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2009年6月

 スペイン語翻訳者になろう vol.125

 おはようございます。ピーチです。
 気がつけば上半期最後のメルマガなのですね。この半年、自分が
 何をしていたのか、5月のセミナー以外はすでによく思い出せません。
 皆さんはいかがですか?

 さて、今号は先週の続き(後編)です。
 早速入って参りましょう。

  ※スペイン語の表記:このマガジンは比較的上級者を対象としている
   ことから、基本的にアクセントおよびティルデを入れていません。
   ただし動詞など重要な部分については入れることがあります。
   例)bajo → bajo'(動詞、三人称点過去の場合)

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃  実は難しい、単純な単語の訳し方 〜civil〜(後篇)
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

先週は、

Egipto lanzara' un programa para construir varias centrales civiles
de energia nuclear. El presidente egipcio, Hosni Mubarak, indico'
que la construccion de las centrales se realizara' con transparencia
y cooperacion de la Agencia Internacional de Energia Atomica (AIEA).

という原文のうち、centrales civiles de energia nuclear の
civil の訳語として何をあてはめればよいか、という問題提起を
したところで終わっていました。

具体的には、「civil(民生の)は privado(民間の)とは違う。
国が作ろうが民間会社が作ろうが、軍事利用でなければ civil で、
日本語ではこれを『民生』と表現する」という講師のコメントに対し、
「日本語では『軍人』との対比の意味で『民間人』という表現を使う
ので、『軍事利用の原発』との対比として『民間の原発』などと
表現してもいいのではないか」という指摘があった、という話でした。

みなさん、考えていただけたでしょうか?そして結論は出ましたか?

この話を、「軍事/民間」という反対語のペアで考えている限り、
確かに「民間」を使っても良さそうです。が、「民間」という言葉は
「軍事」の反対語であるとともに、「公的・公共」の反対語でも
あります。つまり「民間」という言葉は「非軍事」も意味するけれど、
同時に「公的・公共でない」という意味も表すわけです。

今回のエジプトのケースを調べたところでは、国策としての電力増強計画
という感じの発表のされ方のようですので、エジプト政府の出資である
ことはまず間違いありません。実際の建設・運営には(入札などを通じて)
外国の民間企業の力を借りる可能性が高いですが、それでも基本的に所有
するのは政府ということです。実際にはおそらくエジプト電力公社などの
所有になるのでしょう。

つまりこの原発は「公的機関の出資で建設され、非軍事目的で利用される
もの」ということです。それなのに「民間」という用語を使いますと、
この「公的機関の出資で建設」という部分が表せないだけならまだしも、
「民間出資」というまったく逆の意味にとられる可能性が高くなります。
この点、「民生」という言葉は「非軍事」のニュアンスしかありませんので、
今回のケースで使っても何ら問題がないわけです。

ニュアンスの上では civil=民生、privado=民間 が基本と言えそうです。
ただ、civil が「民間」と訳せる場合もあります。逆に privado が
「民生」と訳せるケースはないと言っていいでしょう。

「スペイン語と日本語の単語(の意味)は一対一で対応しているわけでは
ない」ということを私たちはつい忘れがちですが、今回の civil(民生/
民間)のケースは、その良い例になっているようですね。日本語の「民間」
という言葉とスペイン語の privado では、意味的に重ならない部分もある
ということでしょう。

したがって今回のケースでは、「民生用の原子力発電所」と訳すべき
であるということになります。

もうひとつ大事なことをつけくわえておきます。仮に今回の原発が
「政府のお声掛かりながら民間資金を用い、非軍事目的で建設される」
のであれば、「非公的機関による非軍事利用のもの」という両方の意味で
まさに「民間の原子力発電所」なのだから、そう訳しても良いかも?と
思われるかもしれません。しかしこの原文でわざわざ civil という言葉を
使ったのは、

