
de forma rapida.
En cua'ntos grados? Segun explica la NASA, el descenso equivale a
la diferencia de temperatura que existe entre el dia y la noche en
esa epoca del an~o, para ese lugar.

【語注】
se interponga<interponerse:間に入る、介在する
interrumpa<interrumpir    :中断する
equivale<equivaler        :(+a)〜と同等である、〜に相当する

【直訳】
月が地球と太陽の間に入り、夜が昼を短時間中断するとき、気温は下がるだろ
うし、それを急速に起こすだろう。
何度であろうか? NASAの説明によれば、下降は、その場所にとって、そ
の年のその時期における昼と夜の間に存在する気温差に相当する。

◇本日の課題(再掲)
Cuando la Luna se interponga entre la Tierra y el Sol y la noche
interrumpa brevemente el dia, las temperaturas bajara'n y lo hara'n
de forma rapida.
En cua'ntos grados? Segun explica la NASA, el descenso equivale a
la diferencia de temperatura que existe entre el dia y la noche en
esa epoca del an~o, para ese lugar.

【練り訳例】
月が地球と太陽の間に入り、一時的にせよ昼が途切れて夜が訪れれば、急速に
気温が下がる。
どれくらい気温は下がるのだろうか。NASAによると、その土地、その時期の夜
と昼の寒暖差に匹敵する幅であるという。

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┃ アースの皆既日食旅行記(3)
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日食情報だけで2週分を費やしてしまった。旅行記らしいところが
ぜんぜんないとお怒りの方のために、今回の日程を書いておく。
(日食関係の話だけで進めようと考えていたが、ピーチからの強い
要請により、日食とは関係のないエピソードも入れていく予定である)

8月16日
成田 → サンノゼ(ジョンとサラに再会)
サンノゼ → ポートランド

8月17〜19日
ポートランド観光

8月20日
レンタカーにてオレゴン州レドモンドに移動

8月21日
皆既日食!

8月22日
カリフォルニア州サンノゼに向けて車で約650kmを移動
(実際にはサクラメントまでで降参)

8月23〜27日
サンノゼ滞在

8月28日
帰国

日食観測地に近いオレゴン州ポートランドでなく、カリフォルニア州
サンノゼから入国したのは、日食後にジョンとサラの家でしばらく過ごし、
そこから帰国するため。よって成田ーサンノゼの往復チケットをとった。

翻訳を専業にしている人はみな同じだと思うが、外国語を商売道具にして
いるくせに、滅多に外国には行かない(行けない)。わたしも、前回、
日本を出たのはいつだったかすら、自力では思い出せない状態だった。
調べてみたら、ほとんど10年ぶりの海外で、パスポートもとっくに
切れていた。

今回は久しぶりに個人旅行の手配を自分で行い、
「こんなに簡単だったっけ?」
と拍子抜けした。家を一歩も出ることなく、パスポート以外のすべての
手配が完了。また今回は携帯端末を持っていくため、最悪でも公衆WiFiで
ネット通信が可能であり、情報不足への不安があまりない。

思い出してみれば、10年前、現地ではまだまだアナログな活動をしていた
ように思う。この10年は、スマホとタブレット、つまり携帯端末の爆発的な
普及期とちょうど重なるからだろう。以前は、未知の土地に行くとなれば
ワクワクと不安のアンビバレンスな感じが楽しかったし、なにより緊張感
というものがもう少しあったように思う(単にトシを経てずぶとくなった
だけという話もあるが)。

海外に行き慣れている人からすれば、いまごろなに言ってんでぇ、
てなもんだろうか。ともあれ、国家間の垣根が低くなるのは喜ばしい。
素直に技術の進歩を歓迎しよう。

さて。

もともと旅行の荷物が極端に少ないタイプなので、荷造りはあっと言う間
に終わる。

ただ、現金をどうするかという問題があった。家にあるのは、前回、
使いきれなかった大量の硬貨のみ。

ご大層な意匠のトラベラーズチェックも残っていたが、四半世紀くらい
前のものということもあり、まるで古代文書のように見える。お店で
差し出そうものなら、若いにーちゃんねーちゃんに「なんじゃこれ」とか
言われそうなので、持っていくのはやめた。銀行や空港なら、間違いなく
通用するのだろうが。

結局、アメリカ入国後すぐに友人に会えるという安心感もあり、サンノゼ
空港のATMで出せば良いと結論。しめて7ドルの硬貨のみをカバンに
詰めて、出発となった。(もちろん各種カードは持参したので、安心
されたい)

