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2009年7月

 スペイン語翻訳者になろう vol.128

 おはようございます。ピーチです。
 夏ですねえ〜。年々暑さに強くなっている(ようである)私、
 「なぜ皆、あんなに『暑い、暑い』いうのだろう?」
 と、頭上に疑問符を5つほど踊らせております。
 とはいえ夏休みシーズンですし、本メルマガも「夏バテ対策省エネモード」
 に入ることにしました。
 来週号から5回にわたって「アンコールシリーズ」と題し、これまでの
 メルマガから厳選した(?)5記事をお届けします。
 読者の皆さんも、行楽や家族サービスやお盆等でお忙しい時期だと思います
 ので、お時間があればお付き合いください。

 さて、今回は前号でスタートした新シリーズ「経済ワードをスペイン語で
 学ぼう」のちょくねり篇です。
 また、編集後記ではアース氏からとても大切なお知らせがあります。
 最後の一行まで、ゆうるりとお目通し下さいね。

 では早速入っていきましょう。

  ※スペイン語の表記:このマガジンは比較的上級者を対象としている
   ことから、基本的にアクセントおよびティルデを入れていません。
   ただし動詞など重要な部分については入れることがあります。
   例)bajo → bajo'(動詞、三人称点過去の場合)

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ 経済ワードをスペイン語で学ぼう【ちょくねり篇】
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今回は、先週学んだ inflacion というワードの入った短文を
訳してみましょう。

◇本日の課題
La inflacion se desacelero' en abril, pero la variacion de los
precios se mantiene en un nivel elevado, golpeando mas fuerte
a Venezuela y Argentina.
※単純な構造ですので、いつもの構造図は省略します。

【語注】
se desacelero'<desacelerarse:減速する
variacion:変動、変化
precios :(複数形で)物価
golpeando<golpear:打つ、たたく

【直訳】
インフレ率は4月に減速したが、物価の変動は、ベネズエラとアルゼンチンを
より強くたたきながら、高い水準に維持されている。

【練り訳案1】
インフレ率は4月には低下したものの、依然として高い水準にあり、なかでも
ベネズエラとアルゼンチンに強い打撃を与えている。

※ variacion de los precios が直前の inflacion を言い換えたものである
 ことに気付くかどうかがか、この文章を手際よく料理できるか否かの分かれ
 道です。たとえ気がついたとしても、原文そのままに「インフレ率」「物価
 の変動」と訳すと、両者は違うことを言っているのでは?と読み手に感じさ
 せてしまう可能性があります。したがって se desacelero' も se mantiene
 も主語は同じ inflacion であると考え、訳出の際には主語は一度出すだけ
 にしておくのが良さそうです。

※ la inflacion se desacelero' は直訳では「インフレ率が減速」となって
 いますね。スペイン語の意味合いとしては、例えば1月に9%、2月に
 8%、3月に5%などと数字が減っていくことを指していますので、練り訳
 でも「減速」としても良さそうです。しかしネットで信頼のできそうなサイ
 トを調査してみると、日本語では、「インフレ率が減速」という表現はそれ
 ほど使われておらず、このような文脈で圧倒的に多いのは「低下」という言
 葉であることが分かります。このように日本語表現にあたっても、ネット調
 査をするなり、日頃から新聞を注意して読むなりして、「ある程度専門知識
 がある人が読んでも違和感を感じない文章」の作成を心がけることをお勧め
 します。

 また案2では文意をくんで、原文にはありませんが「前月より」という言葉
 を入れてみました。

【練り訳案2】
4月にインフレ率は前月より低下したが、いまだ高水準で推移している。とり
わけベネズエラとアルゼンチンでその傾向が強い。

上記2案以外にも訳し方(表現方法)はいくらでもあると思いますので、
ご自分でも挑戦してみてください。

◆編集後記◆
アースです。
史上最高に短かった先週の編集後記を埋め合わせるため(?)、
きょうは「調査セミナー」のお知らせをさせてください。

今年10月3日、以下のセミナーにて、わたくしアースが講師を
務めることとなりました。

☆「特許翻訳に役立つ!インターネットの活用ノウハウ
                〜翻訳の品質向上を目指して」

         (主催:株式会社知財翻訳研究所 知財アカデミー)

お申し込みはこちらから
http://www.chizai.jp/academy/seminar/TranslationResearch_J.html
(申込締切は9月24日(木)です)