 1)民間企業の出資でなく、公的機関の出資である
 2)軍事利用でなく、民生(民間)利用である

のうち、1)の観点で話をしたかったからではなく、2)の観点で
話をしたかったからだと思います。極論すれば、出資はどこでも
構わないが、重要なのは非軍事利用であるという点なのでしょう。
繰り返しになりますが、1)を強調したかったのであれば、privado を
使うはずです。したがって、やはり今回の場合は「民生」を使うべき
なのでしょう。

「民間」と「民生」の意味はよく似ているが、表現する際の視点
(切り口)が違うということなのでしょうね。このあたり、civil
と privado に限った話ではなさそうです。その視点がどこにあるかを
考えずに、似たような日本語から適当に選んでしまってはいないか、
常に気をつけていただきたい問題です(自分で言っていて耳が痛い
ですが・・)。

※蛇足で付け加えておきます。調査している過程で、日本では一部の
 産業において「民生用」という言葉を「業務用」「軍事用」以外の
 「一般家庭用」の意味で使っていることがわかりました(ただし、
 スペイン語ではこの意味で civil という言葉は使っていないと
 思います)。

◆編集後記◆
アースです。
2週にわたってお届けした「civil と民生/民間の使い分け」の
話はいかがでしたか? 上記では「エジプト政府のお声掛かり・出資云々」
と回りくどいことを言っていますが、実はIAEAの協力を受ける
(つまり監視される)という文章が出てきた時点で、「国営か民間経営か」
という問題は意味がなくなり、「軍事か非軍事か」という部分に視点が
自動的に切り替わります。IAEAは核の平和利用を促進するための
機関であって、その核施設を作るお金を出すのが誰かということには
無関心(であるはず)だからです。したがって今回のケースでは、国営/
民間経営ではなく、軍事/非軍事という観点から civil という言葉を
訳す必要がある、という判断ができることになります。
ともあれ今回言いたかったのは、IAEAというヒントがあろうと
なかろうと、「民生と民間という言葉がそういう視点で使い分けをされて
いる」という認識がないと、civil を適切に訳すことはできない、という
ことです。
もちろん、「最初からこの使い分けについて正確に知っていないとお話に
ならない」ということはありません。わからなければ調査すればいいのです。
それでも、まったくひっかかりがなければそのまま「民間」としてしまう
可能性もありますから、こういうときに「他に言い方があったような・・?」
と思い出せるように、どこかの時点でその言葉を拾い上げることの
できるアンテナを育てておくことがとても重要だと思います。この
「ちょっとしたことにぴぴっと反応するアンテナ」については、次週お話し
する予定ですので、楽しみにしていてくださいね。


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  スペイン語翻訳者になろう〜プロが教える実践翻訳術
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 ◎発行者
  ピーチ:都会の翻訳者。「ものぐさ星」からやってきたものぐさ星人。
      夏休みの宿題は9月1日まで手をつけないタイプ。何に役立つ
      のかよくわからない発作的なアイデアと瞬発力だけを頼りに生
      きる。
  アース:田舎の翻訳者。本人に自覚はないが、こつこつ星人に見えるら
      しい。夏休みの宿題は7月中に終わらせるタイプ。長い渋滞で
      も決してイライラしない忍耐強さと何でも楽しんでしまう器用
      さ(お気楽さ?)が武器。
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 スペイン語翻訳者になろう vol.124

 おはようございます、アースです。
 セミナーの夢を見ました。
 講義開始直前で、受講生はみな着席。一番うしろでは、
 ピーチが「早くやらんかい」という顔をして立っています。
 わたしも早く始めたいのですが、何か大事なことを忘れている
 気がして、いつまでもぐずぐず。
 「そうだ、お餅を配らなければ!!」
 と気づいたわたしは鞄をあけて、大きな草餅のようなものを
 受講生にひとつずつ配ります。みんな、まるで採点済みのテストを
 受け取るような顔でしぶしぶ受け取っています。
 ようやくやることをやった気になったわたしは、おもむろに
 プロジェクタを起動するのでした。
 ・・・朝からくだらない夢の話ですみません。
 いちおうお断りしておきますと、アース&ピーチのセミナーに
 出席しても、お餅はもらえません。たぶん。