これまでは関西空港や中部国際空港ばかりを利用していたので、わたしに
とって四半世紀ぶりの成田空港は、まるで知らない場所と化していた。
が、空港ですることといえば、チェックインに保安検査、出国審査と、
それだけは変わらない。

ただ、わたしにはもう一つすべきことがあった。「外国製品持ち出し」の
申告だ。

ブランド物のバッグ?財布?靴? ちがう。「双眼鏡」である。
(今回は、常に恐ろしく重いカメラ・望遠鏡類を持ち歩く相棒が
日本で涙をのむことになっていたため、双眼鏡を持って行くこと
にした)

わたし「えーと、外国製品は持ち出し届がいるんですよね」
係の人「はい。モノはなんですか」
わたし「ツァイスの双眼鏡なんですが。これです」
係の人「・・・。Made in ウェスト Germany ってあるね。
    新品じゃないんでしょ。届出不要です」

そ、そうだった!! 西ドイツ製だった! 古き良き(?)西ドイツで
作られたカール・ツァイス社の高性能双眼鏡。これからも大事に
してやろう・・。

そんなエピソードもありつつ、飛行機に乗り込んだ。

わたしが飛行機の中で何をするか。本を読んだり、寝たりするのは
普通の人と同じはずだが、違うのはおそらく、「飽きずに外を
眺める」ことだろう。

そう話すと、「雲、きれいですもんね」と言われる。ちがう。

いや、もちろん雲も興味深い。「十種雲形」の中でも最も高いところに
発生する「巻雲(けんうん)」の上を飛行機が飛んでいると、無意味に
「おおお〜〜〜」と思ったりする、わたしは変なヤツである。

※雲は、国際気象機関によって10種類に類別されている。高い方から、
  巻雲、巻層雲、巻積雲、高層雲、高積雲、積雲、乱層雲、層積雲、層雲、
  そして低層から上層までぐ〜んと伸び上がる積乱雲(入道雲)である。

こほん。わたしが飛行機の中で特に注目するのは、下ではなく上。
国際線は上空10000メートル以上の非常に空気の薄い層を飛ぶため、
星や月がくっきりと見えるのだ。

今回も、行きの飛行機では北斗七星が驚くほど近く見えた。ストレッチを
かねて機体最後方に行き、窓にかぶりつきで外を見ていると、CAさんが
気になったのか、話しかけてくる。

CA氏「何か見えますか?」
わたし「北斗七星がきれいですよ」
CA氏「えっ、そんなの見えるんですか!?」
わたし「見えますよ〜。飛行機からは特にきれいに。ほら」
CA氏「わあ〜ほんと! 長い間乗ってますけど、ぜんぜん気がつきません
        でした。感謝しなきゃいけませんね〜」

いや、そんなことで感謝しなくてよろしい。

星もきれいだが、わたしが特に好きなのは、地上から見る青空よりも
ずっと深みのある「濃紺」の空の色だ。あれを見ると、少し宇宙に近づいた
気になって、ゾワゾワする。(実際には高度100kmまで空気があるそう
なので、宇宙との境目はもっと上なのだろうが)

飛行機に乗って皆既日食を見るツアーもある。天候はもちろん、大気汚染
とも無縁なので、おそらく信じられないほどきれいだろう。ただわたしは、
月が太陽を隠す様子だけでなく、それに伴う周囲(大気)の変化を体感
するのが何よりも好きなので、おそらく飛行機に乗って日食を見ることは
ないだろうと思う。

いよいよアメリカ大陸が見えてきた。

◆編集後記◆
(日食旅行記連載中につきお休みとさせていただき。アース)


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 スペイン語翻訳者になろう vol.423

  おはようございます。ピーチです。
  アースの皆既日食旅行記、興味深すぎて、発行人の1人であることも
  忘れ、続きの原稿を楽しみに待ってしまっております。
  読者諸氏の中にもそんな同志が大勢いらっしゃることを願いつつ、
  今週もさっさか本題に入って参ります(ピーチの戯言、載せている場合じゃ
  ないわ、これは)。

  ※スペイン語の表記:このマガジンは比較的上級者を対象としている
   ことから、基本的にアクセントおよびティルデを入れていません。
   ただし動詞など重要な部分については入れることがあります。
   例)bajo → bajo'(動詞、三人称点過去の場合)

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┃ 「ちょくねりメソッド」で翻訳に挑戦しよう
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【皆既日食(3)】

◇本日の課題
Es un fenomeno tan emocionante que vale la pena dejar todo lo que uno
este' haciendo en ese momento para mirar al cielo (con anteojos
especiales, por supuesto). Pero ademas de producir unos minutos de
noche en medio del dia, ?que' otro impacto tiene el eclipse sobre la
Tierra?

