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2009年8月

 スペイン語翻訳者になろう vol.129

 おはようございます。アースです。
 この夏、みなさんはどのように過ごされましたか?
 わたしは7月末に一週間ほどお休みをいただいて、十分充電・・した
 はずだったのですが、1ヶ月近くたって、すでに赤いランプがピコピコ
 点灯しております。(ただ遊びに行きたいだけ〜)

 さて、5回にわたったアンコールシリーズも終了し、本メルマガは
 今週から通常の内容でまいります。どうぞまたよろしくおつきあい
 くださいね。後半では10月開催の「調査セミナー」のご案内もして
 おりますので、こちらもよろしければご覧ください。

 さて、まずはお休み前に始まった「経済ワードをスペイン語で学ぼう」
 シリーズから再開です。

 ==<もくじ>===========================
   1) 経済ワードをスペイン語で学ぼう【GDP】
   2) 実例を見てみよう
   3) 調査セミナーのご案内
 ==================================

  ※スペイン語の表記:このマガジンは比較的上級者を対象としている
   ことから、基本的にアクセントおよびティルデを入れていません。
   ただし動詞など重要な部分については入れることがあります。
   例)bajo → bajo'(動詞、三人称点過去の場合)

┏━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃1│ 経済ワードをスペイン語で学ぼう【GDP】
┗━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

きょうは、先回の「インフレ」に引き続き、重要経済ワードである
「GDP(国内総生産)」を取り上げます。

まずは3ヶ国語での表現を確認しておきましょう。

 日本語   国内総生産
 スペイン語 Producto Interior Bruto
       Producto Bruto Interno
 英語    Gross Domestic Product

上記にあるように、スペイン語には2通りの言い方があります。
私たちの経験から言いますと、Producto Interior Bruto のほうが
多く使われるような気がします。略語はそれぞれ PIB と PBI です。

さて、「国内総生産」とは

 国内の居住者(国籍を問わない)が1年間に生み出した付加価値の合計。
           (『スペイン語経済ビジネス用語辞典』より)

を意味します。

ここで、付加価値(valor agregado)とはなんぞやという疑問が出てくる
かもしれませんね。『スペイン語経済ビジネス用語辞典』では、

 ある生産活動によって生産された財・サービスの価値総額から、原材料
 などの中間投入分を差し引いたもの。

のように説明しています。

たとえばアース&ピーチ印のおまんじゅう(1個100円)を100個売り
上げたと仮定します。つまり売上高は1万円です。

原材料費が1,000円ぽっきりだったとすると(ぼったくり?)、
「付加価値」は10,000ー1,000=9,000円になります。ただしこれは
かなりおおざっぱな説明ですのであしからず。

経済の文脈でGDPがどのように使われるかというと、皆さんもご存じ
のとおり、主に「成長率(crecimiento)」に関する文章で出てきます。

ある期間のGDP額(上の例で言うところの9,000円)と、別の期間の
GDP額を比べて、どれだけの割合で減ったか増えたかというのが
成長率です。

さて、次のコーナーでは実際の使用例をいくつか見てみましょう。

┏━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃2│ 実例を見てみよう
┗━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◇El Producto Interno Bruto (PIB) de la Union Europea (UE) bajara'
1.8 por ciento en 2009.
欧州連合(EU)の2009年GDPは1.8%減少するだろう。
欧州連合(EU)の2009年のGDP成長率は-1.8%になるだろう。

◇25 de cada cien Pymes encuestadas preven crecimiento del PIB de 4
por ciento y 26 de cada cien esperan que el PIB crezca mas de 4 por
ciento.
調査対象となった中小企業100社のうち25社がGDP成長率を4%と予想している
のに対し、26社は4%を超えるとの予想を示した。

※ Pymes は pequena y mediana empresas のことです。

◇El dato del PIB al segundo trimestre del an~o lo dara' a conocer el
jueves la Secretaria de Hacienda.
今年第2四半期のGDPデータは木曜日に大蔵省から公表されることになってい
る。

┏━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃3│  調査セミナーのご案内
┗━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