 さて、今週と来週は久しぶりにちょくねりから離れ、あるひとつの
 単語についてしつこく語ります。皆さんもぜひ考えてみて
 くださいね。それでは始めましょう。

  ※スペイン語の表記:このマガジンは比較的上級者を対象としている
   ことから、基本的にアクセントおよびティルデを入れていません。
   ただし動詞など重要な部分については入れることがあります。
   例)bajo → bajo'(動詞、三人称点過去の場合)

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┃  実は難しい、単純な単語の訳し方 〜civil〜(前篇)
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先日東京で開催した「翻訳初心者さん向けのセミナー」で、じつに
興味深い話題が出てきましたので、きょうはそれをご紹介します。
読者の皆さんにもじっくり考えていただきたい問題です。

事前課題のひとつに、

Egipto lanzara' un programa para construir varias centrales civiles
de energia nuclear. El presidente egipcio, Hosni Mubarak, indico'
que la construccion de las centrales se realizara' con transparencia
y cooperacion de la Agencia Internacional de Energia Atomica (AIEA).

という原文がありました。まずは、下の語注を参考にして
訳してみてください。

 lanzar un programa=計画を実行する、計画を進める
 central=発電所
 Agencia Internacional de Energia Atomica=国際原子力機関

いかがですか? 構造はごく単純ですし、内容もそれほど難しくは
ありませんよね。例えば

エジプトは複数の民生用原子力発電所を建設する計画を進める予定だ。
同国のムバラク大統領は、発電所建設は透明性を保ちつつ、国際原子
力機関(IAEA)の協力を得て行われることになると述べた。

のような感じになるでしょうか。セミナー受講生のみなさんの解答も、
おおむね正確なものになっていました。

ただ、受講生の訳文の中でも、訳語が真っ二つに分かれた部分が1ヶ所
だけありました。centrales civiles de energia nuclear です。

ひとつは「民間の原子力発電所」、もうひとつは「民生用の原子力発電所」。
そう、civil の訳し方が「民間」と「民生」に分かれたのです。読者の
皆さんのなかで「わたしも『民間』にしたよ」という方も多いのでは
ないでしょうか。

セミナー当日、講師が「civil(民生の)は privado(民間の)とは
違う。国が作ろうが民間会社が作ろうが、軍事利用でなければ civil で、
日本語ではこれを『民生』と表現する」と解説したところ、「日本語
では『軍人』との対比の意味で『民間人』という表現を使うので、
『軍事利用の原発』との対比として『民間の原発』などと表現しても
いいのではないか」という質問がありました。

これはとてもいい指摘だと思います。講師は「こういうケースでは
『民生』を使うのが普通」程度の理由で(つまり経験則から)上記の
コメントを出しただけでしたので、質問を受けて、改めて考え込んで
しまいました。

civil を西和辞典で引きますと、

 1)民法上の、民事の
 2)民間の;(軍人に対して)文官の、文民の;
   (聖職者に対して)世俗の
 3)市民の;公民の
               (小学館「西和中辞典」より)

などとなっており、確かに「民間の」という語義があります(なんと
「民生の」は載っていないんですね!)。

しかしこの文脈で果たして「民間」という言葉を使えるでしょうか?
使えないとすれば、その理由は何でしょうか。今週はここまでとします
ので、来週までに皆さんもぜひ考えてみてくださいね。