【語注】
fenomeno   :現象
emocionante:感動的な
anteojos   :(複数形で)メガネ
eclipse    :(太陽・月の)食

【直訳】
あまりに感動的な現象なので、人は空を見るためにその瞬間にしている全ての
ことをやめる価値がある(もちろん、特別なメガネを用いて)。しかし、昼間
に数分の夜を作り出すことのほかに、日食は地球にどのような他の影響を持つ
のだろうか?

◇本日の課題(再掲)
Es un fenomeno tan emocionante que vale la pena dejar todo lo que uno
este' haciendo en ese momento para mirar al cielo (con anteojos
especiales, por supuesto). Pero ademas de producir unos minutos de
noche en medio del dia, ?que' otro impacto tiene el eclipse sobre la
Tierra?

【練り訳】
この現象はあまりに感動的なので、そのときやっていることを全部やめて、空
を見上げる価値がある(当然だが特別な日食用グラスを用いる必要がある)。
それにしても、「真っ昼間に数分間だけ夜をもたらす」ことのほかに、日食は
地球上にどのような影響を及ぼすのだろうか。

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ アースの皆既日食旅行記(2)
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

わたしを含め、世界に皆既日食に取り憑かれた人々が何万人いるのか
知らないが、日食があるたび、その人たち(というか我々)は何とか
カネをかき集め、何とか休みをとり、一部の人は借金までして、その
素晴らしき瞬間に居合わせようと画策する。そうした人々が世界中から
集まるだけでも、交通機関や宿泊施設が大変な状態になることは想像
できよう。

特に今回の場合、アメリカ合衆国のど真ん中を皆既帯※が通るとあって、
日食が何なのかもまったく知らないくせに、「日食でも見てみるか」という
失礼なヤカラも含めて(失礼)、日食前後は数百万人が一斉にアメリカ
国内を移動する・・という予想が出ていたほどだ。

※皆既帯
  皆既日食が見られるベルト状の地域。幅は数km〜百数十km、長さは
  数百km〜数千km。
  今回は西海岸のオレゴン州から東海岸のサウスカロライナ州まで、
  アメリカ大陸を横断する形となった。皆既帯の幅は110kmであった。
  東京〜富士山山頂の距離95kmと比較すると分かりやすいだろうか。

理論上、「皆既帯」からほんの数十メートルでも外れれば、「皆既日食」
ではなく「部分日食」になる。そして、皆既帯の中心線に近づくほど
「皆既時間※」が長くなる。となれば、その日その時に中心線にできる
だけ近づくために、当日の交通渋滞も考慮して、前日までにしかるべき
場所までたどりついていなければならない。

※皆既時間
  月が完全に太陽を隠している時間。今回は最大で2分17秒。

以上の理由から、日食旅行は1年以上前から準備を始める必要がある。

海外の日食に行く場合、通常は天文ツアーに慣れた会社の日食ツアーに
参加するのが手っ取り早い。観測場所は下見したうえできちんと用意して
くれるし、トイレ等の準備も手抜かりはないからだ(最低でも数時間は
滞在する必要があるので、荒野のど真ん中でなくとも、トイレは
クリティカルな問題となる。特に個人で動く場合は確保が難しい)。

ただ、そうした専門の日食ツアーに参加する皆さんは、あまりに勤勉
すぎて、わたしにはついていけないことが多い。

他の国の天文ファンと比べて、日本の天文ファンの「観測機材充実度」は
半端ない。老若男女おしなべて、望遠鏡はもちろん、カメラからビデオから、
ものすごい量の機材を現地に持ち込む。

わたしが荷物持ちをするわけではないので、自由にしてくれればいいのだが、
一つ問題がある。皆既日食を撮影するには、正確に太陽を追尾しなければ
ならないため、「予行演習」が必要となるのだ。

目的の町に到着し次第、とるものもとりあえず、みんなして観測場所に
おもむき、北はどっちで東はどっちで、北緯40度だから本番の太陽の高さは
これくらい、方向はあっち、ここにカメラを置くとあの建物が邪魔になる、
こっちは木が邪魔だ、三脚を置く地面の様子はどうか・・・等々の条件を
吟味し、なるべく本番と同じ時間、場所で望遠鏡やカメラを設置してみて、
模擬日食撮影を行うわけだ。そのために、(多くは)なんもない現地に
足を運び、半日ほどを費やす。その時間がツアーに組み込まれるため、
その日は他に何もできない。

