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2008年12月10日

 スペイン語翻訳者になろう vol.101

 おはようございます。アースです。
 先週お届けした100号記念の対談はいかがでしたか?
 実務翻訳の場合は守秘義務もあり、「昨日こんな会社のこんな文章を
 訳しましてね・・」とはなかなか言いにくいので、実務翻訳者の謎の
 生態、いえ仕事の実態を少しでも知っていただこうと、あのような
 対談を企画しました。
 年末号では続きをお届けする予定ですので、お楽しみに!

 さて、今週と来週は二週にわたってブッシュ大統領退任記念(?)の
 ちょくねりをお送りします。先日のポニョ版と同じように、今週は
 直訳、来週は練り訳という方式でお届けします。
 課題の中にいくつかブッシュ大統領のセリフがあり、直訳ですと
 とくにわけがわからないのですが、
 「まじめにこう言ったのか」「それで何が言いたいのか」
 「ほんとうにそう信じているのか」
 などは読者の皆さんのご想像にお任せします・・。
 本号後半ではスペイン語児童文学翻訳者である宇野和美さんの
 翻訳書についてご紹介していますので、そちらもぜひ
 ご覧くださいね。

 それでは始めましょう。


 ==<もくじ>===========================
   1) 「ちょくねりメソッド」で翻訳に挑戦しよう
   2) 宣伝コーナー
 ==================================

  ※スペイン語の表記:このマガジンは比較的上級者を対象としている
   ことから、基本的にアクセントおよびティルデを入れていません。
   ただし動詞など重要な部分については入れることがあります。
   例)bajo → bajo'(動詞、三人称点過去の場合)


┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ 「ちょくねりメソッド」で翻訳に挑戦しよう
┃            〜「ブッシュ大統領」 前篇
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◇本日の課題
George W. Bush, festival del humor

Como todo Presidente de Estados Unidos, George W. Bush ha dejado un
legado de frases para la historia de la humanidad.

En materia cientifica ha destacado mucho. Especialmente sobre la NASA.
Segun Bush, para la Agencia Especial Norteamericana "el espacio sigue
siendo de alta prioridad". Y se aventuro' a opinar sobre el planeta
rojo. Segun George Bush, en Marte "existen canales, que pensamos, es
agua. Si hay agua, eso significa que hay oxigeno. Si hay oxigeno,
significa que podemos respirar".

Tambien ha mostrado su gran preocupacion en cuanto al cambio
climatico, con una gran reflexion como "se' que los seres humanos y
los peces podran coexistir en paz".

Y sin duda, ha sido en politica exterior donde mas ha dejado su
impronta de hombre de mundo. Tras reunirse con el ex presidente de
Mexico, Vicente Fox, aseguro' que habia hablado con el para que
enviara petroleo a EE.UU., por lo que "no dependeremos del petroleo
extranjero".

Otro gran momento lo protagonizo en Brasil. Nada mas aterrizar, junto
al entonces presidente Cardoso, le pregunto', intrigado: "_Ustedes
tambien tienen negros?"


【語注】
legado      :遺産
ha destacado<destacar:「〜を際立たせる」。他動詞ですので通常は目的語
       を必要としますが、この場合は se ha destacado(destacarse
       =際立つ、傑出する) と同じ意味で使われていると思われま
       す。隠れた主語は前文の un legado でしょう。
de alta prioridad:優先度の高い
se aventuro'<aventurarse:+a+不定詞で「あえて〜する」
planeta rojo   :「赤い星」つまり Marte(火星)のこと
canales     :運河
en cuanto a...  :〜に関して
reflexion    :熟考
coexistir    :共存する
impronta     :跡、刻印、影響
hombre de mundo :英語の person of the world から「世慣れた人」。
protagonizo'<protagonizar:主役を演じる
Nada mas     :+不定詞で「〜するとすぐ」
intrigado<intrigar:〜の好奇心をそそる


【直訳1段落】
ジョージ・W・ブッシュ、ユーモアの祭り

どの米国大統領とも同じように、ジョージ・W・ブッシュは人類の歴史にとっ
ての文章の遺産を残した。

※ todo+無冠詞の単数名詞で「どんな〜も」の意味になります。ここは米国
 大統領ならばどの人であっても、というニュアンス。


【直訳2段落】
(遺産は)科学的な分野で非常に際立っている。とくにNASA(アメリカ航
空宇宙局)について。ブッシュによると、NASAにとって、「宇宙は優先度
の高い状態であり続ける」。そして火星についてあえて意見した。ジョージ・
ブッシュによると、火星には「運河が存在する、私たちが考えるに、それは水
である。もし水があるのなら、それは酸素があることを意味する。酸素がある
のなら、それは私たちが息ができることを示している」。

