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2011年2月16日

 スペイン語翻訳者になろう vol.193

 おはようございます。ピーチです。
 バレンタインデーの夜は首都圏でもかなりの降雪となりました。
 滑って転んで「ギャッ!」となった方もいらっしゃるかもしれませんね。
 わたしに最近起こった「ギャッ!」な出来事は、ぺティナイフで
 キウイを切ろうとして、 いくら動かしても切れないのでおかしいな?と
 思っていたら、刃の上部を押さえていた指先がパックリ割れていた・・・
 というものです。
 一見してどちらが刃先か非常に分かりにくいタイプのナイフだったので、
 うっかり上下逆向きに使っていたのでした(きゃ〜、思い出しても
 バカすぎて怖い)。
 右の人差し指なので、せっかく傷口がふさがり掛けても、マウスを
 使ったり、キーを打ったりすれば、元の木阿弥・・ということで、
 10日以上たつというのに一向に痛みが引きません。しばらくパソコン
 から離れたくても、そういう時に限って仕事が多かったり・・と、
 世の中思うようにはいかないものですね。
 そんなわけで極力人差し指を使わないように気をつけながら、
 この前書きを書いています(「だったらこんなに長々書くなよ」と
 思ったアナタ、賢明です)。

 それではそろそろ指を休めるべく、きょうのテーマに入ってまいり
 ましょう。

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┃  そろそろ翻訳者になりませんか? 〜翻訳者疑似体験編 その10
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ようやく「翻訳の本工程」に入りました本シリーズでは、学習者さんの
様々な疑問にお答えする形で翻訳者の真の姿をお見せしております。

今回も、先回に引き続いて

1)「プロとしてレベルが上がれば、辞書を引く回数は減って
   いくんですよね?」

という疑問にお答えしていきます。

先回は、辞書(西和辞典)を引く理由として、

 1)ぜんぜん知らない単語だから
 2)見たことはあるが、意味を覚えていないから
 3)覚えている意味を当てはめても文意が通らないから
 4)イディオムを探すため
 5)用例・用法を見るため

の5つがあり、プロの場合は5が最も多くて、前に行くにしたがって
回数が減る、というお話をしました。

単語の種類で言えば、あまり見かけない珍しいものより、むしろ毎日の
ように目にするお馴染の動詞、形容詞などのほうが引く回数が多いかも
しれません。たとえば tener などですね。

tener なんて、スペイン語を習い始めてまず最初に習う動詞なのに
なんで!?という疑問を抱く人もいることでしょう。

なぜそんなに辞書を引かなければならないのか。見たことがある、
語義もいくつか思い浮かぶ、イディオムも知っているのに、なぜ
わざわざ辞書を引くのか。

それは、改めて「単語の正体をつかむ」ためです。

個々の語義を調べるというよりは、全体としてどのような語なのか、
動詞ならばどんな前置詞と組むことが多いのか、前置詞が違うと
どんなニュアンスが出るのか、形容詞ならば前置、後置、両方
ありうるのか、それによってニュアンスに違いはあるのか等々。

そして、日本語にするとしたら、どのような候補があり得るのか。
これまた単語単独のとき、動詞と名詞が組んだとき、名詞と形容詞が
組んだとき、様々なケースが考えられます。もちろん、辞書の語義
として挙がっているのはごくわずかな数ですから、用例、用法、
イディオム、同義語、参考語に至るまで、少しでもヒントになる
ものはないかと鵜の目鷹の目で探し回ります。

それらを参考にし、そのときの原文に当てはめて違和感のないものを
考え出さねばなりません。

辞書はその遠大な思考プロセスの大事な拠り所となるわけです。

仮に何らかの訳語候補が思い浮かんでいたとしても、もっと良い
表現はないか、ひょっとすると単語のニュアンスを間違えてとっては
いないか、それどころか完全に勘違いしてはいないか、まったく
知らないイディオムが存在するのではないか等々、様々な思考が
頭の中を駆け巡り、半ば取りつかれたように辞書を引きまくります。

