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2009年3月11日

 スペイン語翻訳者になろう vol.112

 おはようございます。アースです。
 先日、早くも今年最初のウグイスの声を聞きました(まだヨレヨレ声)。
 雪もほとんどなくなってしまったし、今年はほんとうに
 春が早そうです。

 さて、今回も先週に引き続いて、翻訳初心者さんのための
 超!基礎的ちょくねり講座です。文章自体は簡単とはいえ、
 練り練りしていると本当に「翻訳は奥深い・・」と感じます。
 皆さんも、練り訳案を見る前に、ぜひご自分で訳してみて
 くださいね。

 さてそれでは始めましょう。

  ※スペイン語の表記:このマガジンは比較的上級者を対象としている
   ことから、基本的にアクセントおよびティルデを入れていません。
   ただし動詞など重要な部分については入れることがあります。
   例)bajo → bajo'(動詞、三人称点過去の場合)

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今回の課題文は、 先週(第111号)の「おくりびと(1)」に
続く文章です。(1)をざっと見直してから、今号に取り組むことを
お勧めします。

【「おくりびと」(2)】

◇本日の課題
El film, "Okuribito", fue dirigido por Yojiro Takita y protagonizado
por Masahiro Motoki como un violonchelista desempleado.

【構造図】
《主部》
El film, "Okuribito",

《述部》
fue (1) dirigido por Yojiro Takita y
    (2) protagonizado por Masahiro Motoki como un violonchelista desempleado.

※ (1)と(2)が並列です。並列とは「文法的にまったく同等の内容が並んでい
 ること」で、上の場合ですと(1)も(2)も同じように「補語」の役割を果た
 しています。

※「並列」と似たものとして、ある名詞を他の名詞表現で言い直したり補足し
 たりする「同格」という用法があります。この文章でも El film と
 "Okuribito"が同格になっています。

【語注】
dirigido<dirigir:演出する、監督する
protagonizado<protagonizar:〜の主役を演じる
violonchelista  :チェロ奏者

※ desempleado は「失業した、解雇された」。desemplear という動詞は既存
 の西和辞典には掲載されていませんが、des+emplear で emplear(雇用す
 る)の逆の「解雇する」の意味で使われているようです。

◇本日の課題(再録)
El film, "Okuribito", fue dirigido por Yojiro Takita y protagonizado
por Masahiro Motoki como un violonchelista desempleado.

【直訳】
その映画「おくりびと」は、滝田洋二郎によって監督され、解雇されたチェロ
奏者としての本木雅弘によって主役を演じられた。

【練り訳案1】
「おくりびと」は滝田洋二郎監督の作品で、主演の本木雅弘が失業した元チェ
ロ奏者役を演じた。

※練り訳にあたってのポイント※
 今回は原文が非常に平易なこともあり、訳し方のテクニックの面でお伝えし
 たいことはとくにありません。ただ、以下の練り訳案2〜4をご覧いただく
 とお分かり頂けるように、語順や訳語を微妙に変えて色々な表現を作り出す
 ことが可能です。ここに挙げたもの以外にもいくらでも代替案があり得ると
 思いますので、日本語表現の練習の場にしてみてください。

 また、単純な文章だからと言って軽く見ることなく、前後の文脈や文体にも
 気を配り、前後と無理なく自然につながる訳文作りを心がけることも大切で
 す。

【練り訳案2】
映画「おくりびと」は、滝田洋二郎監督がメガフォンを取り、主人公の、失業
した元チェロ奏者を本木雅弘が演じた作品だ。

【練り訳案3】
「おくりびと」は滝田洋二郎監督作品で、主人公である失業したチェロ奏者役
を本木雅弘が演じている。

【練り訳案4】
映画「おくりびと」は滝田洋二郎が監督をつとめ、本木雅弘が解雇された
チェロ奏者役を主演している。


◆編集後記◆
前号から始まった「翻訳初心者さん向けシリーズ」、いかがでしょうか?
今回のシリーズのネタである「おくりびと」の受賞報道では、
当事者たちの謙虚な佇まいがとても印象的でした。
傲慢な人には、沢山のひとに認められる輝かしい成果を出し続けることなど
できないのだろうと思います(一回位なら出せたとしても長続きはしない
でしょう)。
ところで、こんな風に翻訳術指南のメルマガを出している我々ですが、
もちろん翻訳者としてつねに完璧な仕事ができているわけではありません。
ちょこちょこ誤訳することも、結果として稚拙な成果品を出してしまう
こともあり、そんなときは「翻訳者の看板を下ろすべきだろうか?」と
考えたりもします(反省が長続きしないタイプなのでほんの一瞬ですが)。
そのような「発展途上」の私たちですから、皆さんに対して
上から目線でモノ申す気はさらさらなく、メルマガ(&読者諸氏)の
おかげで勉強の機会を与えてもらっている、といつも有難く
思っております。
・・すみません!嘘です。というか、一部、事実詐称です。
白状してしまえば、多くの場合は「ありがたさ」など忘却の彼方で、
「ひぇ〜〜!あっというまに水曜日が近付いてきたぁ〜」
と両腕両足をじたばたさせながら原稿を書いているのが実態です。
しかし、偉業を成し遂げてさらに謙虚さと感謝魂を強化しているかに
みえる受賞者たちを見て、超小物である自分こそそれらの資質を
育成しなければならないなあ・・と改めて 思わされたのでした。


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