« 2008年3月26日 | トップページ | 2008年4月9日 »

2008年4月2日

 スペイン語翻訳者になろう vol.070

 おはようございます、アースです。
 またわたしに何の断りもなく4月に!(ちがうって)
 はるか昔に勤め人を辞めたわたしには、4月だからといって
 何の関係もないのですが、それでもなんとなく何か新しいことを
 始めたくなります。
 でもえーと、なにをやろう?えーとえーと。
 ・・・何を始めるかはあとでゆっくり考えるとして、
 本日もさっそく本論に入っていきましょう。
 と思ったら、今号でしっかり新しいことをやってました♪。
 引き続き名古屋セミナーの参加募集も行っておりますので、
 興味のある方はぜひご覧下さいね。
 では第70号です。

 ==<もくじ>=========================
  1) Web時代の翻訳術 〜調査力を磨こう〜会話de調査(前編)〜
  2) 名古屋開催セミナーのご案内(引き続き募集中です)
 ================================

  ※スペイン語の表記:このマガジンは比較的上級者を対象としている
   ことから、基本的にアクセントおよびティルデを入れていません。
   ただし動詞など重要な部分については入れることがあります。
   例)bajo → bajo'(動詞、三人称点過去の場合)

┏━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃1│ Web時代の翻訳術 〜調査力を磨こう〜会話de調査(前編)〜
┗━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

翻訳者A(以下、A):今回は、会話形式で「調査」をお見せするという、
  新たな試みをするそうですね。
翻訳者B(以下、B):・・・するそうですね、って、そんなあなた、
  他人事みたいに・・・。そうです!するんです!
A:よし、がんばるぞ!・・・って、切り替えの早さだけが私の取り柄ですが。
  さて、今回のお題は?
B:regeneracion asistida です。
A:聞いただけじゃなんのことやら、まったく想像つきませんね。
B:だから調べるんですよ(笑)。
A:これはどういう状況でみつけた言葉でしょうか?
B:林業関係の資料を読んでいて、何度か出てきた用語なんです。今回は
  翻訳する必要のない資料だったのでとくに訳語を考えなかったのですが、
  もし訳さなくてはならない状況だったら困るな、と思って。
A:それは困りますね。Bさんだったら、調査の口火をどう切りますか?
B:と、私がどう取りかかるかを話す前に、読者の皆さんにはまずご自分で
  調査してみることをお勧めします。
A:そうですね。ご自分の調査プロセス・結果と、このあとに書く私たちの
  ものとを見比べて、どこが異なっていたか、どの方法がより効果的かなど
  を検証していただくわけですね。ではしばらく時間をとりますので、各自
  調査をどうぞ。

       ☆         ☆         ☆

B:さて、一生懸命調べた方もそうでない方も(笑)、ここからは私たちの
  調査プロセスをご覧ください。
  私ならまず、スペイン語で検索をかけますね。すでに皆さんご存知と
  思いますが、regeneracion asistida 全体を“ ”でくくって(つまり、
  “regeneracion asistida”の形で)検索をかければ、この表現が
  ひとかたまりとなって使用されている例がでてきます。
A:Google検索の結果、ヒット数はわずか145件でした。
B:ということは、専門用語ではないのかもしれません。定型の訳語が
  見つからない可能性も高いですね。
A:つまり、「定訳」がないってことですよね。たとえば bateria solar
  ならば、「太陽のバッテリー」ではなく、「太陽電池」という、日本で
  一般的に通用する言い回し(一種の定訳)があるけれども、regeneracion
  asistida にはそういう定訳がない可能性が高い、と。
B:はい。とくに asistida なんて訳しにくそうなものがついていますから、
  その可能性はかなり高そうです。
A:そういう見通しを立てることも重要ですね。「日本語の定訳、しかも
  漢語の状態の定訳が必ずあるはずだ」という先入観で調査すると、途方も
  なく時間がかかるうえに何も見つからないか、あるいはとんでもない
  答えに行き着いてしまう可能性があるので、注意したいものです。
B:ともかく、めげずに検索結果を概観してみましょうか。

A:数が少ないので、めぼしいものをざっと見るのはそんなに大変ではない
  ですね。ええと、まずは林業ということですから、regeneracion は
  なんとなく「(森林などの)再生」のことかなというイメージがわきます。
  で、asistidaだから、「助けられた再生」?・・・う〜ん、これでは
  わけがわかりませんね。
  とはいえ、ひとまず「再生」というキーワードを頭に入れて検索結果を
  見たところでは、いわゆる植生の「自然再生」ではなく、「人の手を
  少しだけ借りた再生」ということのような気がしました。
  代表的なものとして、

  La regeneracion asistida consiste basicamente en habilitar
  la regeneracion natural del bosque en las tierras denudadas.