もちろん、西和翻訳だからといって、引くのが西和辞典だけという
ことはありません。言語関係の辞典だけでも、和西辞典、西西辞典、
他の外国語/日本語辞典や外国語/外国語辞典、類語辞典、各種
コーパス、国語辞典、表現辞典など、数えきれません。

いまは電子辞書やネット上の辞書など、データの状態になっているものが
多いので、床の上まで辞書だらけということはないですけれど、それでも
机の上がいっぱいになるくらいには広げることがあります。

以前は、積み上がった辞書のうち一番下のものを横着にも引き抜こうと
して辞書タワーが崩壊する・・なんて悲劇もしばしば起こりました。

考えてみれば、西和辞典だけで3〜4種類、他の辞書も一種類のものの
ほうが少ないですから、大変な数になります。

言語辞典に加えて専門用語辞典も多数あるわけで、いったいどれほどの
数の辞書を翻訳者が日々引きまくっているか、なんとなくおわかり
いただけるでしょうか。

もちろん、毎日必ず引く辞書もあれば、1万円以上もするくせに、
1年に一回手にするかしないかといった辞書もありますけれどね。
それでも目的のものに出会えたときには、「買っておいてよかった!!」
と辞書を抱きしめて涙を流すわけです。

さて。

そんなにたくさんの辞書を引かなきゃならないなんて、面倒
くさいんだろうなあと思った人もいるでしょうか。

でも・・仕事を始めてからこのかた、そんなふうに思ったことはたぶん
ありません。そんな余裕はありません。

プロとしてある程度以上の水準の訳文を上げたいなら、「辞書を引く」
のは必要最低限の行為なのでして、それを面倒だと感じるようなら、
たぶんワレワレ、最初から翻訳者なんかやっていないでしょう。

むしろ、もっと辞書を引きたい、調査したい、それをもとにもっと訳文を
検討したい、でも時間がない!く〜っ、しょうがない、えい、ここまで!
・・と、いつも後ろ髪を引かれる思いで納品しています。

不本意な状態のまま納品せざるをえず、納品後もまだ見直している・・
なんてこともあります。(それでどうなるものでもないのですが、
まあ後学のため、でしょうか)

ですから、現在学習段階にある方は、今のうちに思う存分辞書を引き
まくっておいてください。たぶんそれでも、いざプロになったときの
ほうがずっと多く引くことにはなると思いますが。

一方で、まだ一行に一回くらい辞書を引かないと文脈すら見えない・・
というレベルの方は、さすがに面倒に感じると思います。わたしたちも
通った道ですので、それはよくわかります。面倒というより、辛い
ですよね。でも、その段階を通り過ぎないと次には進めませんので、
そこだけはがんばってくださいね。

地道に努力を続けていれば、いつのまにか引く回数が減ってきたかな?
と思えるときが来ることでしょう。(でもさらに上級になれば、
また増えていくわけですが)

さて、そんなわけで、

「プロとしてレベルが上がれば、辞書を引く回数は減って
 いくんですよね?」

という質問の答えは、

「とっ、とんでもない!」

になります。次回はまた違う疑問にお答えします。お楽しみに。

◆編集後記◆
アースです。
今年は太平洋側でも雪が多いようですね。
ニュースなどで、ノーマルタイヤをはいたまま走っている車を見ると、
手に汗握ってしまいます。よくあんな恐ろしいことができるなあ・・と
正直思います。
べちゃべちゃの雪で融けかけの路面なら大丈夫なのでは、と考える人が
いるようなのですが、ああいった状態は、むしろ圧雪よりも滑りやすくて
危険。
ノーマルタイヤなど問題外ですから、絶対に乗らないでくださいね。
まあ、雪が降ったら車に乗らない、これが一番なのではないかと
思います。
といって、それを本当に実践すると、雪国+公共交通機関が皆無に近い
当地では、冗談でなく引きこもりになってしまいます。
寒いのは嫌いではないし、窓から見る景色がいつも一面の銀世界という
特典もあるけれど、道路の雪だけは早く融けてほしいと願う
半・引きこもり翻訳者のわたしです。

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