◆編集後記◆
この時期になると、手持無沙汰時の落書きがカタツムリの絵となる、
単細胞のピーチです(単にアジサイを書く画力がないだけ・・)
さて、わたしのリサーチによると、公共の場での「独り言率」は中高年
女性が圧倒的に高いようですが(主にスーパーにて)、「鼻歌率」は中高年
男性がぶっちぎりではないかと思われます。
先日も、近所の巨大公園に行くまでのわずか5分の道のりですれ違った
4人の男性全員が鼻歌を歌っていました(うち1人は熱唱)。
半ば驚きながら公園についたところ、入口付近のベンチにて、
ウクレレを弾きながらムーンリバーを朗朗と歌い上げる推定年齢80歳の
男性を発見。(これはもはや「鼻歌」ではないですが、とにかく矢鱈と
お上手だったんで、いったん足を止めて聞き入ってしまいました)
A小路Kまろ氏ならばこのような陽気なチューコーネン(彼の定義では
50歳以上の男女) をどう料理(表現)してくれるのでしょうね。

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 スペイン語翻訳者になろう vol.123

 おはようございます、ピーチです。
 最近、本メルマガの前書きと編集後記が異様に長くなる傾向があり、
 メインテーマを侵食しているとの噂もあります(?)ので、
 たまには無駄口たたかずにズバッと本論に入ってみようと思います。
 今回のちょくねり(題材は前回と同じインフルエンザ)は一見簡単
 なんですが、細かい部分で目を向けるべき点が存外あり、原稿作成に
 相当な時間がかかりました。
 とくに翻訳初心者の皆様にはじっくり読んで頂きたい内容です。
 それでは早速始めましょう。

  ※スペイン語の表記:このマガジンは比較的上級者を対象としている
   ことから、基本的にアクセントおよびティルデを入れていません。
   ただし動詞など重要な部分については入れることがあります。
   例)bajo → bajo'(動詞、三人称点過去の場合)

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ 「ちょくねりメソッド」で翻訳に挑戦しよう
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◇本日の課題
La OMS pide a las personas que acudan a los servicios medicos si
presentan alguno de los sintomas como fiebre superior a 38 grados,
tos, dolor de cabeza intenso, dolores musculares y de articulaciones,
irritacion de los ojos y flujo nasal.

【構造図】
La OMS pide a las personas
   que acudan a los servicios medicos
        si presentan alguno de los sintomas como
             (1) fiebre superior a 38 grados,
             (2) tos,
             (3) dolor de cabeza intenso,
             (4) dolores musculares y de articulaciones,
             (5) irritacion de los ojos y
             (6) flujo nasal.
※ (1)〜(6)が並列です。

【語注】
OMS=Organizacion Mundial de la Salud:世界保健機関(WHO)
acudan<acudir  :行く、通う
servicios medicos:医療サービス、医療機関
presentan<presentar:見せる、示す、呈する
sintomas     :症状
articulaciones  :関節
irritacion    :炎症
flujo nasal   :鼻水、鼻汁

【直訳】
WHOは人々に対し、38度以上の熱、咳、強い頭痛、筋肉・関節痛、目の炎症、
鼻水などの諸症状のうちのいずれかを示す場合は、医療機関に行くように要請
している。

※ 動詞 acuden の主語は当然ながら las personas です。またその後ろの
 si 節のなかにある動詞 presentan も複数形になっていますので、主語は
 La OMS ではなく las personas です。

※ 「superior a+数字」は、「〜を上回る」などと辞書には載っています
 が、実際にはその数字を含むことがよくあります。この文章の superior
 a 38 grados も、「38度より高い(熱)」すなわち「38.1度以上」を示すと
 考えるよりは、「38.0度以上」ととるのが自然ですね。

※ acudir は、日本語訳としては ir などと同じように「行く」とできます
 が、同じ「行く」でも、一部の西和辞典にあるように「駆けつける」の要素
 があり、「症状が見つかったらすぐ病院へ!」という今回の文章のニュアン
 スをうまく表現した単語だと思います。

 また acudir には「(手段等に)訴える」の語義もありますが、これに対応
 する西西辞典の説明は

  Utilizar a alguien o algo para cierto fin, particularmente
  cuando otros medios o procedimientos han fallado.

