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2012年1月

 スペイン語翻訳者になろう vol.232

 おはようございます。アースです。
 暖かい日々が続いていましたが、またさむっ!な空気が
 日本列島にやってきましたね。
 我が家の周りももうまっしろけのけどころか、そろそろ屋根の
 雪下ろしが必要かと思われるほどの量になってきました。
 わたしがこの(どの?)雪国に来てからかなり経ち、いまや
 「雪」という予報を聞いても「雪かきめんどい」と感じるだけ
 ですけれども、朝、家の外に出ると、いまだに
 「あ、スキー場の匂い」
 とつい思ってしまいます。
 昔の曲を何度聴いても、その当時の感覚がふわっと戻ってくるもの
 ですが(でもそうでない方もいるらしいですね)、匂いもまた
 強烈なフラッシュバックを呼び起こしてくれるもののようです。
 となると、本メルマガの記憶はいま煮ているカレーの匂いと
 ともにいつかよみがえることになるのでしょうか・・・

 さて、本日もきつい内容の課題に取り組みましょう。気をしっかり
 もって、vamos a empezar。

  ※スペイン語の表記:このマガジンは比較的上級者を対象としている
   ことから、基本的にアクセントおよびティルデを入れていません。
   ただし動詞など重要な部分については入れることがあります。
   例)bajo → bajo'(動詞、三人称点過去の場合)

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┃ 「ちょくねりメソッド」で翻訳に挑戦しよう
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【桐野夏生の文学世界(3)】※全9回です。

◇本日の課題
"Los hombres estaban aterrados de que una mujer matara a su marido",
afirma la escritora. "Era una idea muy provocadora y los hombres
japoneses se sintieron amenazados. Tampoco imaginaban que una mujer
pudiera escribir una novela tan agresiva. Para mucha gente lo mas
chocante de Out fue que hubiera sido escrita por una mujer casada
y con hijos".

【語注】
aterrados<atterar:脅えさせる、怖がらせる
matara<matar     :殺す
provocadora       :挑発的な
amenazados<amenazar:脅す、脅威を与える
agresiva          :攻撃的な
chocante          :驚くべき、奇抜な

【直訳】
「男達は、1人の女性がその夫を殺すということに脅えていた」とその女性作
家は言う。「非常に挑発的な考えであり、日本の男たちは脅威に感じた。日本
の男たちはまた、1人の女性がこのように攻撃的な小説を書けることを想像し
ていなかった。多くの人にとって、『アウト』の非常に驚くべきところは、既
婚で子どものいる女性によって書かれたということだった。

◇本日の課題(再掲)
"Los hombres estaban aterrados de que una mujer matara a su marido",
afirma la escritora. "Era una idea muy provocadora y los hombres
japoneses se sintieron amenazados. Tampoco imaginaban que una mujer
pudiera escribir una novela tan agresiva. Para mucha gente lo mas
chocante de Out fue que hubiera sido escrita por una mujer casada
y con hijos".

【練り訳例1】
「妻が夫を殺すというところに男の人たちは驚いたんですよ」と桐野氏は言
う。「いかにも挑発的に思えたのでしょう。日本の男性たちは脅威を感じたわ
けです。それに、女性作家にこんな攻撃的な小説が書けるなんて想像もしてい
なかったのではないかと思います。『アウト』で一番衝撃的だったのは、既婚
の、しかも子どもまでいる女性が書いたという事実、という人が多くいまし
た」。

【練り訳例2】
桐野氏は同書について以下のように語っている。「妻が夫を殺す、という発想
に日本の男性たちはぞっとしたんですよ。相当に刺激的ですからね。恐ろしく
なったのでしょう。一女性がそこまで残虐な小説を書けるとは思っていなかっ
たのではないですか。さらに、多くの人にとってこの本の最も衝撃的だった点
は『子持ちの既婚女性によって書かれた』という事実だったようです」。

【練り訳例3】
「妻が夫を殺すんですから、男性は慄きますよ」と桐野夏生は語る。「そのよ
うな挑発的な着想自体、日本の男性にとっては脅威的だったわけです。しか
も、そんな恐ろしい小説を書いたのが女性作家だとは思いもよらないことだっ
たのでしょう。『夫も子供もいる女性にこんな小説が書けるとは思わなかっ
た。それがこの本で一番びっくりした点だ』という声がずいぶん沢山寄せられ
ました」