「特許翻訳に役立つ」と謳ってはいますけれども、わたし自身、特許
翻訳者ではありませんので、あくまでも講義の眼目は「ネット調査」です。

それでも「特許」というと、すごく専門的で理系の文章が多くて・・と
高いハードルを感じてしまう人が多いかもしれませんね。確かに専門性
ということで言えば、その他の翻訳との差は大きいでしょう。

しかし翻訳者にとっての高いハードルは、むしろ「専門用語以外」の調査
なのではないかと思います。専門用語は、適切なサイトを知って、そこを
適切に使うことのできるスキルがあれば、見つかることが多いからです。

しかし「それ以外」の調査では、このメルマガでも何度かお話ししてきました
ように、まずは「調査すべきことに気がつくか否か」という点から問題に
なります。さらには適切な検索ワードを選択したり、大量にある検索結果から
適切なワードを拾い上げるテクニックなども必要になります。

今回のセミナーでは、「専門用語の対訳探し」だけでなく、そういった部分
についても重点的にお話をするつもりでおります。したがって特許翻訳
関係者さんに限らず、ネット調査全般に興味がおありの方は、ぜひ参加して
いただきたく思います。

http://www.chizai.jp/academy/seminar/TranslationResearch_J.html

こちらにわたしからのメッセージが載っていますので、よろしければ
ご覧くださいね。

ただし今回は、英語翻訳をメインにしておられる知財翻訳研究所さんの
主催ですので、対象言語は「英語」になります。でも、翻訳における調査の
重要性を語るときに、言語の違いはあまり問題になりません。英語翻訳など
考えたこともないという方にも必ず役立つ内容にするつもりです。

事前課題のサンプルが上記のページにありますので、ぜひご覧ください。
(このうち、特に和英の課題は英語との接点がほとんどない方には難しく
感じられるかもしれませんが、和英課題は「希望者のみ」ということに
します。講義のメインは「日本語訳」です)

いずれにしてもまだ3ヶ月も先の話ですので、まずはお知らせまで。
興味を持たれた方は、いまのうちから10月3日のスケジュールを空けて
おいてくださいね(もちろんお申し込みも大歓迎〜。申込み締切は
<9月24日(木)>です)。

史上最高に長い編集後記、これにて終了です!


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 スペイン語翻訳者になろう vol.127

 おはようございます。ピーチです。
 今回から、不定期の新コーナー「経済ワードをスペイン語で学ぼう」が
 始まります。
  「え〜〜、経済ぃ〜?やぁ〜だ〜!」
 という読者の皆さん(の一部)のブーイングが聞こえてきそうな
 気もしますが、私たちも、経済辞書を書いたとはいえ、
 経済の専門家ではありませんので、難しいことは書きません(書けません)。
 どうか「配信停止」手続きを取るのを思いとどまって、まずはお読み
 ください。
 今回は第一回に相応しく、誰にとっても馴染みのあるワード「インフレ」を
 扱います。
 では早速始めましょう。

 ==<もくじ>===========================
   1) 経済ワードをスペイン語で学ぼう【インフレ】
   2) 実例を見てみよう
 ==================================

  ※スペイン語の表記:このマガジンは比較的上級者を対象としている
   ことから、基本的にアクセントおよびティルデを入れていません。
   ただし動詞など重要な部分については入れることがあります。
   例)bajo → bajo'(動詞、三人称点過去の場合)

┏━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃1│ 経済ワードをスペイン語で学ぼう【インフレ】
┗━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ここ数年は「デフレ」からどうしても抜け出ることのできない日本経済
ですが、過去100年を見てみれば、なんといっても「インフレ」の時期の
方が長かったですよね。

というわけでわたしたちに最も身近な経済ワード、inflacion から
このコーナーを始めましょう。

改めてその意味を調べてみると、

一般物価水準が持続的に上昇して、相対的に貨幣価値が下落する現象。
          (『スペイン語経済ビジネス用語辞典』より)

ですが、こんな小難しい説明がなくても、みなさん、肌でその感覚は
わかっていらっしゃると思います。

「相対的に貨幣価値が下落する」というのは、前はチョコ10個を100円で
買えたものが、いまは200円出さないと買えないというような状態を
言います。

つまり裏返せば、前は100円で10個のチョコを買えたものが、いまは
5個しか買えない、ということですね。100円というお金の価値が
下がったわけです。うう、かなしい。