 となっています。つまり「最後の切り札として使う」というような意味です
 ね。今回の文章の場合は「四の五の言わず病院へ行け」ということですの
 で、最後の切り札云々とは話が若干ずれるかもしれませんが、「安静にす
 る、市販薬を飲む等の他の方法をとってみても役に立たないから、医者(と
 いう奥の手)を利用せよ」というように補って考えれば、結局は同じことを
 言っている・・のかもしれません。

 余談ですが、このように西西辞典等を使って、各単語の核となるニュアンス
 (のようなもの)をつかむ練習をしておくと、和文西訳のときに威力を発揮
 します。スペイン語訳を上達させたい方は是非試してみてください。

【練り訳案1】
WHOは、38度以上の熱、咳、強い頭痛、筋肉・関節痛、目の炎症、鼻水など
の症状のうちひとつでも出た人は医療機関で受診するよう勧告している。

※ 直訳と同じように「WHOは人々に対し、〜と勧告している」などとする
 と、WHOという固有の機関名がはっきりと出ているのに対し、「人々」と
 いう表現が漠然としすぎていて、若干アンバランスな感じがします。もちろ
 ん原文にはそのように書いてあるわけですから間違いではないのですが、日
 本の報道文ではこういった表現にはまずお目にかかりません(ただ、「政府
 が国民に呼びかける」などの表現はありますね)。

 しかし、不自然だということはなんとなくわかっても、適切な言い回しが思
 い浮かばないという人も多いでしょう。そういうときには、「大きな公共機
 関や組織が市民に対して呼びかけを行う際、通常どのような言い方がされる
 のか」をネットでリサーチするのも手です(ただし、見つけた言い回しが本
 当に一般的な表現なのか検証する必要があります。とくに個人ブログなどの
 表現には要注意)。

※ acudir は、上記の解説でも説明したとおり「駆けつける」が原義ですが、
 「医療機関に駆けつけるよう勧告している」では少々不自然ですね。

   acudir/a los servicios medicos

 のように、/のところで分けてそれぞれを訳出しようとすると、全体として
 どうも不自然な日本語になってしまうようです。そういうときは、acudir
 a los servicios medicos をひとつのカタマリとして捉え、これに相当する
 日本語がないか考えてみましょう。そう、日本語には「(医療機関で)受診
 する」という便利な言い方がありますね。

【練り訳案2】
38度以上の熱、咳、強度の頭痛、筋肉・関節痛、眼炎症、鼻汁などの諸症状の
うち、いずれかひとつでも出ている場合は、医療機関で即時受診することを
WHOは勧告している。

【練り訳案3】
WHOは、以下に挙げるもののうちいずれかの症状が見られた場合は、速やか
に医療機関にかかる必要があるとしている。
 ・38度を超える熱
 ・咳
 ・強い頭痛
 ・筋肉や関節の痛み
 ・目の炎症、鼻水等

◆編集後記◆
アースです。
ええっ、後書きは3行以内??んな無茶な〜。ムリムリ。
ってことで、いつものとおり好きにしゃべることにします。
先日、いつもの道のとある信号で止まったところ、我が家のカローラの
前にポルシェが止まっていました。
さすがにいい音してんなぁ〜でもガソリンぶちまけて走ってるような
車だもんね。いまどき流行らないわね、などと話しておりましたところ、
信号が青に変わりました。
うちのカローラがマニュアル車で出足が遅いということもあるのですが、
あまりの加速の違いに感動。まさに「あれよあれよ」というまに
す〜っと行ってしまわれました。
都会ならすぐに次の信号にひっかかってしまうけれど、このあと
20キロは信号もなく、ひたすら幅広い田舎道。独車の本領発揮です。
こちらも時速70キロは出しているのに、あっというまに視界から
消えてゆきました。
つい、「・・つかまればいいのに」とつぶやいてしまったわたし
でした(せこい)。

