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2008年5月7日

 スペイン語翻訳者になろう vol.075

 Buenos dias! ピーチです。
 皆様、GWはいかがでしたか?
 今これをかいているのはGWの最終日なのですが、結局わたしたちは
 GW中もけっこう働いておりました。
 というのは、このメルマガの執筆に加え、5月14日発売の教材
  『スペイン語実務翻訳講座
      〜ちょくねりメソッドで確かな翻訳力をつけよう』
 の最終校正をしていたからです。
 この期におよんでもまだ手を入れている自分たちの執念深さ、いえ、
 サービス精神とプロフェッショナリズム(?)には我ながら驚きます。
 とはいえ、辞書(『スペイン語経済ビジネス用語辞典』)を書いていた
 時期は、それこそGWもお盆もクリスマスも正月もなく、始終パソコンに
 向かっていたわけですから、それを思えば本当に平和な日々です。
 ありがたいことです・・(何に対して?)。

 それではこの辺で、GW明け最初のメルマガの幕を開きましょうか。

  ※スペイン語の表記:このマガジンは比較的上級者を対象としている
   ことから、基本的にアクセントおよびティルデを入れていません。
   ただし動詞など重要な部分については入れることがあります。
   例)bajo → bajo'(動詞、三人称点過去の場合)

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃   「ちょくねりメソッド」で翻訳に挑戦しよう 
┃       〜教材発売記念バージョン〜
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

さて、今回も前回(先週)と同じ課題を使います。前回は直訳をしあげ
ましたので、今回はいよいよ練り訳です。できれば、まずはご自分で
「練って」みてから、以下をご覧下さいね。

練り訳プロセスでは、まず、直訳をもとに作った【練り訳たたき台】を
提示します。このたたき台をもとに、翻訳者Aと翻訳者Bが問題点等を
話し合い(【検討プロセス】)、【最終的な練り訳例】を完成させるという
工程をとっています。

それではさっそく見ていきましょう。

【課題文】
La llama olimpica fue escoltada en todo momento por la policia
australiana, mientras tres guardas chinos que habitualmente
la acompan~an se quedaron en la retaguardia y no tuvieron que
intervenir en ningun momento para garantizar el desarrollo pacifico
de los relevos. (EFE)

原文→http://www.terra.com/deportes/articulo/html/fox575319.htm
    (課題文は3段落目)

【直訳例】
聖火は、いかなるときにもオーストラリアの警察によって護衛された。その
間、いつも聖火に同行している3人の中国人警備員は背後にとどまり、リレー
の平和な進展を保証するために介入する必要はいかなるときにもなかった。

【練り訳たたき台】
聖火はずっとオーストラリア警察によって護衛されていた。一方で、常に聖火
に同行している中国人警備員3人は背後にとどまり、リレーが平和裡に行われ
るよう介入する必要は一度もなかった。

【検討プロセス】
翻訳者A(以下A):La llama olimpica fue escoltada ... por la policia
  australiana の部分は、スペイン語そのままに、【直訳】も【練り訳たた
  き台】も受け身の訳し方にしてあります。日本語としては能動態にしたほ
  うが自然でしょうか?

翻訳者B(以下B):「受動態の外国語を日本語訳するときは、能動態を使っ
  たほうが自然」という強迫観念にかられている人がいるようですが、実は
  そんなことはありません。現に、「聖火は警察に護衛されていた」は不自
  然でしょうか?

A:言われてみると、そんなことはないですね。受動態バージョンの「聖火は
  警察に護衛されていた」も、能動態バージョンの「警察は聖火を護衛して
  いた」も、日本語としてまったく不自然な感じはしないです。でも、だか
  らといって「常にどちらでもOK」ということではないですよね。

B:はい。どちらでもOKの場合もありますが、今回の場合は受動態バージョ
  ンのほうがいいと思います。今回の課題の前の2段落はおおまかに言えば、
  「イアン・ソープ選手が聖火ランナーとしての役割を無事に果たし、護衛
  が目を光らせるなか、聖火台に火を移した」という内容になっていますよ
  ね。で、この段落はその内容を受けて始まるわけですから、「聖火」が主
  語になる受動態バージョンがより適当でしょう。(前の2段落を未読の人
  は、上記【課題文】の最後に紹介してある「原文」に行って、目を通して
  くださいね)

A:なるほど。確かに、「オーストラリア警察は聖火を護衛していた」と、警
  察を主語にして話を始めるより、「(その)聖火はオーストラリア警察に
  護衛されていた」のほうが文章の流れとして自然ですね。

B:はい、そう思います。たったこれだけの短文からでも、文法解釈をひとと
  おり終えて「翻訳」を行う際の注意点のひとつを学び取ることができまし
  たね。

A:つまり「視野を広く持ち、目の前の一文だけでなく、常に前後の文脈や文
  章全体に目と神経を配らなくてはならない」ということですね。

B:なお、「聖火は警察が護衛していた」などする方法もありますし、他にも
  いろいろな訳し方があるかと思いますので、皆さんも工夫してみてくださ
  い。

               ☆

A:mientras の訳ですが、【直訳】は「その間」、【練り訳たたき台】は
  「一方で」となっています。一見、解釈が変わったかのように見えます
  ね。

B:例えば小学館の西和辞典では、mientras+直説法の用法として、

    [同時性](+直説法・・・する)最中ずっと
    [対比] (・・・する)一方で、(一方は)(・・・する)のに

  などと、わざわざ項目を分けて載せています。これを見ると、両者はまっ
  たく異なる意味であるかのように受け取れますよね。確かに異なる場合も
  あるのですが、実際には紙一重というか、ほとんど同じ意味で捉えられる
  ことが多いように思います。

