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2008年8月13日

スペイン語翻訳者になろう アンコール第4回

  7月23日から1ヶ月にわたり、本メルマガのバックナンバーから
  記事を厳選してお届けしています。既読の方も新たな気持ちで
  読んでくださいね。また今週は「アースの気が散る話」があります。
  こちらは最新です。
                      アース&ピーチ

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┃1│ 西和辞典は「万能選手」にあらず その2
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さて、前回は director gerente を例に挙げ、辞書に「常務取締役」
「専務取締役」と載っているからといって、すべてそう訳せるわけ
ではないことをお話ししました。

 「でもさ〜。じゃあ辞書にはウソが書いてあるわけ?」

の答えはイエスでありノーでもあると、禅問答のようなことを言いました。
ここでまた別の例を見て、その答えの真意を探ってみましょう。

英語では wear の一言で済むところ、日本語では着る、かぶる、はめる、
つける、はく・・・と体の場所によってすべて言い分けるので、外国人が
覚えるときに大変だという話は有名ですね。役職名もそれと似たところが
あります。

先日出てきた presidente ひとつ取っても、大統領制の国なら「大統領」、
議院内閣制の国なら「首相」、会議なら「議長」、商工会議所なら「会頭」、
銀行なら「頭取」「総裁」などなど、勘弁してくれろ。と言いたくなります。

ここで言いたいのは、presidente や director gerente の訳語として
これまでに挙げた日本語を覚えろということではなく、スペイン語(外国語)
と日本語の単語は、一対一で対応しているのでは決してない、ということ。
これを常に頭に入れておいてほしいのです。

そんなこと分かってるわよ、という人がいるかもしれません。が、私自身も
含め、これを案外忘れがち。その文章の文脈や背景をいっさい考えず、
辞書に載っている語義にすぐに飛びつき、あとで読み返すとトンチンカンな
訳になっていた…ということが一再ならずあります。

ではどうするか。

理想としては、まずはその単語の持つそもそもの意味(エッセンス)を
しっかりと把握すること。それには西西辞典がお勧めです。

例えばさきほどの presidente を Real Academia Espanola で引いて
みましょう。名詞としては、以下が載っていました。

 1)Persona que preside.
 2)Cabeza o superior de un gobierno, consejo, tribunal, junta,
   sociedad, etc.
 3)En los regimenes republicanos, jefe del Estado normalmente
   elegido por un plazo fijo.

3つありますが、まさに presidente の原義と言えるのは、1番の
Persona que preside(取り仕切る人)だけだと思います。2番は
「gobierno, consejo, tribunal, junta, sociedad の長もしくは上位の人」、
3番は「共和制下で、通常はある一定期間について選ばれた国家の長」で、
いずれも要するに「取り仕切る人」ということですよね。

ここで気がつかれた人もいるでしょう。どの西和辞典にも「取り仕切る人」
というそもそもの「原義」は載っていません。そう、西和辞典には
「訳の候補」が載せてあるだけなのです。しかもほんの一部だけ。

例えば presidente の日本語訳として使える言葉は、上で挙げた語義も
含め、おそらく膨大な数になるでしょう。

それに、この話は役職名に限ったことではありません。名詞だけとも
限りません。動詞でも副詞でも形容詞でも、すべて同じこと。それらを
いちいち載せていたら、辞書の重さだけで床に穴が開いてしまいます。

私たちが実際に辞書を書く中で強く感じたことは、
 「とても全部は載せきれない!」
という苛立ちでした。経済用語という、ほぼ「一対一」の対応が
実現できそうな分野でさえ、山のようにある語義の候補の中から、
泣く泣く2つ3つを選び出さざるをえず、少なからず残念に思った
ものです。

ここまできて、ようやく今回のタイトルの意味を悟っていただけた
でしょうか。西和辞典は骨惜しみせず引くべきですし、隅から隅まで
目を通すべきではあるけれども、だからといって「万能」ではない、
ということです。

西和辞典(「○和辞典」すべてですね)の長所と短所を知って、
うまく使いこなしましょう!

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◆編集後記◆
ピーチです。子どもたちの夏休みも後半戦ですね。
今の小学生たちも「暑中見舞いはがき」って出し合うんでしょうか?それとも
メールで済ませるんでしょうかね。
自分の子ども時代、暑中見舞いの締めの文句は
「冷たいものの食べすぎ・飲みすぎでおなかこわさないでね」
できまりだった気がします(ちなみに年賀状の決まり文句は、「お餅をのどに
詰まらせないようにね」。まったく、子どもってやつは・・・ヽ(´〜`;)
ところで皆さんは、暑さに負けて冷たいものをとりすぎてはいませんか?
わたしは冷え防止のためにアイスドリンクはめったにいただきませんが、
たま〜に頼む時は「氷なしで」とお願いしています。
しかし、先日、某Dコーヒーでこう頼み、半分弱しか満たされていないグラス
を渡されたときはかなりショックでした。
「たったこれだけの量に二百数十円払うの?」
というショックではなく、僅かしか入っていないグラスの姿があまりに
哀しかったのです。
グラスとは、なみなみと満たされてこそ美しいのですね。
その点、先日入った某Mスバーガーは太っ腹で、「氷なし」のオーダーでも、
グラスの縁までたっぷり注いでくれていました。素敵〜。
こころなしかグラスもうれしそうで、傲然屹立していましたよ(一番喜んで
いたのはこのわたしですけど)。

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