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 スペイン語翻訳者になろう vol.122

 おはようございます、アースです。
 きのう、近所の人から長さ30センチほどもある「朴葉(ほうば)」を
 もらいました。岐阜県などでは「朴葉味噌」というのが有名らしい
 ですが、その朴葉です。朴の木(ほおのき)の葉っぱ。
 これもらってどうするん?と思ったら、「ほうばめし」というのを
 作るとおいしいよ、と。
 きなこ(+砂糖+塩)を朴葉に乗せて、その上にご飯、その上に
 またきなこ。一度包んで、もう一枚の葉でさらに包む。ちょっと
 置いたらできあがりです。
 開いてみたところが、ただの「きなこごはん」。でも口に入れると、
 朴葉の香りがほんのりとただよってきて、なんとも上品な味に
 仕上がっていました。
 朴の木(ほおのき)は日本全国に自生しているらしいので、皆さんの
 お宅の近くにもあるかも。Wiki によると殺菌作用があるみたいなので、
 ちょっと変わったお弁当にいいかもしれませんよ。

 さて、先週、限定10冊ということでお知らせした製本版教材の
 追加お申込み受付は完了致しました!!ご購入いただいた方、
 ありがとうございました。
 注文が間に合わなかった方、ごめんなさい!内容の同じPDF版を
 ご購入いただくか、あるいはいつになるかわかりませんが、次回の
 製本版販売を気長〜にお待ちくださいませ。

 それでは本題に入りましょう。きょうは「新型インフルエンザ」に関する
 文章を使ったちょくねりです。
 後半ではラテンアメリカ・ドキュメンタリー上映会のご紹介も
 ありますので、どうぞご覧くださいね。

 ==<もくじ>===========================
   1) 「ちょくねりメソッド」で翻訳に挑戦しよう
   2) ラテンアメリカ・ドキュメンタリー上映会のご案内
 ==================================

  ※スペイン語の表記:このマガジンは比較的上級者を対象としている
   ことから、基本的にアクセントおよびティルデを入れていません。
   ただし動詞など重要な部分については入れることがあります。
   例)bajo → bajo'(動詞、三人称点過去の場合)

┏━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃1│ 「ちょくねりメソッド」で翻訳に挑戦しよう
┗━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◇本日の課題
El gigante farmaceutico Sanofi Aventis anuncio' hoy su disposicion
a trabajar en la busqueda de una vacuna contra el virus de la gripe
porcina detectado en Mexico para evitar el desarrollo de una
pandemia.
※単純な構造ですので、いつもの構造図は省略します。

【語注】
gigante   :巨人
farmaceutico:製薬の
disposicion :(+a+不定詞)〜する意向
busqueda  :探索、追求
vacuna   :ワクチン
gripe porcina:豚インフルエンザ
detectado<detectar:検出する
pandemia  :パンデミック

【直訳】
製薬の巨人サノフィ・アベンティスはきょう、パンデミックの進展を避けるた
めに、メキシコで検出された豚インフルエンザのウイルスに対するワクチンの
探索において活動するという同社の意向を発表した。


【練り訳案1】
製薬大手のサノフィ・アベンティス社はきょう、パンデミックを防ぐため、メ
キシコで検出された豚インフルエンザ・ウイルスに対応するワクチンを開発す
る用意があると発表した。

※ su disposicion a trabajar en la busqueda de una vacuna のあたりが難
 しいですね。直訳はとりあえず原文を正確に引き写すことを目指すので、
 「ワクチンの探索において活動するという同社の意向」などと冗長な表現に
 なっていますが、trabajar en la busqueda de una vacuna の部分は要する
 に「ワクチンを開発する(開発に努力する)」ということです。