A:今回もそのケースのようですね。

B:それから、「その間」は、「そのかん」と読んでもらえれば良いのです
  が、「そのあいだ」と読まれると、ちょっと稚拙な感じがしますよね。そ
  の意味もあって「一方」のほうがよいのではないかと考え、変えてみまし
  た。

               ☆

A:ところで、mientras の節を後で訳しているようですが。

B:はい。mientras+直説法は、上で見たように、辞書ではだいたい「〜の最
  中ずっと」とか「〜する一方で」と載っているからか、たとえば

   La demanda mundial de petroleo es de 85 millones de barriles
   diarios, mientras que Estados Unidos compra 68.000 barriles
   diarios.

  のような文章を「米国が毎日68,000バレル買っている一方で、世界の石油
  需要は8500万バレルだ」のように訳してしまうケースをよく見かけます。

A:mientras の後ろを先に訳してしまうわけですね。

B:はい。でも原文では後半部分に「石油」という言葉が入っていませんか
  ら、日本語だけを読んだ人には「米国はいったい何を買うの?」という
  疑問が起きてしまいます。

A:確かに。原文は「筆者が考えた順番」で書かれているわけで、それを逆に
  訳せば問題が起きる可能性があるということですね。

B:はい。筆者としては、最初の節にこの文章のテーマである petroleo とい
  う言葉を入れ、後ろの節で省略するのは当然のことですよね。日本語でも
  よくやることです。だから原文とは逆の順序で訳すと、テーマが見えない
  まま話が進んでしまうわけです。

A:mientras 節を先に訳すなら、テーマの petroleo だけ先に持ってきて、
  「米国が毎日石油を68,000バレル買っている一方で、世界の需要は8500万
  バレルだ」などとすれば問題はなくなるのではないでしょうか?

B:確かにその方法もあります。ですが、そのような操作をするよりも、原文
  の順番で訳すのが自然で文意も通りやすいと思うんです。もちろん、
  「 mientras 以下を先に訳したほうが意味が正確に伝わる」といった場合
  は別ですが、経験上、原文の順番で訳しても問題ない場合がほとんどであ
  るように感じます。

A:そうですね。今回の場合ですと、「聖火が警察によって護衛されている一
  方で、中国人警備員は背後にとどまっていた」という流れになります。確
  かにとても自然ですね。

       ☆       ☆       ☆

ピーチ:今回1回で練り訳検討を済ませる予定だったのですが、もうこんなに
    長くなってしまいました。
アース:あと、きょうと同じくらいの解説の量が残っていますから、残り半分
    は来週にさせていただきましょうか。
ピーチ:ということは、【最終的な練り訳例】は来週分が終わってからの発表
    となりますね。
アース:そうなります。それまで皆さんも、これまでの検討部分を参考にご自
    分なりに訳文を練っておいてくださいね。
ピーチ:今回は『スペイン語実務翻訳講座』発売記念バージョンということで
    すが、この教材の内容も、ほんとうに今回のメルマガと同じくらい詳
    しいのですよね。それは、すごいなあ。
アース:ってまた他人事みたいに・・・。わたしもそう思うけど(笑)。ほん
    とうに、この教材を通してしっかりと学べば、どのレベルにある人で
    も「一段階」上がれるような気がします。人によっては二段階も三段
    階も。
ピーチ:・・・と、わたしたち自身も自信を持ってお勧めする『スペイン語実
    務翻訳講座』です。教材のほうは、いろいろな訳例も取り上げて検討
    していますので、さらに詳しく、さらに深く、さらに役立つ内容と
    なっています。
アース:教材に関する詳細・お申込みは以下です。5月13日までは「予約特典
    価格」でご提供できますので、ぜひこの機会にお求めくださいね。
アース&ピーチ:ではまた来週!

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    『スペイン語実務翻訳講座
       〜ちょくねりメソッドで確かな翻訳力をつけよう』

       ・A4サイズ・約120ページ
       ・定価4,000円(税込)
       ・2008年5月14日販売開始
       ・当面はPDFファイルでのダウンロード発売

   ■予約特典■
    5月13日までに予約していただいた方に限り、定価4,000円(税込)
    のところ3,500円にてご提供致します。

   ご予約・お申込みはこちらから
       →http://pie.vc/textbook/index.html
       ◆内容のサンプルが上記アドレスでご覧になれます◆

◆編集後記◆
アースです。
やっぱり、思い切って旅行にでも出ないとだめですね。
なにがだめかって、冒頭でピーチも言っていたけれど、GWでも
「ついつい働いてしまう」こと。家にいてPCをつけると、
ピーチの魔の手が・・いえメールが来て、すぐに返事をしてしまうし。
公私のめりはりまったくなし。でもま、楽しいからいいか。
人生楽しいのがいちばんです(能天気)。
Que sera sera〜 whatever will be, will be〜
Hasta la semana que viene!

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