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2008年12月3日

 スペイン語翻訳者になろう vol.100

   ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

      100号記念 アース&ピーチ特別座談会

      現役翻訳者が明かす、仕事の流儀
           〜我流ですけど、なにか?〜

           【前 篇】

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(対談のためにわざわざ某田舎から上京してきたアースをねぎらい、
都心の某カフェで、シブーストとアールグレイを前にしながら・・・)

ピーチ(以下P):2007年4月に創刊したこのメルマガも今号でついに100号を
  数えました!今回は読者の皆様への感謝の気持ちを込めて、アースとピー
  チの特別座談会をお送りしたいと思います。タイトルは
   「現役翻訳者が明かす仕事の流儀 〜我流ですけど、なにか?〜」
  です。

アース(以下E):なんですか?その最後のけったいなつけ足し部分は。

P:翻訳者が100人いれば100通りの仕事の仕方があっておかしくないわけです
  から、「これはあくまで私たちのやり方ですので、こうしなくてはならな
  いとは思わないでね」という気持ちを込めてみました。

E:なるほど。ま、そうですよね。ではさっそく始めましょうか。仕事の流
  儀・・って非常に漠然としたテーマですね。

P:わかりやすいように、実際の仕事の行程に沿って話を進めていくのはどう
  でしょう。

E:いいですね。

P:それでは、まずは「来た仕事はすべて受けるか?」という点から入りま
  しょうか。アースさんはどうされていますか?

E:基本的には受けています。スペイン語は英語等と違って案件の絶対量が少
  ないですから、分野を選ばない「何でも屋」でないと続けていくことは難
  しいですよね。ただ滅多にないことではありますが、依頼がいくつか重
  なったときには、それぞれの内容と量と納期とをよく考え合わせて、どれ
  を優先するかを決め、一部を断ることもあります。

P:私も基本的には分野を選ばずに受けます。もっともまるっきり自信のない
  分野の場合は、原稿を見せてもらい、可能かどうかを冷静に見極めてから
  返事しますね。一定以上のクオリティの成果品を出せそうもないものまで
  安易に受けてしまうと、信頼を失いかねませんので。できそうもないもの
  は「できません」という勇気も大切だと思います。

E:もっとも、断ってばかりいたら力はつかないですけれどね。それに、初見
  では「これは超難物だ!」と感じたものでも、丁寧に読み解いていった
  り、しつこく調査したりすると、案外道筋が見えてくるものだから、簡単
  には諦めたくないですよね。

P:それはそうです。つまり、原稿をざっと見た段階で、しつこくやればなん
  とかなるものなのか、あるいはどうにも手に負えないものなのかを見極め
  る目が必要ということだと思います。慣れてくるとその見極めが短時間で
  できるようになります。もちろん見誤って大変な思いをすることもありま
  すが、それは長い目で見て必要な失敗だと思って割り切るしかないです
  ね。

E:同感です。この点に関連して補足すると、いちおう引き受けて翻訳を開始
  したけれど、途中で「どう考えても納期には間に合わない」ことが判明し
  た場合は、すぐにクライアント側に連絡すべきですね。クライアントが与
  えてくれた納期が妥当なものとは限りませんし。

P:はい。あと「内容的に手に負えない」ことが分かった時などもそうです
  ね。いずれの場合も、その手の連絡はできるだけ早急にしないと、相手に
  迷惑をかけてしまうので十分気をつけるべきでしょう。ところで、勤勉な
  アースさんですから、納期を延ばしてもらうことなんてめったにないで
  しょう?

E:別に勤勉だからというわけではないですけれど、小心者なので、それはま
  ずないです。逆に、「明日までにお願いします」といわれて、「いえ、今
  日中にやっちゃいます」と答えることはあります。

P:おお〜!さすが夏休みの宿題を7月中に片付けていた過去を持つ御仁です
  な。一方ピーチがどうであるか・・・

E:それ、聞きたい!

P:・・・は忘れて、次の点に移りましょうか。

E:ええ〜。ぶつぶつ・・

P:「仕事を受けた後、原稿を印刷するかどうか」。これはどうですか?