アースです。

今年10月3日、以下のセミナーにて、わたくしアースが講師を
務めることとなりましたので、ご案内します。このメルマガの読者の
皆さんにもぜひご出席いただければと思います。

  「特許翻訳に役立つ!インターネットの活用ノウハウ
               〜翻訳の品質向上を目指して」
        (主催:株式会社知財翻訳研究所 知財アカデミー)

お申し込みはこちらから
http://www.chizai.jp/academy/seminar/TranslationResearch_J.html

セミナー名を見ればわかりますとおり、課題は基本的に(英語の)特許文書を
使いますが、わたし自身、特許翻訳者ではありませんので、あくまでも講義の
眼目は「ネット調査」になります。

それでも

   「課題が特許なら、専門性の高い用語の調査の話ばかりに
    なるのでは?」

と思われるかもしれませんね。でも専門用語の話ならば、わたしではなく特許
専門のベテラン翻訳者さんが講師をするのが el mejor。

しかしわたくしアースが講師を務めるからには、

 ・専門用語の対訳探しだけが調査ではない
 ・「ネット調査を通じた翻訳の品質向上」の可能性は無限大(に近い)

この2つを、ひとりでも多くの翻訳者さん(のたまごさん)にわかっていただ
くことをセミナーの目標とします。

上記2点については、このメルマガでも折に触れお話ししていることではあり
ますが、文字での説明にはどうしても限界があり、何をどのようにどこまで調
査するのか、セミナーでPCとネットを使って実際にお見せできればと考えて
います。

ただし、ネット調査にも落とし穴はあります。その点についてもきちんとお話
をするつもりです。

   「それはいいんだけど、英語でしょ?」

はい、たしかにこれはスペイン語のメルマガなのに、なぜこんなところで募集
をかけるのか?

それは、「日本語に関する調査(翻訳後の言語に関する調査)」が翻訳におけ
る調査のなかで非常に大事な部分を占めていると思うからです。つまり、原文
が英語であろうがスペイン語であろうが、日本語に訳すという作業をする限
り、日本語の調査は必須、ということです。

これを読んで

    「日本人がなんで日本語の調査をするのさ?」

と思ったあなたはぜひご出席ください!

調査にも興味があるけど特許にもちょっと触れてみたい・・という方ももちろ
ん大歓迎です。

皆さんとじかにお目にかかれることを楽しみにしています!

           ★セミナー詳細★

    開催日時: 2009年10月3日(土) 13:30〜16:45
    場所  : (株)知財翻訳研究所 分室
           (東京都新宿区新宿1-1-8 御苑高木ビル6F)
    参加費 : 8,400円(税込)
    申込締切: 2009年9月24日(木)

お申し込みはこちらから
http://www.chizai.jp/academy/seminar/TranslationResearch_J.html


◆編集後記◆
おひさしぶりのピーチです。
桃の美味しい季節ですね。しばし、共食いの日々が続きそうです。
さて、最近考えた(どうでもいい)こと。
「あなたを反面教師にしていま〜す!」
と明るく告白されるのと、
「あなたから学ぶところ・・・う〜ん、何もないですな」
と真顔で言われるの、どちらがコタエルでしょうか?
いえ、私が実際にこう言われたわけではないのですが(思っている
人は周りに何人もいるでしょうけれど・・)、この選択肢(?)が
頭に浮かんで以来、 何となく気になっております。
そんなことを考えているうちに夏も終わってしまいそうです。
わ〜〜!もっと桃を食べなければ!

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 スペイン語翻訳者になろう(アンコールシリーズ 第5回)

  7月22日から5週にわたり、本メルマガのバックナンバーから
  記事を厳選してお届けしています。既読の方も新たな気持ちで
  読んでくださいね。
                  アース&ピーチ

  (アンコールシリーズは今回で終了です。来週からまた通常の内容で
   お届けしますのでお楽しみに!)