※ desarrollo が案外厄介です。「(パンデミックの)進展」などと
 desarrollo のもともとの意味でとると、日本語としてはいまひとつ。一歩
 踏み込んで「(パンデミックの)拡大」や「(パンデミックの)発生」など
 とするのも、原義から外れる感じがしますし、日本語でもそのような表現は
 ほとんどされていません。そもそも「パンデミック」というのは「限られた
 期間に、ある感染症が世界的に大流行すること」だそうですので、「(感染
 症の)発生、進展、拡大」のいずれの段階も含んでいると考えれば、el
 desarrollode una pandemia のかたまりを、「パンデミック」とまとめて訳
 してしまうのも1つの方法です。

【練り訳案2】
大手製薬メーカーのサノフィ・アベンティスが本日発表したところによると、
同社はメキシコで見つかった新型インフルエンザ・ウイルスのワクチン開発を
行い、パンデミックの防止に尽力する意向とのことである。

┏━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃2│ ラテンアメリカ・ドキュメンタリー上映会のご案内
┗━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

さる5月25日、アース&ピーチさん主催「スペイン語翻訳上級者向けワーク
ショップ」に関西より参加させていただきました武田と申します。

今月16日(火)、明治学院大学の国際平和研究所主催で行われるラテン
アメリカのドキュメンタリー上映会についてご紹介します。どなたでも
ご参加いただけますので、お気軽にお越しください。

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  PRIME Cinema Cafe 第4回 映像で知るラテンアメリカ

      「おんなの言葉」
      「消えた家族たち‐コロンビアの記憶」

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上映される上記2作品は、今年行われた

  「第4回女たちの映像祭・大阪2009」(主催「波を作る女たち」)

に出品された作品です。

ラテンアメリカの「今」を政治暴力の被害者、特にフェミニストの視点から
描いています。どちらも30分以内の短い作品ですが、大きなメディアでは
うかがい知ることのできない現状が垣間見えます。

サンディニスタ政権の頃からニカラグアの動向を見つめてきたレコムの
新川志保子さん、今回上映されるコロンビア作品の字幕を担当された
明治大学教員仮屋浩子さんの解説がつきます。

  日時 :6月16日(火)18:30-20:30(字幕・解説あり)

  会場 :明治学院大学 白金校舎白金校舎 3号館 3203教室

  → http://www.meijigakuin.ac.jp/access/shirokane/
   (JR 品川駅・目黒駅よりバスで約10分、
    東京メトロ 白金高輪駅・白金台駅・高輪台駅より各徒歩約7分)

  解説 :新川志保子さん(日本ラテンアメリカ協力ネットワーク)
      仮屋浩子さん(明治大学教員)

  参加費:無料、事前申込み不要 

  主催 :明治学院大学国際平和研究所

【作品紹介】

     『おんなの言葉』(原題:Palabra de Mujer)
  ソレダー・ベラ監督 2007年スペイン(日本語字幕あり) 25分

中米ニカラグアで、サンディニスタ民族解放戦線が政権をとった後、進歩的
なはずの新政府は、人工妊娠中絶を禁止した。女性の人権や解放より教会や
右派政党の立場を支持したのだ。これに対し、女たちは独自のラジオ局を立
ち上げ、女性の自立と権利を求めて声をあげはじめた。
                 (解説:「波をつくる女たち」提供)

  『消えた家族たち‐コロンビアの記憶』(原題:A la Memoria)
  カレン・ロア監督 2007年コロンビア(日本語字幕あり) 27分30秒

1984年に解放闘争が終わったかに見えたが左派政党UP(愛国統一党)が誕生し
た。その後20年間で5000人にものぼるUP党員や支援者が政府側に殺された。
演劇をとおしてその虐殺の生存者と遺族の精神の回復に取り組む活動を描き、
政府の罪を告発するドキュメンタリー。

                 (解説:「波をつくる女たち」提供)

        ☆        ☆        ☆

今回の明治学院大学での上映会に先立ち、大阪と京都でも春先に同様の上映
会が開催されました。これを企画したのはわたくし武田と関西在住の友人た
ちです。きっかけは日本ラテンアメリカ協力ネットワーク(通称レコム)と
いうNGOのメンバーで行っているスペイン語の翻訳ワークショップでした。