◆編集後記◆
ピーチです。
不器用なうえにぼんやり屋、しかもそそっかしいと3拍子揃っている
ので、日頃から大小取り混ぜありとあらゆる失敗をしています。
そんな「失敗の見本市」のような自分を励ますこんな名言を見つけました。

Our business in life is not to succeed, but to continue to fail
in good spirits

そうですよねえ・・!
成功が人生でなすべき仕事だとしたら、わたしのような成功体験の少ない
人間にとっては、人生は辛すぎる場所となってしまいます。

「機嫌よく(めげずに)失敗し続けること」こそが生きること、
ですよねえ。。。
この名言を残したのがあの「宝島」の作者、スティーブンソンであるという
ところも fenomenal です。
同氏は多くの名言を残しており、たとえば、
「ありのままの自分でいることと、なれる自分になることは人生の
ただ一つの目標だ」
なんていうものもあります。
世にあまたある啓発本には「ありのままの自分を受け入れよ」という説と、
「なりたい自分になるべく努力せよ」という説があり、「一体どっち
なんじゃい?」と思うことも少なからずあったのですが、スティーブンソン氏
によれば「どっちも」なのですね。そう言われてしまえば、たしかにそうかも
(どちらか一方に絞る必要はないのかも)とも思えてきます。
ありのままの自分を受容しつつも、なれる自分に向かって日々失敗を
重ねながらたゆまずに進む・・そこから収穫される果実が人生の醍醐味
なのかもしれません。

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 スペイン語翻訳者になろう vol.231

 おはようございます。ピーチです。
 寒いですね〜・・って、最近ヘビロテなこの挨拶、沖縄の読者さんには
 首肯していただけなさそうですね(しかし沖縄にもこのメルマガの
 読者さんはいらっしゃるのでしょうか?個人的に非常に気になります)
 さて、桐野さんシリーズも2回目となりましたが、1回目に引き続き、
 今回も「絞殺」だの「死体切断」だの、物騒な用語が並びます。
 「そんな表現に慣れ親しんでも・・・・何に生かせというの?」
 と思われるかもしれませんが、何の役にも立たないのが学問というもの
 です(・・爆)
 では今回も、不毛な学びの獣道へと分け入ってまいりましょう。

  ※スペイン語の表記:このマガジンは比較的上級者を対象としている
   ことから、基本的にアクセントおよびティルデを入れていません。
   ただし動詞など重要な部分については入れることがあります。
   例)bajo → bajo'(動詞、三人称点過去の場合)

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【桐野夏生の文学世界(2)】※全9回です。

◇本日の課題
Kirino salto' a la fama en Japon y en Occidente con Out, un thriller
genial en el que tres mujeres maduras escapan de su carcel domestica
cuando se ofrecen a cuartear el cuerpo inerte del esposo de su amiga
Yayoi, quien lo ha estrangulado mientras los ninos dormian.

【語注】
salto' a la fama<saltar a la fama:(急に)有名になる
fama    :名声、評判
thriller:(英語)スリラーもの
genial  :素晴らしい
carcel  :刑務所、牢獄
se ofrecen a...<ofrecerse a...:〜することを申し出る、買って出る
cuartear:四肢に分ける、4つに分解する
inerte  :生気のない、無力な
estrangulado<estrangular:絞殺する、扼殺する

【直訳】
桐野は『アウト』で日本と西洋において急に有名になった。『アウト』は素晴
らしいスリラーものだ。その中では、3人の成熟した女性が、彼女たちの友人
の弥生の夫の無力な身体を4つに分解することを申し出るとき、彼女たちの家
庭の牢獄から脱出する。弥生は子どもたちが眠っている間に夫を絞殺した。

◇本日の課題(再掲)
Kirino salto' a la fama en Japon y en Occidente con Out, un thriller
genial en el que tres mujeres maduras escapan de su carcel domestica
cuando se ofrecen a cuartear el cuerpo inerte del esposo de su amiga
Yayoi, quien lo ha estrangulado mientras los ninos dormian.

