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2017年10月18日

 スペイン語翻訳者になろう vol.424

  おはようございます。ピーチです。
  ノーベル文学賞発表直後、何人かの友人から「おめでとう!」と
  祝メールが届きました。
  わたしがむかしからカズオ・イシグロ氏の愛読者であることを知って
  の祝意だったわけですが、うちの一人が
  「前にピーチは『ハルキよりカズオが先に受賞するとおもう』って
    言ってたよね」
  と書いてくれていました。わたし自身はそんな発言をすっかり忘れていた
  のですが、結構他人さまのほうが覚えていてくれるものなのですねえ
  (ちなみに、当時のピーチが慧眼の士だったのか、妄想家だったのか、
  はたまた単なるあてもの好きだったのか・・謎。ただし、最初のだけは
  あり得ません)。
  ところで、受賞を受けてコメントするイシグロ氏の映像を見ましたが、
  かつて来日時の講演会で生で拝見した際の気品ある caballero ぶりは
  健在!でも、やはり時は確実に流れたのだな・・・と感じずには居られない
  変化がそのお姿に見て取れました(かくいうわたしも同様に変容している
  わけで、時は皆に平等)。
  とまあ、そんなことはどうでもよろしい。
  今回の受賞を受けて、日本ではイシグロ氏の作品を100万部以上増刷する
  そうで、そのうちの22万部(?)がわたしの一番好きな「日の名残り」
  とのこと、喜ばしい限りです。同書の土屋政雄氏の翻訳は、翻訳文学史上
  最高位に輝く名訳中の名訳、と言えるのではないかと思います(勝手な
  私見ですが)。
  比類なく美しいストーリーの格調高い日本語に陶然としたいという方には
  自信を持ってお薦めします。
  もっと書きたいことはありますが、もう十分長くなりましたし、もっと
  長いアースの日食旅行記(今回も筆が立っている!お楽しみに・・)が
  控えていますので、このへんで本文に入って参りましょう。

  ※スペイン語の表記:このマガジンは比較的上級者を対象としている
   ことから、基本的にアクセントおよびティルデを入れていません。
   ただし動詞など重要な部分については入れることがあります。
   例)bajo → bajo'(動詞、三人称点過去の場合)

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┃ 「ちょくねりメソッド」で翻訳に挑戦しよう
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【皆既日食(4)】

◇本日の課題
Cuando la Luna se interponga entre la Tierra y el Sol y la noche
interrumpa brevemente el dia, las temperaturas bajara'n y lo hara'n
de forma rapida.
En cua'ntos grados? Segun explica la NASA, el descenso equivale a
la diferencia de temperatura que existe entre el dia y la noche en
esa epoca del an~o, para ese lugar.

【語注】
se interponga<interponerse:間に入る、介在する
interrumpa<interrumpir    :中断する
equivale<equivaler        :(+a)〜と同等である、〜に相当する

【直訳】
月が地球と太陽の間に入り、夜が昼を短時間中断するとき、気温は下がるだろ
うし、それを急速に起こすだろう。
何度であろうか? NASAの説明によれば、下降は、その場所にとって、そ
の年のその時期における昼と夜の間に存在する気温差に相当する。

◇本日の課題(再掲)
Cuando la Luna se interponga entre la Tierra y el Sol y la noche
interrumpa brevemente el dia, las temperaturas bajara'n y lo hara'n
de forma rapida.
En cua'ntos grados? Segun explica la NASA, el descenso equivale a
la diferencia de temperatura que existe entre el dia y la noche en
esa epoca del an~o, para ese lugar.

【練り訳例】
月が地球と太陽の間に入り、一時的にせよ昼が途切れて夜が訪れれば、急速に
気温が下がる。
どれくらい気温は下がるのだろうか。NASAによると、その土地、その時期の夜
と昼の寒暖差に匹敵する幅であるという。

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┃ アースの皆既日食旅行記(3)
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日食情報だけで2週分を費やしてしまった。旅行記らしいところが
ぜんぜんないとお怒りの方のために、今回の日程を書いておく。
(日食関係の話だけで進めようと考えていたが、ピーチからの強い
要請により、日食とは関係のないエピソードも入れていく予定である)

8月16日
成田 → サンノゼ(ジョンとサラに再会)
サンノゼ → ポートランド

8月17〜19日
ポートランド観光

8月20日
レンタカーにてオレゴン州レドモンドに移動

8月21日
皆既日食!

8月22日
カリフォルニア州サンノゼに向けて車で約650kmを移動
(実際にはサクラメントまでで降参)

8月23〜27日
サンノゼ滞在

8月28日
帰国

日食観測地に近いオレゴン州ポートランドでなく、カリフォルニア州
サンノゼから入国したのは、日食後にジョンとサラの家でしばらく過ごし、
そこから帰国するため。よって成田ーサンノゼの往復チケットをとった。

翻訳を専業にしている人はみな同じだと思うが、外国語を商売道具にして
いるくせに、滅多に外国には行かない(行けない)。わたしも、前回、
日本を出たのはいつだったかすら、自力では思い出せない状態だった。
調べてみたら、ほとんど10年ぶりの海外で、パスポートもとっくに
切れていた。

