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2009年6月17日

 スペイン語翻訳者になろう vol.124

 おはようございます、アースです。
 セミナーの夢を見ました。
 講義開始直前で、受講生はみな着席。一番うしろでは、
 ピーチが「早くやらんかい」という顔をして立っています。
 わたしも早く始めたいのですが、何か大事なことを忘れている
 気がして、いつまでもぐずぐず。
 「そうだ、お餅を配らなければ!!」
 と気づいたわたしは鞄をあけて、大きな草餅のようなものを
 受講生にひとつずつ配ります。みんな、まるで採点済みのテストを
 受け取るような顔でしぶしぶ受け取っています。
 ようやくやることをやった気になったわたしは、おもむろに
 プロジェクタを起動するのでした。
 ・・・朝からくだらない夢の話ですみません。
 いちおうお断りしておきますと、アース&ピーチのセミナーに
 出席しても、お餅はもらえません。たぶん。

 さて、今週と来週は久しぶりにちょくねりから離れ、あるひとつの
 単語についてしつこく語ります。皆さんもぜひ考えてみて
 くださいね。それでは始めましょう。

  ※スペイン語の表記:このマガジンは比較的上級者を対象としている
   ことから、基本的にアクセントおよびティルデを入れていません。
   ただし動詞など重要な部分については入れることがあります。
   例)bajo → bajo'(動詞、三人称点過去の場合)

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┃  実は難しい、単純な単語の訳し方 〜civil〜(前篇)
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先日東京で開催した「翻訳初心者さん向けのセミナー」で、じつに
興味深い話題が出てきましたので、きょうはそれをご紹介します。
読者の皆さんにもじっくり考えていただきたい問題です。

事前課題のひとつに、

Egipto lanzara' un programa para construir varias centrales civiles
de energia nuclear. El presidente egipcio, Hosni Mubarak, indico'
que la construccion de las centrales se realizara' con transparencia
y cooperacion de la Agencia Internacional de Energia Atomica (AIEA).

という原文がありました。まずは、下の語注を参考にして
訳してみてください。

 lanzar un programa=計画を実行する、計画を進める
 central=発電所
 Agencia Internacional de Energia Atomica=国際原子力機関

いかがですか? 構造はごく単純ですし、内容もそれほど難しくは
ありませんよね。例えば

エジプトは複数の民生用原子力発電所を建設する計画を進める予定だ。
同国のムバラク大統領は、発電所建設は透明性を保ちつつ、国際原子
力機関(IAEA)の協力を得て行われることになると述べた。

のような感じになるでしょうか。セミナー受講生のみなさんの解答も、
おおむね正確なものになっていました。

ただ、受講生の訳文の中でも、訳語が真っ二つに分かれた部分が1ヶ所
だけありました。centrales civiles de energia nuclear です。

ひとつは「民間の原子力発電所」、もうひとつは「民生用の原子力発電所」。
そう、civil の訳し方が「民間」と「民生」に分かれたのです。読者の
皆さんのなかで「わたしも『民間』にしたよ」という方も多いのでは
ないでしょうか。

セミナー当日、講師が「civil(民生の)は privado(民間の)とは
違う。国が作ろうが民間会社が作ろうが、軍事利用でなければ civil で、
日本語ではこれを『民生』と表現する」と解説したところ、「日本語
では『軍人』との対比の意味で『民間人』という表現を使うので、
『軍事利用の原発』との対比として『民間の原発』などと表現しても
いいのではないか」という質問がありました。

これはとてもいい指摘だと思います。講師は「こういうケースでは
『民生』を使うのが普通」程度の理由で(つまり経験則から)上記の
コメントを出しただけでしたので、質問を受けて、改めて考え込んで
しまいました。

civil を西和辞典で引きますと、

 1)民法上の、民事の
 2)民間の;(軍人に対して)文官の、文民の;
   (聖職者に対して)世俗の
 3)市民の;公民の
               (小学館「西和中辞典」より)

などとなっており、確かに「民間の」という語義があります(なんと
「民生の」は載っていないんですね!)。

しかしこの文脈で果たして「民間」という言葉を使えるでしょうか?
使えないとすれば、その理由は何でしょうか。今週はここまでとします
ので、来週までに皆さんもぜひ考えてみてくださいね。

◆編集後記◆
この時期になると、手持無沙汰時の落書きがカタツムリの絵となる、
単細胞のピーチです(単にアジサイを書く画力がないだけ・・)
さて、わたしのリサーチによると、公共の場での「独り言率」は中高年
女性が圧倒的に高いようですが(主にスーパーにて)、「鼻歌率」は中高年
男性がぶっちぎりではないかと思われます。
先日も、近所の巨大公園に行くまでのわずか5分の道のりですれ違った
4人の男性全員が鼻歌を歌っていました(うち1人は熱唱)。
半ば驚きながら公園についたところ、入口付近のベンチにて、
ウクレレを弾きながらムーンリバーを朗朗と歌い上げる推定年齢80歳の
男性を発見。(これはもはや「鼻歌」ではないですが、とにかく矢鱈と
お上手だったんで、いったん足を止めて聞き入ってしまいました)
A小路Kまろ氏ならばこのような陽気なチューコーネン(彼の定義では
50歳以上の男女) をどう料理(表現)してくれるのでしょうね。

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