レコムやこの翻訳ワークショップについてはまた別の機会にご紹介させてい
ただきますが、ラテンアメリカの社会問題に興味をもつ者同士が定期的に集
まって勉強したり(飲んだり?)、メーリングリストなどで情報やアイデア
交換をする中で生まれた企画です。

関西ではメキシコの児童買春問題を追ったドキュメンタリー作品『エデンの
園の悪魔たち』とあわせて3本立ての上映会でした。大阪では西成にあるコ
ミュニティカフェCOCOROOM、京都ではラテンアメリカのジェンダー
問題を研究されている松久玲子先生のご支援により同志社大学今出川校地が
会場となりました。

宣伝不足もあり、関西での上映会の参加者は決して多くはなかったのですが、
参加してくださったラテンアメリカ地域研究者や市民メディアの専門家の
方々から議論を誘発するような興味深いコメントが出され、密度の濃い集ま
りとなりました。また、上映会への参加をきっかけにわれわれの翻訳ワーク
ショップに参加してくださった方もおり、上映会をつうじてこうした新たな
つながりができたことも収穫のひとつでした。

関西のメンバーで東京での上映会企画まではさすがに手が出ないところだっ
たのですが、われわれの動きを受けて「東京でも上映会をやりたい」とレコ
ムの新川志保子さん(当日の上映会では彼女が解説者のひとりとなります。
翻訳ワークショップの発起人でもあります)が尽力され、今回の上映会実施
の運びとなりました。

もうひとりのコメンテーター仮屋浩子さんは、ラテンアメリカ研究と演劇研
究がご専門とのことです。今回の上映作品のひとつは政治暴力のサバイバー
や遺族によるトラウマからの回復のための演劇ワークショップに焦点を当て
たもので、この作品の字幕作成も手掛けられた仮屋さんからはきっと研究者
ならではの斬新なコメントが伺えるのではないかと思います。

参加費無料、事前申し込みも不要ですので、興味をもたれた方はぜひ奮って
ご参加ください。


◆編集後記◆
ピーチです。
初心にかえろうと思い(?)、ラジオのスペイン語講座を聞いていたら、
 Me cobra?
という表現が出てきました。その解説で、講師のF先生が
「コブラ?毒ヘビのこと?それにメがついているから
 メスの毒ヘビ?・・と思われたでしょうか?」
というようなことをおっしゃっていて、思わず笑いました。
(F先生のユーモアセンス、最高です)
それで思い出しましたが、わたしが初めてスペイン語に出会ったとき、
 Habla espanol.
という文章についてスペイン人の hermana が、
「油みたいですねぇ。でも油のことじゃないんですよ」
とコメントされたのを聞いて、単純なわたしは、
「アブラだって!スペイン語ってなんて面白いの」
と感じ、もっと勉強したい(瞳キラキラ・・)と思うようになったのです。
言葉を習得したいと望むきっかけとは、そんなささやかな
ところからやってくることもあるのじゃのう、と思います。
さて、前記スペイン語講座のあと、流れてきたのは中国語講座。
何気なく聞いていると、中国人と思しき講師(陽気な御仁)が、
中国語の短文を読みあげて、その日本語訳の選択肢を3つほど挙げ、
正解を選ばせる、という簡単なテストを行なっていました。
わたくし中国語は全く分かりませんし、読み上げられた中国語文は日本語から
類推できるもの(たとえば「チャウハオ」は炒飯とか)ではなかったのに、
なぜかすんなり正解を選べてしまいました。
というのはですね、その先生、選択肢を読むとき、正解の文章を明らかに
高い声音で強調して発音していたんです・・。
それじゃあ、誰だってわかりますって、先生。
テストの意味があるんでしょうか、先生。
そんなあなたが好きです、先生。
やはり言葉は気楽に、楽しんで学ばなくちゃ!ですね。
(おあとがよろしいようで)

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