わたしはあくまでも肉眼・体感派なので、そうした準備は一切必要なく、
肉眼観察用の黒いレンズを持って、皆既帯に足を運び、天を仰ぎさえすれば
よい。皆さんが予行演習をしている間、できれば他のことがしたい。
でもツアーでは、それは難しい。

こうした様子は、たまたま同じ場所に居合わせた日本のツアーの人に話を
聞いて知っているだけで、わたし自身、参加したことはない。これまでは
自力で現地にたどりつくか、予行演習のスケジュールなんか一切設けない
外国発のツアーに参加するかのどちらかだった。ジョン&サラ夫妻に
出会ったのも、アメリカの天文雑誌が企画したチリ日食旅行ツアーであった。

そして今回。日本で起きる日食ならば、恐らくわたしがホテルや交通機関を
手配して彼らを連れ回すであろうように、今回はすべてジョン&サラに
おんぶにだっこの楽な旅行とあいなった。

ジョンは1年以上前から、皆既帯の端に位置するモーテルに予約を入れて
くれていた。しかし通常ならば1部屋30ドルくらいのやっすいモーテルが、
200ドル強。強気である。部屋やベッドはそれほど悪くはなかったが、
石鹸は使いかけのちっこいのがあるだけだった。まあ普段は30ドルなの
だから、仕方ない。

それでも相当良心的なところを選んだようで、ジョンの言うのに、
$1600/night low end motel もあるとのことだった。どんなやねん。

日本発の日食ツアーも一応チェックしてみたが、観光付きで7泊100万から、
2泊4日の超弾丸ツアー30万まで、法外といっていい値段設定になって
いた。常識的な日程で、ほんの少しだけ観光がついた5泊6日のツアー
でも40〜50万。

アマゾンの密林地帯に行くわけでもアフリカの奥地に行くわけでもない。
ただのアメリカである(失礼)。日食中毒患者の足元を見る姑息な
商売だ(失礼)。

今回、ただのアメリカ(失礼)とはいえ、現地に行くまでの足の問題も
あり、ジョンとサラがいなければ、わたしもツアーに参加せざるを
得なかっただろう。2人には感謝したい。(このメルマガを読んで
いるわけはないが)

◆編集後記◆
(日食旅行記連載中につきお休みとさせていただき。アース)

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 スペイン語翻訳者になろう vol.422

  おはようございます。ピーチです。
  はや10月。風を切るようなスピードで日々が飛び去っていきます。
  曜日の感覚もなくなり、あやうく今号を配信し忘れるところでした、
  あぶないあぶない。
  さて、今号から特別企画として「アースの皆既日食旅行記」を掲載します。
  アースの書く文章がもともと好きではありましたが、Eclipse Chaser を
  自認するだけあって、今回の記事はいつも以上に魅力に満ち溢れていると
  思います。
  続きを読むのが楽しみでならないと感じるのはわたしだけではない
  はずです。
  ではさっそく本題および期間限定特別連載に入って参りましょう。

  ※スペイン語の表記:このマガジンは比較的上級者を対象としている
   ことから、基本的にアクセントおよびティルデを入れていません。
   ただし動詞など重要な部分については入れることがあります。
   例)bajo → bajo'(動詞、三人称点過去の場合)

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┃ 「ちょくねりメソッド」で翻訳に挑戦しよう
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【皆既日食(2)】

◇本日の課題
Estados Unidos es el unico pais del planeta que tendra' la
maravillosa oportunidad de observar un eclipse solar total este
lunes. Durante aproximadamente 1 hora y 33 minutos, la sombra de
la Luna cruzara' el territorio de costa a costa por una angosta
franja de 113 kilometros.

【語注】

eclipse solar total:皆既日食
angosto:狭い
franja :帯状のもの

【直訳】
米国はこの月曜日に皆既日食を観察する素晴らしい機会を得るであろう、その
惑星で唯一の国である。約1時間33分の間、月の影が113キロメートルの狭い帯
状のところを通り、海岸から海岸まで国土を横切るだろう。

◇本日の課題(再掲)
Estados Unidos es el unico pais del planeta que tendra' la
maravillosa oportunidad de observar un eclipse solar total este
lunes. Durante aproximadamente 1 hora y 33 minutos, la sombra de
la Luna cruzara' el territorio de costa a costa por una angosta
franja de 113 kilometros.