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃  紙の辞書を引こう その3
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今回は紙の辞書を使うとよい理由、最後の2つです。

●別の「一瞥」効果

前回は、紙の辞書では最初の語義だけでなく、用例、次の語義、イディオム、
補足情報などが「一瞥」できる、という効果を挙げました。紙の辞書には、
それとは別の一瞥効果もあります。

すでにお気づきと思いますが、目的の単語だけでなく、前後の単語も
目に入る、ということ。例えば lenguaje を引いてみましょう。
電子辞書では、

 lenguaje (言葉づかい、言語; 用語 i) [用例]〜)
 lenguaraz
 lengueta
 lenguetada
   …

とリストが出てきますが、中身が見られるのは目的の lenguaje だけ。
その先に進もうとするとボタンを押す必要があります。

ボタンを押したその時点で、周辺の単語たちとはさよならバイバイよ。

でも紙の辞書では? すぐ上に lenguaje(シタビラメ)というのを
見つけました。アハハ。「舌平目」というのは「まんま」の訳なのね。
(それとも「舌平目」を lenguaje と訳したのかな??)

後ろのほうに目を移すと、lenguaraz(おしゃべりな)。アハハ。
私のことですかい。

とまあ、これは趣味の領域かもしれませんが、他に例えば impulso を
引いてみましょう。小学館の『西和中辞典』ですと、その前後には、

 impulsador
 impulsar
 impulsion
 impulsividad
 impulsivo
 impulso ←目的の語
 impulsor

これだけの関連語が並んでいます。しかもほとんどは目的の語より前に
ありますから、電子辞書では目に入らないものばかり。これで impuls-
関連の動詞、名詞、形容詞が征服できました。覚える必要はないんです。
なんとなく見ておくだけで、いつかどこかで役に立つこと請け合いです。

それに、例えば名詞のところで納得のいく訳語がなかったときに、
動詞を見ると、「ピン」とくる訳が載っていたりしますしね。
(それを名詞形にして使うのです)

ついでに、impulso のすぐ左側の写真に目が行ってしまうので見てみると、
tienda sin impuestos(免税店)。ほおほお。なんてキリがないので
ここでやめておきますが、目的の語の前後が見られるこの効用については
わかっていただけたでしょうか。

●書き込める

最後です。昔は「辞書にぎゅうぎゅう書き込んでいた」人も多いのでは
ないでしょうか。

何度も繰り返しているように、辞書には「訳の候補」しか載って
いませんから、文脈に合った語義が見つからないこともしばしばです。
天啓のように素晴らしい訳語を思いついたとき、辞書にさっと
書き込んでおく。するといつか役に立つことがあるかもしれません。

あるいは、よく目にする語の組み合わせを書いておくとか。なんとなく
自分で感じたニュアンスをメモしておくとか。

これも電子辞書では到底できないことです。(いつか「メモ機能」なんてのが
つきそうではありますが)

もっともこれ、改訂版が出たときには非常に困るのですが、西和辞典のように
次が出るまでに何十年もかかっていると、しまいには自分のメモを覚えて
しまいそう。

くどくどと書いてきましたが、いかがだったでしょうか。プロ、学習者を
問わず、日々電子辞書に頼りっきりのみなさん(私たちも)、初心に帰って、
また紙の辞書をボロボロになるまで使い込んでみませんか。

※今回は、CASIOさんの電子辞書を例として使いました。他のメーカーは
 仕様が違う部分があるでしょうけれど、「一瞥できない」という点では
 同じですよね。

※この文章は、決してCASIOさんはじめすべてのメーカーさんの電子辞書を
 否定するものではありません!電子辞書がなかったら、もうどうすれば
 いいやら、オロオロ…。


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 スペイン語翻訳者になろう(アンコールシリーズ 第4回)

  7月22日から5週にわたり、本メルマガのバックナンバーから
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  読んでくださいね。
                  アース&ピーチ

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┃  紙の辞書を引こう その2
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

このメルマガは〜。西和辞典に頼りすぎるなと言ったり、端から引きまくれ
と言ったり、言うことがコロコロ変わるんだからっ!