E:定期的な仕事等で相当慣れているものは印刷しません。画面上ではどうし
  ても把握しにくいグラフとか表とか、そういうものはプリントすることも
  ありますが。ただ、ルーティンの仕事でなければ、基本的には印刷はした
  ほうがいいですよね。

P:私は必ず印刷します。アースさんと違い、基本的にルーティンの仕事とい
  うものがなく、来るのは毎回新規案件であるからです。

E:なるほど。あと、私の場合、ファクスで原稿が来る仕事の場合は、最初か
  ら文字が消えてしまいそうなことがあります。そういうときはすぐにス
  キャンするようにしています。うちのファクス、まだ感熱紙なんで。

P:そうなんですか!? IT普及度の高いアース家とは思えませんね。買い替
  える予定はないのですか?

E:前に買い替えたときにすでに普通紙ファクスはあったのですが、あえて感
  熱紙にしました。オートカッターもありません。だから昨日届いた10枚の
  原稿もラーメン状態で、ハサミでちょきちょき切ったという・・(笑)。
  翻訳原稿って、基本的には訳し終わったら廃棄が義務づけられているもの
  が多いですよね。だから長くとっておけなくてもいいんです。

P:なるほど。で、印刷なり、スキャンなりした後ですが、「訳し出す前に原
  文全部読むか」。これはどうですか?

E:定期的な仕事で慣れているものは、タイトルだけ見ていきなり訳しちゃう
  こともあります。でもそれができるのは、報道文の翻訳だからかもしれま
  せん。単発の仕事の場合は、やっぱり最初から最後まできっちり読んでか
  ら翻訳に移ります。ただ、「読む」といっても、ふか〜く読み込むわけで
  はなく、だいたいの流れをつかむだけですが。

P:そうですね。その話がどういう結論になっているか、その結論に至るまで
  にどのように話が展開していくか、ということの大雑把な把握のためです
  ね。また、どのあたりが翻訳しづらそうか(逆に楽そうなのはどこか)を
  見極める目的もあります。和西翻訳も行なっているんですが、和西の場合
  は原文が日本語であり、スペイン語にくらべてずっと楽に意味がとれます
  ので、全文に目を通す確率がより高いです。その初読みの段階で、キー
  ワードとなりそうな言葉や表現について、どのスペイン語をつかうかの候
  補が大体頭の中で絞られてきます。そのひと手間があると、あとで行う実
  際の翻訳がかなり楽になるんです。

E:なるほど。最後のほうで「この言い回しにしておけば良かった!」と気づ
  いて、改めて最初から直すのってたいへんですものね。あとは西和にしろ
  和西にしろ、訳す前に調査した方が良さそうなところを把握するという意
  味もありますよね。あるいは事前に文献やネットの文章を読むべき箇所を
  探すとか。それに関連して「翻訳に入る前に下準備をするか」という点は
  どうですか?

P:分野にもよりますが、最初に原文全体をざっと読んだときに目についたよ
  くわからないキーワードを調べるくらいのことはします。

E:私もほぼ同様です。分野によっては、日本語で書かれた同じ分野の文章を
  ネットなどで探し出してある程度読んでから翻訳にとりかかることもあり
  ます。日本語を読むことで、その分野特有の言い回しや基本的な考え方、
  これまでの背景などの「土台」を頭の中に作っておくわけです。

P:それは大変役に立つ「下準備」ですね。私も自信のない分野の場合は似た
  ことをしています。

E:ところで、そろそろお茶にしません?さっきから目の前にあるこのケーキ
  が気になっているんですけれど。

P:おっと、そうですね。格調高い話に夢中になってお茶の冷めるのも忘れて
  いました。通常「断然、花より団子!」の私たちとしたことが、こんなこ
  とではいかんざき!(古!)

E:では、続きは別の機会に、ということで。

P:はい、この座談会の後編は、クリスマスプレゼントとして12月24日号にて
  お送りする予定です。

E:どうぞお楽しみに!さて、ケーキケーキ♪。(むしゃむしゃ)

P:では、今回はこれにて録音を切らせていただきます。(ブチッ)

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