【練り訳例】
月曜日、米国は地球上で唯一、皆既日食の観察という素晴らしいチャンスに恵
まれる国となる。月の影は、ほぼ1時間33分をかけて、米国の西海岸から東海
岸までを貫く細い皆既帯(幅113km)の上を移動する。

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ アースの皆既日食旅行記(1)
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

皆既日食とは、月が完全に太陽を隠す現象である。太陽が完全に隠れて
いる時間は、長くても7分。短ければ一瞬。それを見るためだけに、
地球の裏側までも足を伸ばすオバカな人たちがいる。何を隠そう(隠して
ないが)、わたしもその一人だ。

そういう病気にかかった人を Eclipse Chaser と呼ぶ。
スペイン語で何というか? 知らにゃい。

部分日食なら見たことあるよ〜あれっておもしろいよね〜と軽めの
コメントをくださる方々が多いが、わたしと同様、日食病を患い、
今回の日食にも同行してくれたジョン&サラ夫妻は、鼻息も荒く
こう言う。

「99.99%まで欠ける部分日食でも、皆既日食(100%)とは
 ぜんっぜん比べ物にならない。まったくベツモノ!!!」

わたしもこのコメントには完全同意する。今回の旅行中、アメリカ人
でも特にフレンドリーなジョンは、会う人ほぼ全員にこの話をしていた。
まるで皆既日食普及委員を自認しているかのようだ。いや、何を隠そう
(隠してないけど)わたしもそうである。

なぜみなさんに知っていただきたいか。好奇心だけは旺盛だが、滅多な
ことでは感動しないこのわたしを感動させるほど美しいから。世界で、
いや文字通り宇宙で一番きれいなものだから。

2035年には日本列島を横断する形で皆既日食が起きるけれど、
それまでに世界のどこかで何度も見る機会はある。読者のみなさん
のうち、一人でも二人でも、世界最大のイベントを直接その目で
見て、人生観が変わるほどの体験をしていただければ幸いである。

      ★     ★     ★

皆既日食についてはわりと誤解が多いので、旅行記を始める前に、
簡単に説明しておく。まず、「月が太陽を完全に隠す現象」が
皆既日食、「部分的に隠す現象」が部分日食である。

皆既日食に関してよくある疑問としては、

「日本では見えないの?」
「毎年、同じ時期にあるの?」
「(欠ける割合以外に)部分日食と何が違うの?」

の3つが挙げられる。

場所。地球上のどこでも起こり得る。今回のように北米大陸で起きる
こともあれば、太平洋上でしか見られないこともある(人間の住んで
いるところで起きるとは限らない)。

時期。そこそこ定期的には起こる。だが「だいたい数年おき」くらいの
感じだし、一年の中の時期も一日の中の時間もバラバラである。

この2つだけで、重度の日食病に罹り、Eclipse Chaser となってしまった
暁には、どれほどの苦労を背負わねばならないか、想像できるのではないか
と思う。

しかし3つめ。部分日食との圧倒的な違い。これだけで、その苦労は
報われて余りある。これについてはおいおい語ろうと思う。

天文が趣味だと言うと、9割方「ろまんちっくですねぇ〜」と言われるが、
天文というのは極めて正確かつ現実的な世界だ。実際、我が家にある
「日食リスト2050」には、2017年から2050年までに起こるすべての
日食の場所と時間が載っている。

明日の天気予報は外れても、30年先に起こる日食の時間が分単位で
分かるのだ。直前までには、場所はほとんどメートル単位、時間は
秒単位の予測が出る(理論的には何年先の日食でも予想は可能だそう。
「正確な予想」に限っても、1000年分くらいは可能だとか)。

皆既を迎える瞬間は、どこの観測地でもカウントダウンが始まることが
多いが、いままで数秒と外れたことはない。月なんてとてつもなく
でかいモノが、太陽なんてとてつもなくバカでかいものを隠す瞬間を
秒単位で予測する、しかもそれが限りなく100%に近い確率で実際に
起こるって、いったいどこが浪漫チックなんだ。と思うのである。

といいつつ、皆既日食自体はほんとうに素晴らしく感動的な現象だ。

ああ。自分の貧困な語彙がうらめしい。このように貧困な語彙でも
ええよ、という方は、来週以降も引き続き読んでいただければ
幸いである。

※なおジョン&サラ夫妻とは、1994年、チリの皆既日食の際に
知り合った。その後、1998年(カリブ海のオランダ領アルバ島)の
日食も同行。皆既日食を共に見るのは、今回が3回目である。

◆編集後記◆
(日食旅行記連載中につきお休みとさせていただき。アース)

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