・・・とお腹立ちの皆さま、お怒りごもっとも。でも、どちらも真実なので
仕方がないのです。その場その場で、いまの自分にとって最も大切なことは
何かを常に考えながら、追及すべきは追及し、引くべきところではさっと
引いて、最もバランスの良い学習・翻訳プロセスを目指しましょう。

さて、今回は紙の辞書を使うとよい理由その2です。

●「寄り道」が大事

おそらく皆さんのお宅では紙の新聞をとっておられるでしょう。
でもきっと、ネット上のニュースもごらんになりますよね。もう紙の
新聞を取るのはやめた、というお宅があるかもしれませんが、まあ
昔のことを思い出してみてください。

だいたいの新聞は、紙媒体でもネット媒体でもほぼ同じ内容のニュースを
流しています。その違いについて、意識したことはありますか?

記事そのものは、コンピュータ画面が大嫌い!という人でなければ、
ネット上のほうが字を大きくできるし、読みやすいですよね。リンク
などが張ってあることもあり、便利です。

しかし。その記事を読み終わった後、次の記事に移るのに、ちょっと
面倒ではありませんか?それに、新聞は見出しからリード部分、本文の
すべてが一度に目に入るのに対し、ネット上のリスト画面にはタイトル
しかなくて、内容が一瞥できませんよね。

そう、この「一瞥できない」というのが電子辞書の大問題なのです。

最初に電子辞書を使い始めたときに、

 「ええ〜用例見るのにボタンいちいち押すの。めんどくさ〜」

と思った人も多いでしょう。最初の画面は見出しのリストが中心だし、
次の画面には語彙しかありません。もっとも、これが逆に便利なことも
あります。納期2時間!などという翻訳をやっている場合には、事実、
助かります。とにかく速く引かねばなりませんから。

でも、そうして最初に出てきた語彙に飛びついては訳し、また飛びついては
訳し…ということを普段から繰り返していると、そのうちに「スペイン語と
日本語の一対一単語帳」が頭の中にできてしまいます。例えば「libro=本」
という具合です。

英語は、well, bear, bank など、ひとつの単語でまったく違う意味を
持つものが多いと言われますよね。スペイン語も、英語ほどではない
にしても、さまざまな意味があるのは確か。

例えば白水の西和辞典では libro に6つの意味を当てていますね。私は
そのほとんどの意味で使われているのを見たことがあります(6番目の
「(反芻動物の)第3胃」は見たことないですが!)。

私たちの経済辞書でも、「帳簿、台帳」の意味の libro を含む語を数十個も
採用しています。うふ。

・・・ともあれ、「libro=本」であると思い込み、辞書を引かず、
どんな文脈かをまったく考えずに、なんでもかんでも「本」と
訳すようになったら・・・?

これはもう翻訳者としてはレッドカード状態。退場願います。

紙の辞書なら、最初の語義と用例、次の語義と用例、イディオム、
さらには類語や参考語の説明まで、さほど努力しなくても目に入って
きます。つまりその項目全体を「読む」ことが簡単にできるのです。
その時には必要でない語義やイディオム、補足情報が、「なんとはなしに
目に入ってくる」、この状態は非常に貴重です。

同じことを電子辞書でやろうとすると、逆に途方もなく時間と手間が
かかります。

この「辞書を読む」行為の繰り返しが、どれほど役に立つかわかりません。
複数の辞書を並べてみるのと同様に、その項目に最初から最後まで
「目を通す」ことができる、これが紙の辞書の第2の利点です。

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 スペイン語翻訳者になろう(アンコールシリーズ 第3回)

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┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃  紙の辞書を引こう その1
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

電子ツール全盛の時代に、いまさら何を?と思われるでしょうか。
しかしここで声を大にしていいます。

 「できることなら紙の辞書を使え!」

と。

紙の辞書は重いしかさばるし、足の上に落とすと痛いし、手あかで汚れるし
かびるし、表紙が取れるし、中身は破れるし……でいいことがありません。

どこのメーカーであれ、西和・和西辞典の入った電子辞書が出たときに
飛びついて買った方は多いでしょう。軽くて小さいのに加え、電子辞書では、
ジャンプができる、成句検索や例文検索ができる、複数辞書の横断検索が
できる…などなど、紙では考えられなかった様々なことができるように
なりました。