なお西和辞典を引いても inflacion に「インフレ“率”」という
語義は載っていないことが多いようですが、実際にはほとんどが
この意味で使われています。

さて、それでは実際の用例を見ることにしましょう。
練り訳を見る前に、ご自分でも訳してみてくださいね。

┏━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃2│ 実例を見てみよう
┗━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◇La inflacion de mayo fue de 1,9 por ciento, muy por debajo del 13,4
 por ciento observado en el mismo mes del an~o pasado.
 5月のインフレ率は1.9%で、前年同月の13.4%を大きく下回った。

◇Costa Rica registro' en el primer semestre de este an~o una
 inflacion acumulada de 1,21%.
 今年上半期のコスタリカのインフレ率は1.21%だった。

※ inflacion acumulada de 1,21%=「1.21%という積み上がったインフレ」
 は、たとえばインフレ率が1月に0.5%、2月に0.31%、3月に0.4%と推移し
 た場合、1〜3月を合計すると1.21%になるということですが、acumulada は
 訳出しないほうが自然です。日本語では、このような文脈では「累積インフ
 レ率」といわずに単に「インフレ率」と表現されています。

◇Los bajos niveles de inflacion registrados a lo largo de este an~o
 coinciden con la meta del Banco Central para este an~o, de lograr
 una inflacion de un solo digito.
 今年のインフレ率は現時点まで低水準で推移しており、年間インフレ率を一
 桁に抑えるという中央銀行の目標に沿ったものとなっている。

◇La tasa anual de inflacion en Zimbabue ha alcanzado un nuevo
 record, registrando 2,2 millones por ciento.
 ジンバブエの年間インフレ率は220万%に達し、過去最高となった。

◆編集後記◆
アースです。
う〜むきょうは、まったく書くことが思い浮かびません。
また来週〜!!!


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 スペイン語翻訳者になろう vol.126

 こんばんは。アースです。
 明日の午前0時から“まぐまぐ”のメンテナンスがあるそうなので、
 本号は火曜夜の配信(でも気分で7月1日号にします)。

 少し前にホームベーカリーを買ったと書きましたが、あれ以来、ずっと
 愛用しています。市販の食パンとは比べものにならないくらいおいしい!
 というわけでもないのですが、材料を自分で把握できるので、何より
 安心です。
 そしてこの梅雨時。「カビるのが相当早い」ということがわかりました。
 裏返せば、市販の食パンはなんだかんだ防腐作用のあるものが入れて
 あるんだろうなあ、だからなかなか悪くならないのだろうなあ・・と。
 新しい発見でした。残念ながらカビてしまった部分はスズメさんに
 食べてもらっています。

 さて、きょうは久しぶりに「翻訳者の心構え」に関する話。
 ・・・いえ、そんなタイソウなものじゃないです。
 寝そべって読んでいただいてもいいですよ。
 それでは始めましょう。

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃  アンテナを高く上げよう
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先週号まで2週にわたり、civil を「民間」と「民生」とに訳し分ける
必要性についてのお話をしました。そして編集後記で

 もちろん、「最初からこの使い分けについて正確に知っていないと
 お話にならない」ということはありません。わからなければ調査すれば
 いいのです。それでも、まったくひっかかりがなければそのまま「民間」
 としてしまう可能性もありますから、こういうときに「他に言い方が
 あったような・・?」と思い出せるように、どこかの時点でその言葉を
 拾い上げることのできるアンテナを育てておくことがとても重要だと
 思います。この「ちょっとしたことにぴぴっと反応するアンテナ」に
 ついては、次週お話しする予定ですので、楽しみにしていてくださいね。

と書きました。

この「ぴぴっと反応するアンテナ」について説明するのはなかなか難しい
のですが、たとえば、あるカバンを買おうとして、

「この取っ手がいまひとつなんだけどなぁ〜。でも柄も大きさも
 文句ないしなぁ〜。しょうがないからこれを買おうか」

と考えたときに、ふと

「むかし、こんなカバンを買ったことがあるような・・? これと
 そっくりだけど、でも取っ手はこうじゃなくて、いまのわたしの
 希望通りだったような・・?」

と思い出し、家に帰って押し入れをひっくりかえすと、希望通りのものが
見つかった!やったぜ!というような感じです。

え、ぜんぜんわからない?

