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2013年7月10日

 スペイン語翻訳者になろう vol.290

  おはようございます。アースです。
  じ〜めじめのじめな天気が続いていますね。
  と、思ったら、梅雨明けした地域もあるようで。
  わが家には一応エアコンがあるのですが、なぜかリビング、寝室、
  仕事部屋にはありません。(じゃあどこに・・・?)
  この某ド田舎に来た15年以上前と比べると、確実に夏の暑さは
  増しているような気がします。以前は、暑いけれども、夏の盛りに
  数日我慢すれば、なんとかエアコンなしでも済む、という程度でした。
  しかしここ数年、当地でも、どうにも身の置き所のない高温に
  なる日が多くなってきました。
  どう考えてもきょうは siesta しなきゃ体がもたないぞ・・と
  思っても、そういうときに限って、仕事の依頼が重なります。
  タオルを首に巻き、文字通り汗水たらしてお仕事です。
  もともと高いとも思えない思考能力がさらに落ちて、効率が悪い。
  そろそろ限界かもしれません。
  せめて除湿器くらい買おうかなぁ。洗濯物も乾くし。たまった
  水は植木にやれるし。
  ふ〜む。
  「今年も節電の夏!」というニュースを横目に、通販のボタンを
  「ぽちっとな」しようかどうか、悩み中です。

  さて、「危機管理」のちょくねりは先週で終わりまして、きょうは
  最近頻繁に耳にする経済ワードを取り上げてみました。少々暑苦しい
  言葉ですが、どうぞお付き合いください。では始めましょう。

  ※スペイン語の表記:このマガジンは比較的上級者を対象としている
   ことから、基本的にアクセントおよびティルデを入れていません。
   ただし動詞など重要な部分については入れることがあります。
   例)bajo → bajo'(動詞、三人称点過去の場合)

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┃  経済ワードをスペイン語で学ぼう【異次元緩和】
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1991年のバブル崩壊以降、日本の中央銀行である日本銀行は、あの手
この手で「金融緩和策」を推進してきました。

1999年の「ゼロ金利政策」、2001年の「量的緩和策」等々、様々な
手法が採られて来ましたが、ざっくりと言えば、いずれも「国内信用の
拡大」と「物価の安定」、つまり企業や個人に十分に資金を行き渡らせ、
そのお金を使ってもらって、景気を良くしちゃおう(でもインフレは
適度に抑えよう)というのが最終的な目標です。

オノマトペ全盛(?)の日本ではこれを「市場にじゃぶじゃぶにマネーを
供給する」などと表現したりします。

10年以上にわたってじゃぶじゃぶに供給され続けているはずのマネーが、
なぜアースとピーチの財布に入ってこないのかという謎はさておき、
きょうは今年4月に日銀が打ち出した新政策について、スペイン語では
どのように表現されているかを見てみることにしましょう。

まず、「金融緩和」を表すスペイン語としては、

 dinero barato
 aflojamiento monetario
 relajacion monetaria
 flexibilizacion monetaria
 politica monetaria expansiva

などがあります。最初の4つは、それだけで「金融緩和(政)策」を
意味することもありますが、多くの場合は politica de relajacion
monetaria などのように、politica (de) ....という形になっている
ことが多いようです。

今年4月4日、日銀の黒田総裁は記者会見で「次元の異なる金融緩和を
行う」という、これまでと少し違う表現で新政策を説明しました。

これについて、スペイン語のメディアはどのように報じたかを調べた
ところ、様々な言い回しが見つかりました。上記のうち politica
monetaria expansiva が基本になっているものが圧倒的に多いようで、

 politica monetaria ultra expansiva
 politica monetaria expansiva muy agresiva
 politica monetaria expansiva sin precedentes
 agresiva politica monetaria expansiva
 politica monetaria fuertemente expansiva
 politica radical expansiva
 fuerte politica expansiva
 politica expansiva no convencional

などが見つかりました(これを見ているだけでも語彙が増えそうですね)。
monetaria が入っていない最後3つも、もちろん「○○な金融緩和策」を
指しています。日本語でも「金融」を省略して「異次元緩和」と言ったり
します。

いずれにしても、単に「非常に強い緩和」といった言い回しが多く、
「異次元」の部分を直訳しているものは少ないようです。 no convencional
(従来通りでない)と sin precedentes(前例のない)がやや近いと言える
でしょうか。また例えば

 nueva fase de relajacion monetaria(新たな段階の金融緩和)

のように表現しているものもありました。

英語の場合、スペイン語と同様に unorthodox/drastic/aggressive/
dramatic/sufficient/massive/audacious/unprecedented/a new
phase of などの形容詞(句)を頭につけただけの表現のほかに、

 a new dimension of monetary easing
 monetary easing of a different dimension

のように、しっかりと「次元」の部分を訳しているものも多く目に
しました。この点、スペイン語では dimension という言葉をあまり
使わないせいなのか、そのあたりはよく分かりません。

ちょっと気をつけなければならないのは、上記に挙げた表現で、今回の
「異次元緩和」ではなく、単に過去の「規模の大きい金融緩和」を指す
場合もあるということです。

しかし「2013年4月に日銀が打ち出した特別な政策」であることが
文脈から明らかな場合、日本ではほぼ固有名詞のように「異次元緩和」
という言葉が使われているわけですから、単に「強力な金融緩和策」
などと字面通りに訳しただけでは不十分。よって、原文にはなくても
「次元」という言葉を入れるなどして対処する必要があります。

では次に例文を…と思ったのですが、ここまででも十分長くなって
しまいましたので、次回、お届けします。お楽しみに。

※ politica monetaria は、為替政策の意味での「通貨政策」と
  訳せることもありますが、ほとんどの場合、中央銀行が金利の操作等
  によって景気浮揚+インフレ管理を図る「金融政策」の意で使われて
  いますので、注意しましょう。

◆編集後記◆
そんなに長くない旅に出たピーチにかわり、再びアースです。
きょうは、本人がいないのをいいことに、ぴーちの話を
しちゃいましょうか。
このメルマガを最初から購読していただいている皆様はご存知かも
しれませんが、わたしとピーチが出会ったきっかけは、カシオの電子
辞書に搭載されている「スペイン語経済ビジネス用語辞典」の編纂
でした(なにげに宣伝)。
すぐ下にあります発行者紹介文で、本人は「大ざっぱ、不器用」と
書いてますし、まあじっさいちょっとばかし大ざっぱかな〜と
思える部分もないではないですが、それを補って余りある発想の
豊かさ。やる気が出たら破竹の勢い。凡人には気づかない部分に
なぜか気づく。
・・という感じで、7年に及んだ辞書編纂の際も、勢いはそれほど
でもないかわり落ち込むこともない、頭の柔らかさも発想もフツー、
常時中位安定とわたしとは、まあいいペアだったのではないかと思い
ます(恐縮ながら)。
辞書時代も含めると、これまでのメールは異常な数(数万通)に
達しますが、実際に顔を合わせることは、実は年に何度も
ありません。
以前、どなたかに「お二人はいいお友達なんですね」と言われた
とき、顔を見合わせて「友達じゃ・・ないよね」と、二人して
答えたことがあります。
といって、単なる知人、仕事仲間、同業者かというとそうでもないし、
なんとも不思議な関係です。

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