しかしなにより、電子辞書の良さは「引くスピードが速い」この一言に
尽きますよね。

紙の辞書では、ページをめくるうちにスペルを忘れ、また原文を見ては探し、
やっと探し当てたころにはその単語がどういう文脈で出てきていたかを忘れ、
また原文に戻り、また辞書に戻ってふさわしい語義を探し…という作業を
延々と続けることになります。

でも電子辞書では、原文を見ながらキーボードの上で指をヒラヒラさせる
だけで、あっという間に目的の語にたどり着くことができます。

いまのところ、電子化されているのは白水社の『現代スペイン語辞典』と
『和西辞典』だけのようです。あ、そうそう、私たちの作った『スペイン語
経済ビジネス用語辞典』も忘れないようにしましょう。ウフ。

・・・したがって、その他の小学館や研究社などの辞典は、昔と同じように
紙をペラペラとめくって調べることになります。

電子辞書に慣れた者にとっては、これが途方もなくめんどうくさい。それは
確かです。この便利さを置いてまで紙の辞書を使えと言うからには、
よくよくの理由があるはず。はい、あるんです。
きょうはそのひとつめについて。

●複数の辞書を引く気になる
紙の辞書しかない状態ならば、ひとつ引くもふたつ引くも大して変わらず、
けっこうな割合で複数の辞書を引く気になります。西西や西英も含めると、
たったひとつの単語やイディオムを調べるのに、5冊以上引く、という
ことさえあります。

でも電子辞書に慣れると…「これ」というのに出会えなくても、
紙の辞書を引くのが億劫で、つい「まあいいや」とそこで止まって
しまうことがあります。

これ、非常によろしくない状態なのです。

このメルマガの vol.22 と vol.23 の「西和辞典は万能選手にあらず」で
言いましたように、西和辞典に載っているのは「原義そのもの(その語の
エッセンス)」というよりは、「訳の候補」です。

それも各社それぞれに工夫した分け方をし、工夫した語義や例文を載せて
いますから、一社の辞書を引くよりは、複数の辞書を引いたほうが、
「ピンと来る」語義に出会える可能性が高いのです。

それに、たくさんの「訳の候補」を見るということは、周辺部からその語の
「エッセンス」にどんどん近づいていく、ということ(ここで「スペイン語と
日本語の単語は、一対一で対応しているのでは決してない」という話を
思い出してください)。

日本語そのものではないけれど、なんとなくその語から立ち上る雰囲気と
いいますか、その語のニュアンスを感じることができる瞬間があります。
そこですかさず西西辞典を引いたりすると、さらに合点が行くわけです。
「おおっなるほど!」

このプロセス自体は、ある文章を翻訳するに際して、必ずしも必要なものとは
言えないかもしれません。ここまでやる時間のないときもあるでしょう。

でも特に学習者の皆さんは、なるべくならやっていただきたい。

ある日本語を見て、その類語が花火のスターマインのごとく頭の中にバカスカ
打ち上がる人はいいですけれど、だいたいは苦しむ人が多いですよね。
それなのにひとつの辞書だけ(つまり少ない訳の候補)で済ませてしまうと、
「貧しい」翻訳文になってしまうかもしれません。貧しいだけならまだしも、
文意が通らなくなる可能性さえあるのです。

なにより、「その語のエッセンス」を感じるというこのプロセスは、外国語の
学習過程では非常に大事だと私は考えています。

次回は紙の辞書を使う理由、その2です。

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【何を調べるの? その2】

前回は、「調査対象」の簡単な例として、辞書に載っていない人名の
読み方を挙げました。それ以外に調査が必要な言葉も、基本的には
西和辞典に載っていないものです。

例えば、地名、書籍名、社名・組織名、映画名。「同時多発テロ」の
ような歴史的事件名。あるいは、言語辞典には載っていない様々な分野の
様々な専門用語。

最新のドキュメントを扱っていれば、「将来は西和辞典に載りそうだが、
いまはまだ載っていない新語」に出会う可能性もあります。
(これを見つけるとうれしいんですよね〜)