つまり、「過去に一度見たことがある(あるいは手にしたことがある、
買ったことがある、聞いたことがある)」という経験がほんのちょっと
でもあれば、頭の片隅に案外残るものである、と言いたいのです。
このことをこの文章では「引っかかる」と表現することにします。

上ではカバンの例を出しましたが、「言葉」や「知識」もまったく
同じです。過去に一回でも「引っかかった」ことがある言葉は、
意外なほど頭の中に残っています。これを利用しない手はありません。

ただし、「言葉」や「知識」は抽象的なものですから、カバンと
同じような調子では印象に残ってくれません。ただ文字を眺めただけ、
音を耳に入れただけでは、すぐに抜けていく可能性が大です。そこで
「言葉や知識にぴぴっと反応する専用アンテナ」が必要になるわけです。

さっきから「ぴぴぴぴ」うるさいですが、どんなふうに反応したって
OK。とにかく足の小指でもいいから引っかかること、これが大事です。
無理に表現すれば「好奇心」ということになるかもしれませんが、
そこまで強くなくてもいいのです。「なんとなく気にする(気になる)」
程度でじゅうぶん。

この「ちょっとのことでも引っかかるアンテナ」を持っているか、
あるいは何でも流して見たり聞いたりしてしまうかで、頭の中に
蓄積される情報量はずいぶん違ってくる・・と思います。

覚えたことをすべて意識していなくても構いません。必要になった
ときに、必要な引き出しをあけてそれを見つけることができるなら、
30年間ずっと忘れていたっていいのです。

人間とはすごいもので、頭の中の情報量がどれほど増えても、必要な
ときに必要なものを取り出せる能力をちゃんと持っています。どれだけ
うるさい場所にいても、自分の名前だけは聞き分けられるというのも、
これと似たような能力じゃないかなぁと思います。

でも、「なんでもかんでも情報を取得して頭に詰め込む」ということを
やっていると、そのうちパンクするのでは?と思ってしまいますよね。
いえいえ、さっきもちょっと言いかけましたが、「好奇心をびんびんに
してやたら知識を詰め込む」ことはしなくていいのです。「引っかかった
ものを拾う」だけでじゅうぶん。

わたしの経験から言って、義務的にそういうことをしよう(ありと
あらゆる情報をのみこもう)としても、なかなかうまく行くものでは
ありません。疲れますし、なにより興味のないことを無理やり覚える
のは楽しくありません。人生は楽しまねば。

だから好きな分野、あるいは興味が持続しそうな分野のことを、
ほんとにちょっとずつ、これまでより少し多く気にするだけでいい
のです。この「初めの一歩」だけは努力が必要かなと思います。
努力というほどではなく、「気にかけようと意識する姿勢」かな。

あとは流れに任せればよろしい。

「アンテナ」に引っかかる情報が増えてくると、今度はそれらの情報が
自動的に(有機的に?)絡み合って、ある事柄に対するぼんやりとした
認識が形作られるようになります。これまた、人間の脳のすごいところ。

ジグソーパズルをやり始めたときはまったく見えてこなかった絵柄が、
あっちの隅やこっちの隅でちょっとずつ意味のあるものになり、あるとき
突然、全体像が現れる・・というイメージです。情報の断片が無秩序に
散らばっているだけだったものが、突如として系統だった知識として
見えてくる、うれしい瞬間です。

ここまで来れば、そうそう忘れるものではありません。脳みそが勝手に
整理整頓を行うせいか、この「有機化(?)」は加速度がつくので、年を
経れば経るほど、整理された情報が頭の中で増えていきます。
(ある意味、「大人になる」ってそういうことかなあと思います)

もっとも実際には、まとまった情報として意識できるほどのものには
なかなかなりません。でも、断片的な知識や表現であっても、いつどこで
使えるかわかりません。とくに需要が少ないスペイン語翻訳の場合、
翻訳者はありとあらゆる分野の仕事を請け負わねばなりませんから、
いつか必ず役に立ちます。これは私たちの経験から言って
ほぼ断言できます。

みなさんも、きょうからほんのちょっとずつ、アンテナの捕捉範囲を広く、
捕捉深度を深くしてみてはいかがでしょうか。ひょっとすると、あっと驚く
大物がかかったりして?

◆編集後記◆
ピーチです。
文章修養の一策として、「紋切型の表現をできるだけ避ける」ことが
よく挙げられるようです。紋切型監視委員会末席研究員のわたしは、
他人様の文章の中に潜む紋切型にはすぐに気づくのですが、
自分ではなかなか気づいていないようである・・ことに時々気づきます
(紋切でない表現を考えるのが面倒で、便利に使ってしまうという
こともありますが)
つい使いそうになる「紋切」としていまパッと思いつくのは
「〜なのはわたしだけでしょうか?」
「〜なきょうこの頃です」
「〜は神のみぞ知る」
「〜な自分が怖い」
などなど。皆さんにもお手持ちの紋切、ありますか?

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