【練り訳例1】
桐野夏生はミステリー小説の傑作『アウト』によって、日本と欧米で一躍有名
になった。同書は、3人の成人女性が、子どもたちが眠っている間に夫を絞殺
した友人・弥生のために、死体を切り刻む役目を引き受けることで、家庭とい
う牢獄から抜け出そうとするというストーリーだ。

※se ofrecenは語注に書いた通り、「申し出る、買って出る」の意味がありま
 すが、練り訳例ではいずれも「引き受ける」にしています。これは実際のス
 トーリーに合わせた結果です(この小説の中では「頼まれて引き受けた」と
 いう筋になっていますので・・)

【練り訳例2】
桐野氏は小説『アウト』で、日本のみならず欧米でも一躍名を馳せた。『アウ
ト』は3人の中年女性が家庭という牢獄から逃れるさまを描いた出色のスリ
ラーだ。3人の友人である弥生は子どもたちが寝ている間に夫を絞殺してしま
うが、3人はその動かぬ身体をバラバラに切断することを引き受ける。

◆編集後記◆
アースです。
先週からお届けしている桐野夏生さんの『アウト』。
出版は1997年ですが、読む機会のないままに21世紀を迎え、
スペイン語経済ビジネス用語辞典の編纂に追われる毎日を過ごし、
2006年頃にようやく開放されて、「好きなだけ本を読むぞ!!!」と
決心して、むさぼるように読んだ十数冊(数十冊?)の本の一冊が
これでした。
辞書編纂時は、ピーチとのやり取り以外は(?)日本語よりスペイン語
や英語、しかも経済ビジネス関係の用語ばかりを見る日々でしたから、
内容はともかくとして、努力しなくてもすっと頭に入ってくる日本語に
触れられるだけで妙にうれしかった覚えがあります。
でも結局いまも、ぎこちない自分の訳文を読んで落ち込むより、
しぜん〜な日本語を読みまくりたいです・・・
(でも考えてみれば「アウト」は内容が不自然・・?でも読んでいると
そんなこと気にならなくなってきますから、プロの筆力ってすごい)

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 スペイン語翻訳者になろう vol.230

 おはようございます。ピーチです。
 2012年が始まってはや10日が過ぎましたが、皆様お正月はいかが
 お過ごしでしたでしょうか?
 わたしは「山の神」の疾走を生観戦したり、レオナール・フジタ展や
 フラメンコを鑑賞したり、と文化度(・・というんでしょうか?)の
 高い年明けでした。
 だからというわけではないのですが、このメルマガでも今年は少し
 文化色を出していこうと今号から始まるシリーズを用意してみました。
 これまではかっちりした経済記事を扱うことが多かったので、
 このような自由度の高い原文を前にわたしたちも若干戸惑い、「いかよう
 にも訳せそうだけれど・・ま、これでいいか」と妥協(?)した
 箇所もぽろぽろあります。
 皆さんも「自分ならこう訳す」という新訳に是非挑戦してみてください。
 ところで、皆さんは桐野夏生作品を沢山読まれているでしょうか?
 アースもわたしもミステリー好きですが、アースはともかく、わたしは
 桐野作品は両手で数えられる
 ほどしか読んでいません。これを機会に色々読んでみようかなあと
 思っています。

 それでは早速、ちょっと過激な世界へとご案内いたしましょう。

  ※スペイン語の表記:このマガジンは比較的上級者を対象としている
   ことから、基本的にアクセントおよびティルデを入れていません。
   ただし動詞など重要な部分については入れることがあります。
   例)bajo → bajo'(動詞、三人称点過去の場合)

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【桐野夏生の文学世界(1)】※全9回です。

◇本日の課題
Hay un instante en la vida de una persona, dice Natsuo Kirino, en que
cualquier cosa es posible. “Cualquier cosa” en el mundo imaginario
de esta prolifica escritora japonesa es usualmente un cinturon al
cuello de un marido borracho o un batazo certero al craneo de una
madre sobreprotectora: asesinatos espontaneos y tremendamente
placenteros.