こういった「ひとつのスペイン語に対するひとつの日本語」を探すケース
以外にも、調査には様々な種類があります。

例えば一国の政治体制や、行政区分などを調べることがあります。
翻訳するのにそんなことが必要なのかと思われるでしょうか。

presidente del Estado といったら、なんでしょう。まず間違いのない
訳としては「国家元首」ですが、presidente del Estado, Hu Jintao と
あったら、やはり「胡錦涛国家主席」と訳すべきですよね。

もし presidente del estado espanol だったら?そう、「スペイン首相」
です。(あまりこう言われることはないようですが)

これが中国とスペインだからすぐにわかりましたが、あまりなじみのない国の
場合には、その国が議院内閣制なのか、大統領制なのか、あるいは日本語での
定訳などを調べてからでなければ、きちんと訳すことができません。

単に Congreso と言った場合も、グアテマラなら一院制ですが、米国なら
ご存知の通り上下両院の両方を指します。

ほんの少し見ただけで、これだけ調べるべきことがでてきました。
しかもこれらは、基本中の基本です。

翻訳する文章の種類にもよりますが、実際に私たちが仕事をするうえで、
かかった時間の半分以上が調査のためだったということも少なくありません。
頭から湯気が出そうになり(たぶん出た)、画面に向かって毒づくことも
今までに数知れず…。

でも、実は調査というのはかなり楽しいです。私の場合、はっと気がつくと
自分の興味のままに調査が進んでいたということも(それって調査?)。

体はこの部屋にいますが、頭の中はネットに入り込んで、あるときは
スペイン国会に、あるときはメキシコ湾の深海底に、あるときは
アルゼンチンのガソリンスタンドに、あるときはコロンビアの小さな会社の
オフィスに……いつも心は世界旅行。

なあんてフラフラばかりもしていられない。来週は調査に使うツールについて、
少しお話しようと思います。

※来週からのアンコールシリーズは、「紙の辞書」の重要性について
 3週にわたってお送りする予定です。お楽しみに!
                     アース&ピーチ

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【何を調べるの? その1】

先回このコーナーでは、「翻訳するのに調査は必須」ということを
お話しました。ではいったい、何をそんなに調べる必要がある
のでしょうか。

まずはわかりやすい例を紹介しますので、トライしてみてください。

El presidente chino, Hu Jintao, se entrevisto' en marzo de
2003 en Beijing con el primer ministro paquistani'
Zafarullah Khan Jamali.

もーっ、半分はスペイン語じゃないじゃん!と腹が立ってしまうほど
ですが、この文章には presidente chino と paquistani' という大ヒントが
隠れていますから、解決はそれほど難しくありません。

そう、Hu Jintao は中国の胡錦涛国家主席、Zafarullah Khan Jamali は
パキスタンのザファルッラー・カーン・ジャマリ首相ですね。(ただし
2003年当時。パキスタン首相はすでに交替しています)

ついでに言うと、Beijing は「北京」です。

たったこれだけの文章でも、まったく何も見ずにすらすらと訳せた人は
ほとんどいないのではないでしょうか?新聞を見るなり、ネットで検索する
なり、とにかく何らかの資料にあたったはずです。

これこそが「調査」です。

なーんだ、それならいつもやってるよ!と思われたかもしれません。
そう、これが調査の基本です。

今回の場合、
  Hu Jintao   Beijing   Zafarullah Khan Jamali
の3つは、西和辞典に載っていない言葉でした。だから仕事であっても
原文のまま納品すればいいかというと…それはもちろん許されません。

ごくまれに、原文の固有名詞はそのまま残しても良いという条件で翻訳が
できることもありますが、ほとんどの場合は漢字にせよ、カタカナにせよ、
とにかく日本語にする必要があります。

つまり、なんとかして翻訳者の側で解決せねばならないということです。
それが「調査」であり、実は翻訳プロセスのうちのかなりの部分を
占めています。

一方で、例えば日本ではその存在さえ知られていない小さな会社の
中国人社長などになると、依頼元からの情報がない限り、どうひっくり
かえっても調べようがありません。

そういうものを無理に調べようとするのは、時間の無駄。調べがつくか
つかないか、そのあたりを見分ける「嗅覚」も必要になりそうです。

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