※19世紀の天文学者ローウェルさんという人はかつて、火星に黒い筋が走って
 いるのを見て、それを運河であると考えました。たぶんその話を受けての発
 言だと思います。

※ existen canales で始まる文章の構造が気になる人がいるかもしれません
 ね。Pensamos que existen canales que es agua の順序が入れ替わったの
 だろう、es の先行詞は canales だから、本来は son になるべきだな、な
 どと無理やり解釈することはできますが、こういう気楽な会話文では文法的
 にあれこれ突き詰めて考えることはあまりしない方がいいかと思います。こ
 こは全体として、直訳のようなことを言っているのだろうとざっくり捉えれ
 ばいいでしょう。


【直訳3段落】
彼はまた、「人類と魚類は平和に共存することができるだろう」などの深い熟
慮とともに、気候変動に関して大いなる懸念を示した。


【直訳4段落】
そして疑いなく、彼が世慣れた人の自分の刻印をより残したのは外交政策にお
いてであった。メキシコの前大統領ビセンテ・フォックスと会合をしたあと、
彼は、(メキシコが)米国に石油を送るようにフォックスと話をしていたこ
と、従って「我々は外国の石油に依存しなくなるだろう」ということを確言し
た。

※ enviara の主語が何か一瞬迷ってしまいますが、メキシコと考えて間違い
ないでしょう。


【直訳5段落】
彼はブラジルで、別の素晴らしい時の主役を演じた。着陸してすぐ、当時のカ
ルドゾ大統領の隣で、興味をそそられた様子でカルドゾに尋ねた。「あなた方
の国にも黒人はいるのですか?」。

※Otro gran momento lo protagonizo' の lo は Otro gran momento を受け
 ています。このように目的語が動詞より前に来るときは、その目的語をさら
 に代名詞で受けることがよくあります。つまり「彼はそれ(別の素晴らしい
 時)の主役を演じた」ということ。

※ entonces は本来は副詞ですが、形容詞的に「当時の」の意味で使われるこ
 とがあります。

※ le pregunto', intrigado の le はカルドゾ、主語はブッシュです。
 intrigado は主格補語ですので、主語の Bush が「好奇心をそそられた状態
 で(カルドゾに質問した)」ということ。


┏━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃2│ 宣伝コーナー
┗━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

わたしたちの知人であるスペイン語児童文学翻訳者の宇野和美さんが、
このたび二冊の訳書を刊行されましたのでご紹介します。

下で宇野さんもお書きですが、『サラミスの兵士たち』は、スペインや
スペイン語に関わる者としてはぜひ読んでおきたい一冊になりそうです。
(原書でなんていわないで、ここはぜひ宇野さんの翻訳で!)

以下、宇野和美さんからの紹介文です。

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10月に新しい訳書が2点刊行されました。


○ハビエル・セルカス著『サラミスの兵士たち』
 河出書房新社 本体価格 2000円

 スペイン内戦を舞台に、戦後世代の著者が「戦争」というものの
 本質を探った大ベストセラー小説。
 ※11月30日の日本経済新聞の書評欄に掲載されています。

 →http://tinyurl.com/5gz4ok(アマゾン書店)


○エバ・メフト文/アンドレ・レトリア絵『はしれ!カボチャ』
 小学館 本体価格 1500円

 こわい動物たちの目をごまかすため、カボチャに入ってころがって
 いくおばあさんの楽しいお話。ポルトガルのむかしばなし。

 →http://tinyurl.com/682rln(アマゾン書店)


『サラミスの兵士たち』は、21世紀のスペイン文学史に残る作品だと
思います。スペイン語にかかわる方にご一読いただければうれしいです。

                                            宇野和美

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◆編集後記◆
ピーチです。
今回のB氏の記事はいかかでしたか?
日本のオバ○タレントとはケタ違いのスケールのトンデモ発言の数々、
楽しんでいただけたでしょうか。
話は変わりますが、先日のことです。
メガネをかけると、なぜか頭がぐるぐる回って
気持ちが悪くなるので
「いったい、なぜだろう?」
と思い続けていたところ、何かの拍子に
レンズ部に手が触れて気がつきました。
じつは片方のレンズが外れていたことに・・。
つまり左視力1.2、右視力0.1の世界で生きていたわけで、
そりゃ、気持ちも悪くなるというものです。
そんなオバ○の私ですらまだまだ辿り着けない
高みにいらっしゃるようだなぁ・・・B氏は。
(あ!○に入る文字は「マ」ではありませんので。念のため・・って当然か。)

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