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2014年7月9日

 スペイン語翻訳者になろう vol.324

  おはようございます。ピーチです。
  きょうから始まる新シリーズは、久々の登場の、
    「経済ワードをスペイン語で学ぼう【ちょくねり篇】」
  です!
  こんなシリーズがあったこと、皆さまはもうお忘れになっていた
  のではないでしょうか?
  今回扱うキーワードは、経済ワードの中でも基礎中の基礎
  inflacion です。
  「そんな用語、いまさら説明されなくてもよく知っているよ。」
  と思われるかもしれませんが、経済記事の実例のなかで
  どのように使われているのかを見て、実際に翻訳に挑戦してみる
  ことで、ワードに対する理解がより深まるかと 思います。
  今回の記事も一見単純なようでいて、翻訳にあたっては
  気をつけるべき個所がいくつもあるものですので、注意深く
  臨む必要がありますよ。
  経済分野が得意な方も苦手な方も、腕試しとして、是非ちょくねりに
  挑戦してみてください。

  それでは本日の課題に入ってまいりましょう。

  ※スペイン語の表記:このマガジンは比較的上級者を対象としている
   ことから、基本的にアクセントおよびティルデを入れていません。
   ただし動詞など重要な部分については入れることがあります。
   例)bajo → bajo'(動詞、三人称点過去の場合)

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┃ 経済ワードをスペイン語で学ぼう【ちょくねり篇】
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【inflacion】

きょうのキーワードは inflacion です。正確には今回の記事のように
tasas de inflacion=「インフレ率」
ですが、inflacion だけで「インフレ“率”」を意味することも多い
ようです(これ、豆知識として覚えておくと役立つかもしれませんよ)。
それでは実際の文章例を見てみましょう。

◇本日の課題
El Banco Central Europeo (BCE) preve' que las medidas aprobadas
el pasado jueves "contribuira'n a un retorno de las tasas de
inflacion a niveles mas proximos al 2 %".

【語注】
Banco Central Europeo:欧州中央銀行(ECB)
preve'<prever:予見する、予知する
medidas       :(複数形で)対策、措置、方策
retorno       :回帰、戻ること

【直訳】
欧州中央銀行(ECB)は、去る木曜日に承認された対策は、「2%により近
いレベルへのインフレ率の回帰に貢献するだろう」と予見した。

※ retorno de las tasas de inflacion a ...:この「約2%への回帰」とい
  う表現からは、2%まで「上昇して戻る」と「低下して戻る」の両方が考え
  られますが、ユーロ圏諸国が日本と同様に低インフレに苦しんでいるという
  状況を踏まえれば前者であることが分かります。つまり、「2%より低い水
  準から、2%近くまで上昇するだろう」というニュアンスで訳す必要があり
  ます。

◇本日の課題(再掲)
El Banco Central Europeo (BCE) preve' que las medidas aprobadas
el pasado jueves "contribuira'n a un retorno de las tasas de
inflacion a niveles mas proximos al 2 %".

【練り訳例1】
欧州中央銀行(ECB)は、去る木曜日に承認された対策によって「2%近辺
の水準にインフレ率が戻るだろう」と予想した。

※ preve' que...は、訳しにくい表現ですね。原文の構造通り訳すと「“○○
  だろう”と予想した」になりますが、日本の新聞ではまずお目にかからない
  表現です。よって、いつもよりもう一歩踏み込んだ「練り」が必要なようで
  す。練り訳2以降を見る前に、どうすれば自然な表現になるか、考えてみて
  ください。(recordar など、prever 以外の動詞でも同様の問題が発生しま
  す)

【練り訳例2】
欧州中央銀行(ECB)は、12日木曜日に承認を受けた措置を講じることで
「インフレ率を2%付近まで押し上げることが可能となるだろう」との予測
を発表した。

※ las medidas aprobadas はどうしても「承認された措置」などと訳したく
  なりますし、上記2つの練り訳でもそのようにしています。しかしながら、
  この訳し方は、日本語の性質上、「ECBが、別の機関に承認してもらった
  措置」であるかのようにも読めてしまうのが難点かもしれません。

  las medidas aprobadas は実際には「ECBが自ら実施を決めた措置」を意
  味していますので、誤解を生じさせないような訳語を考えてみても良さそう
  です(具体的には例3と例4を参考にしてみてください。)

◇本日の課題(再掲)
El Banco Central Europeo (BCE) preve' que las medidas aprobadas
el pasado jueves "contribuira'n a un retorno de las tasas de
inflacion a niveles mas proximos al 2 %".

【練り訳例3】
欧州中央銀行(ECB)は、12日承認した措置は「インフレ率を2%前後まで
押し戻すのに寄与するだろう」との予想を示した。

※欧米系のマスコミの文章では、今回の記事のように曜日のみが記載されてい
  ることが多いのですが、日本では必ず日付を入れる習慣がありますので、正
  確な日付が分かるのであれば、「○日」あるいは「○日(曜日)」などとし
  ても良いでしょう。

【練り訳例4】
欧州中銀(ECB)は、12日承認の措置で「インフレ率は2%に近い水準に押
し戻せる」との見込みを示した。

◆編集後記◆
アースです。
先日、ある翻訳案件の調査中に、ネット通販のアマゾンが
「予測配送」なるものを検討しているという話を読みました。
いわゆるビッグデータを活用して、消費者がどんな商品を次に
購入するかを予測し、注文が入る前に発送する・・というもの
だそうです。
どなたかが「もはや何を言っているのか分からない」と書いて
いるのを見ましたが、まさに「はあ???」という感じですよね。
わたしも、注文前に発送といったって、最終的に頼まなかったら
どーすんのよ、玄関前に積んで帰るのかい、と一瞬思ったのですが、
たぶん、最寄りの配送センターまで事前に届けておくとか、
そういうことなんでしょうね。
特に、国土の広い米国では、そうすることで配送時間を相当
短縮することができるのでしょう。
それにしたって、そこまでやるか、という感は拭えません。
と言いつつ、小さな店舗の店主が、今後どんな商品が売れるかを
勘と経験だけで予測し、在庫として準備しているものを、
アマゾンはビッグデータを使用して予測し準備する、という
だけのことなのかもしれません。
いや、考えてみれば、店主の頭の中にある膨大かつ総合的な
情報とその分析こそ、ビッグデータそのものなんじゃないか。
そう思えてきます。
違うのは、事業規模だけ。
なんてことを考えながら仕事ができる翻訳、楽しいです(^^)。


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