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2009年6月10日

 スペイン語翻訳者になろう vol.123

 おはようございます、ピーチです。
 最近、本メルマガの前書きと編集後記が異様に長くなる傾向があり、
 メインテーマを侵食しているとの噂もあります(?)ので、
 たまには無駄口たたかずにズバッと本論に入ってみようと思います。
 今回のちょくねり(題材は前回と同じインフルエンザ)は一見簡単
 なんですが、細かい部分で目を向けるべき点が存外あり、原稿作成に
 相当な時間がかかりました。
 とくに翻訳初心者の皆様にはじっくり読んで頂きたい内容です。
 それでは早速始めましょう。

  ※スペイン語の表記:このマガジンは比較的上級者を対象としている
   ことから、基本的にアクセントおよびティルデを入れていません。
   ただし動詞など重要な部分については入れることがあります。
   例)bajo → bajo'(動詞、三人称点過去の場合)

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┃ 「ちょくねりメソッド」で翻訳に挑戦しよう
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◇本日の課題
La OMS pide a las personas que acudan a los servicios medicos si
presentan alguno de los sintomas como fiebre superior a 38 grados,
tos, dolor de cabeza intenso, dolores musculares y de articulaciones,
irritacion de los ojos y flujo nasal.

【構造図】
La OMS pide a las personas
   que acudan a los servicios medicos
        si presentan alguno de los sintomas como
             (1) fiebre superior a 38 grados,
             (2) tos,
             (3) dolor de cabeza intenso,
             (4) dolores musculares y de articulaciones,
             (5) irritacion de los ojos y
             (6) flujo nasal.
※ (1)〜(6)が並列です。

【語注】
OMS=Organizacion Mundial de la Salud:世界保健機関(WHO)
acudan<acudir  :行く、通う
servicios medicos:医療サービス、医療機関
presentan<presentar:見せる、示す、呈する
sintomas     :症状
articulaciones  :関節
irritacion    :炎症
flujo nasal   :鼻水、鼻汁

【直訳】
WHOは人々に対し、38度以上の熱、咳、強い頭痛、筋肉・関節痛、目の炎症、
鼻水などの諸症状のうちのいずれかを示す場合は、医療機関に行くように要請
している。

※ 動詞 acuden の主語は当然ながら las personas です。またその後ろの
 si 節のなかにある動詞 presentan も複数形になっていますので、主語は
 La OMS ではなく las personas です。

※ 「superior a+数字」は、「〜を上回る」などと辞書には載っています
 が、実際にはその数字を含むことがよくあります。この文章の superior
 a 38 grados も、「38度より高い(熱)」すなわち「38.1度以上」を示すと
 考えるよりは、「38.0度以上」ととるのが自然ですね。

※ acudir は、日本語訳としては ir などと同じように「行く」とできます
 が、同じ「行く」でも、一部の西和辞典にあるように「駆けつける」の要素
 があり、「症状が見つかったらすぐ病院へ!」という今回の文章のニュアン
 スをうまく表現した単語だと思います。

 また acudir には「(手段等に)訴える」の語義もありますが、これに対応
 する西西辞典の説明は

  Utilizar a alguien o algo para cierto fin, particularmente
  cuando otros medios o procedimientos han fallado.

 となっています。つまり「最後の切り札として使う」というような意味です
 ね。今回の文章の場合は「四の五の言わず病院へ行け」ということですの
 で、最後の切り札云々とは話が若干ずれるかもしれませんが、「安静にす
 る、市販薬を飲む等の他の方法をとってみても役に立たないから、医者(と
 いう奥の手)を利用せよ」というように補って考えれば、結局は同じことを
 言っている・・のかもしれません。

 余談ですが、このように西西辞典等を使って、各単語の核となるニュアンス
 (のようなもの)をつかむ練習をしておくと、和文西訳のときに威力を発揮
 します。スペイン語訳を上達させたい方は是非試してみてください。

【練り訳案1】
WHOは、38度以上の熱、咳、強い頭痛、筋肉・関節痛、目の炎症、鼻水など
の症状のうちひとつでも出た人は医療機関で受診するよう勧告している。

※ 直訳と同じように「WHOは人々に対し、〜と勧告している」などとする
 と、WHOという固有の機関名がはっきりと出ているのに対し、「人々」と
 いう表現が漠然としすぎていて、若干アンバランスな感じがします。もちろ
 ん原文にはそのように書いてあるわけですから間違いではないのですが、日
 本の報道文ではこういった表現にはまずお目にかかりません(ただ、「政府
 が国民に呼びかける」などの表現はありますね)。

 しかし、不自然だということはなんとなくわかっても、適切な言い回しが思
 い浮かばないという人も多いでしょう。そういうときには、「大きな公共機
 関や組織が市民に対して呼びかけを行う際、通常どのような言い方がされる
 のか」をネットでリサーチするのも手です(ただし、見つけた言い回しが本
 当に一般的な表現なのか検証する必要があります。とくに個人ブログなどの
 表現には要注意)。

※ acudir は、上記の解説でも説明したとおり「駆けつける」が原義ですが、
 「医療機関に駆けつけるよう勧告している」では少々不自然ですね。

   acudir/a los servicios medicos

 のように、/のところで分けてそれぞれを訳出しようとすると、全体として
 どうも不自然な日本語になってしまうようです。そういうときは、acudir
 a los servicios medicos をひとつのカタマリとして捉え、これに相当する
 日本語がないか考えてみましょう。そう、日本語には「(医療機関で)受診
 する」という便利な言い方がありますね。

【練り訳案2】
38度以上の熱、咳、強度の頭痛、筋肉・関節痛、眼炎症、鼻汁などの諸症状の
うち、いずれかひとつでも出ている場合は、医療機関で即時受診することを
WHOは勧告している。

【練り訳案3】
WHOは、以下に挙げるもののうちいずれかの症状が見られた場合は、速やか
に医療機関にかかる必要があるとしている。
 ・38度を超える熱
 ・咳
 ・強い頭痛
 ・筋肉や関節の痛み
 ・目の炎症、鼻水等

◆編集後記◆
アースです。
ええっ、後書きは3行以内??んな無茶な〜。ムリムリ。
ってことで、いつものとおり好きにしゃべることにします。
先日、いつもの道のとある信号で止まったところ、我が家のカローラの
前にポルシェが止まっていました。
さすがにいい音してんなぁ〜でもガソリンぶちまけて走ってるような
車だもんね。いまどき流行らないわね、などと話しておりましたところ、
信号が青に変わりました。
うちのカローラがマニュアル車で出足が遅いということもあるのですが、
あまりの加速の違いに感動。まさに「あれよあれよ」というまに
す〜っと行ってしまわれました。
都会ならすぐに次の信号にひっかかってしまうけれど、このあと
20キロは信号もなく、ひたすら幅広い田舎道。独車の本領発揮です。
こちらも時速70キロは出しているのに、あっというまに視界から
消えてゆきました。
つい、「・・つかまればいいのに」とつぶやいてしまったわたし
でした(せこい)。

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