【語注】
prolifica      :多作な
cinturon       :ベルト
certero        :的を外さない
craneo         :頭蓋骨
sobreprotectora:過保護の
espontaneos    :自然発生的な、自発的な、任意の
tremendamente  :恐ろしく、ひどく
placenteros    :楽しい、快い

※batazo:西和辞典には載っていないようですが、Real Academia Espanola
 では golpe de bate(バットでの殴打)とあります。

【直訳】
1人の人間の人生にはある瞬間がある、と桐野夏生は言う。その瞬間において
はどんなことでも可能である。この多作な日本の小説家の想像の世界の中での
「どんなことでも」とは通常、酔っ払った夫の首へのベルト、または過保護な
母親の頭蓋骨への的を外さない殴打である。すなわち、自然発生的で恐ろしく
快い殺人なのである。

※un cinturon al cuello de un marido borracho は小説『アウト』、 un
 batazo certero al craneo de una madre sobreprotectora は小説『リアル
 ワールド』からの描写であると考えられます。よって前者は「絞殺」、後者
 は「撲殺」と取ることが可能となります。

◇本日の課題(再掲)
Hay un instante en la vida de una persona, dice Natsuo Kirino, en que
cualquier cosa es posible. “Cualquier cosa” en el mundo imaginario
de esta prolifica escritora japonesa es usualmente un cinturon al
cuello de un marido borracho o un batazo certero al craneo de una
madre sobreprotectora: asesinatos espontaneos y tremendamente
placenteros.

【練り訳例1】
桐野夏生は「人生には、どんなことでも可能になる瞬間がある」と言う。この
多作な日本人小説家の想像の世界でいう「どんなことでも」とは、酔っ払った
夫の首にベルトを巻き付けたり、過保護の母親の頭蓋にバットを正確に打ち下
ろしたり、つまりは発作的な快楽殺人を指すのが普通だ。

※2文目の直訳は「どんなことでもとは、〜のベルトと、〜な殴打ということ
 である。すなわち、〜の殺人である」となっています。上記【練り訳1】で
 は直訳に基づいた(原文を尊重した)訳としましたが、文脈からわかるよう
 に「ベルト」や「殴打」とは「ベルトによる絞殺」及び「バットによる撲
 殺」のことです。【練り訳2】や【練り訳3】の訳し方も参考にしてくださ
 い。

 なお、un cinturon al cuello de un marido borracho は小説『アウト』、
 un batazo certero al craneo de una madre sobreprotectora は小説『リ
 アルワールド』からの描写であると考えられます。

【練り訳例2】
いかなることでも起こり得る瞬間が人生にはある、と桐野夏生は語る。この多
作な日本人作家の空想世界の中での「それ」はたいてい、酒に酔った夫をベル
トで絞め殺したり、過保護な母親をバットで確実に殴り殺したりするという、
自然発生的で極度に快楽的な殺人のことである。

【練り訳例3】
「人間の一生のうちには、どんなことでも可能となる瞬間があるものです」と
桐野夏生氏は語る。多くの作品を発表しているこの日本人作家の想像の世界の
中では、「どんなことでも」とは、泥酔した夫をベルトで絞殺することや、過
保護な母親をバットで撲殺することのような、衝動的かつ快楽志向な殺人を意
味することが多い。

◆編集後記◆
アースです。
年始からおそろし〜内容の課題になってしまいましたが、
メルマガとしては今年も楽しくゆるゆるな感じでお伝えして
いくつもりです。
今年4月で、本メルマガの創刊からなんと、まる5年!
お休みをいただいている間でも、火曜日の午後あたりになると、
「わ〜っ、前(後)記書かなきゃ!」と一瞬焦るくらい、
メルマガ発行が生活の一部になってしまっています。
誰に聞いても「うん、前記と後記は必ず読むけど・・」という
答えが返ってくるので、本文を白紙にしたろかと思うことも
ありますが、毎週最初から最後まできちんと目を通し、実際に
自分でも訳して訳例と比べる等々、勤勉に学習生活を送って
おられるそこのあなたのために、本文もしっかり濃い内容の
ものにしていこうと思いますので、本年もご愛読をよろしく
お願いします!

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