今回は久しぶりに個人旅行の手配を自分で行い、
「こんなに簡単だったっけ?」
と拍子抜けした。家を一歩も出ることなく、パスポート以外のすべての
手配が完了。また今回は携帯端末を持っていくため、最悪でも公衆WiFiで
ネット通信が可能であり、情報不足への不安があまりない。

思い出してみれば、10年前、現地ではまだまだアナログな活動をしていた
ように思う。この10年は、スマホとタブレット、つまり携帯端末の爆発的な
普及期とちょうど重なるからだろう。以前は、未知の土地に行くとなれば
ワクワクと不安のアンビバレンスな感じが楽しかったし、なにより緊張感
というものがもう少しあったように思う(単にトシを経てずぶとくなった
だけという話もあるが)。

海外に行き慣れている人からすれば、いまごろなに言ってんでぇ、
てなもんだろうか。ともあれ、国家間の垣根が低くなるのは喜ばしい。
素直に技術の進歩を歓迎しよう。

さて。

もともと旅行の荷物が極端に少ないタイプなので、荷造りはあっと言う間
に終わる。

ただ、現金をどうするかという問題があった。家にあるのは、前回、
使いきれなかった大量の硬貨のみ。

ご大層な意匠のトラベラーズチェックも残っていたが、四半世紀くらい
前のものということもあり、まるで古代文書のように見える。お店で
差し出そうものなら、若いにーちゃんねーちゃんに「なんじゃこれ」とか
言われそうなので、持っていくのはやめた。銀行や空港なら、間違いなく
通用するのだろうが。

結局、アメリカ入国後すぐに友人に会えるという安心感もあり、サンノゼ
空港のATMで出せば良いと結論。しめて7ドルの硬貨のみをカバンに
詰めて、出発となった。(もちろん各種カードは持参したので、安心
されたい)

これまでは関西空港や中部国際空港ばかりを利用していたので、わたしに
とって四半世紀ぶりの成田空港は、まるで知らない場所と化していた。
が、空港ですることといえば、チェックインに保安検査、出国審査と、
それだけは変わらない。

ただ、わたしにはもう一つすべきことがあった。「外国製品持ち出し」の
申告だ。

ブランド物のバッグ?財布?靴? ちがう。「双眼鏡」である。
(今回は、常に恐ろしく重いカメラ・望遠鏡類を持ち歩く相棒が
日本で涙をのむことになっていたため、双眼鏡を持って行くこと
にした)

わたし「えーと、外国製品は持ち出し届がいるんですよね」
係の人「はい。モノはなんですか」
わたし「ツァイスの双眼鏡なんですが。これです」
係の人「・・・。Made in ウェスト Germany ってあるね。
    新品じゃないんでしょ。届出不要です」

そ、そうだった!! 西ドイツ製だった! 古き良き(?)西ドイツで
作られたカール・ツァイス社の高性能双眼鏡。これからも大事に
してやろう・・。

そんなエピソードもありつつ、飛行機に乗り込んだ。

わたしが飛行機の中で何をするか。本を読んだり、寝たりするのは
普通の人と同じはずだが、違うのはおそらく、「飽きずに外を
眺める」ことだろう。

そう話すと、「雲、きれいですもんね」と言われる。ちがう。

いや、もちろん雲も興味深い。「十種雲形」の中でも最も高いところに
発生する「巻雲(けんうん)」の上を飛行機が飛んでいると、無意味に
「おおお〜〜〜」と思ったりする、わたしは変なヤツである。

※雲は、国際気象機関によって10種類に類別されている。高い方から、
  巻雲、巻層雲、巻積雲、高層雲、高積雲、積雲、乱層雲、層積雲、層雲、
  そして低層から上層までぐ〜んと伸び上がる積乱雲(入道雲)である。

こほん。わたしが飛行機の中で特に注目するのは、下ではなく上。
国際線は上空10000メートル以上の非常に空気の薄い層を飛ぶため、
星や月がくっきりと見えるのだ。

今回も、行きの飛行機では北斗七星が驚くほど近く見えた。ストレッチを
かねて機体最後方に行き、窓にかぶりつきで外を見ていると、CAさんが
気になったのか、話しかけてくる。

CA氏「何か見えますか?」
わたし「北斗七星がきれいですよ」
CA氏「えっ、そんなの見えるんですか!?」
わたし「見えますよ〜。飛行機からは特にきれいに。ほら」
CA氏「わあ〜ほんと! 長い間乗ってますけど、ぜんぜん気がつきません
        でした。感謝しなきゃいけませんね〜」

いや、そんなことで感謝しなくてよろしい。

星もきれいだが、わたしが特に好きなのは、地上から見る青空よりも
ずっと深みのある「濃紺」の空の色だ。あれを見ると、少し宇宙に近づいた
気になって、ゾワゾワする。(実際には高度100kmまで空気があるそう
なので、宇宙との境目はもっと上なのだろうが)

飛行機に乗って皆既日食を見るツアーもある。天候はもちろん、大気汚染
とも無縁なので、おそらく信じられないほどきれいだろう。ただわたしは、
月が太陽を隠す様子だけでなく、それに伴う周囲(大気)の変化を体感
するのが何よりも好きなので、おそらく飛行機に乗って日食を見ることは
ないだろうと思う。

いよいよアメリカ大陸が見えてきた。

◆編集後記◆
(日食旅行記連載中につきお休みとさせていただき。アース)


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