  という説明がありまして、これを見ただけでも、なんとなく「人の手を
  借りた再生」という印象が強いです。
B:そうですね。スペイン語で調べるとだいたい皆、似たような説明に
  なっていますので、裏を取る意味で、今度は英語で調べてみましょうか。
  regeneracion asistida を英語にそのまま置き換えると assisted
  regenerationになるだろうとあたりをつけて、検索。
A:おお、さすが英語だ!3000件近くヒットしました。でも、これらすべてに
  「assisted regenerationとはなんぞや」という説明がされているわけ
  ではないですから、この状態のまま検索結果を見ていくのは時間の
  無駄ですね。
B:そうですね。そこで、てっとりばやく説明を登場させるテクが・・・?
A:glossary!
B:その通りです。glossary とは「用語解説」「用語辞典」などの意味で、
  glossary という言葉と調べたい語を一緒に検索することで、その語の
  意味を何らかの形で解説してくれているページに行きあたるという
  わけです。
A:私たち、『スペイン語経済ビジネス用語辞典』を執筆する中で、
  このテクを使いまくりましたよね。もちろん、検索にひっかかる
  すべてのページの説明が正しいわけではないので、信頼できるものを
  見極める目を持つことも大事です。
B:dictionary などと一緒に検索するのも効果的ですね。もちろん、
  スペイン語での説明が欲しければ、diccionario や glosario とともに
  検索します。

A:ということで、

  “assisted regeneration” glossary (glossaryの前に必ずスペース)

  で検索してみると、

  Bush regeneration means the rehabilitation of bushland from a
  weed-infested or otherwise degraded plant community to a healthy
  community composed of native species. Natural regeneration relies
  on natural germination and resprouting of plants, and focuses on
  weed removal, management of disturbance and the maintenance of
  natural processes. It does not normally include replanting of
  vegetation. Assisted regeneration uses natural regeneration,
  but also includes intervention actions such as site replanting
  with locally indigenous seed or plant material derived from the
  locality (or other similar plant communities to that occurring
  on the site), or controlled management of disturbance.
  http://incp.environment.act.gov.au/planningframework/Part8.pdf
  (PDFです)

  とか、

  Vegetation replacement methods may include hand sowing, direct
  seeding, tube planting, hand or machine assisted planting of
  seedlings, planting of divisions, transplanting, assisted
  regeneration and natural regeneration.
  http://tinyurl.com/3x6lan

  とかがありましたので、私たちの仮説(植生の「自然再生」ではなく、
  「人の手を少しだけ借りた再生」)がほぼ正しいようだということが
  わかります。
B:ただ、ここでよしとしてしまうのはちょっと危険ですね。なぜなら、
  regeneracion asistida=assisted regeneration と確実にいえるのか、
  まだわからないわけですから。
A:そうです。どんなにスペイン語と英語が似ていても、それだけの
  根拠では両者が対応しているとは断言できないわけですから、必ず
  裏をとらなければなりません。Googleの検索結果の最初の方に、
  FAO(国連食糧農業機関)のHP

   

http://www.fao.org/docrep/x3989s/x3989s05.htm

  が出てきます。こういった国際機関のHPには必ずといっていいほど
  英語ページがありますので、対応するページを探してみると、
  果たしてありました!

  

http://www.fao.org/docrep/x3989e/x3989e05.htm

  スペイン語ページと英語ページがちゃんと対応しているようなので、
  regeneracion asistida=assisted regeneration だと考えて
  間違いないでしょう。
B:ああ、よかった。FAOがそう言っているなら安心ですよね。
A:安心するのはまだ早い(笑)。最大の難関はここからですよ〜。
B:でも、すでにずいぶん長くなってしまったので、今回はここまでに
  しましょう。ここまででも、ぜひご自分で実際に検索してみて
  くださいね。人がやった調査の結果をただ見るのと、実際にやるのと
  ではまったく違いますので。
A:そうですね。ではまた来週!

┏━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃2│ 名古屋開催セミナーのご案内(引き続き募集中です)
┗━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

先日からお知らせしております名古屋開催の翻訳セミナーのご案内です。

今年5月31日(土)、名古屋市にて、「スペイン語翻訳力UPセミナー」を
開催いたします。今回は自身も地方出身・地方在住の翻訳者である
アースが、これまで東京で行ってきたものと同レベルの高品質な講座を
お届け致します。

すでに名古屋や愛知県内のみならず、他府県からのお申し込みも
いただいております。これまでセミナーの類いを経験したことがない
けど大丈夫?とご心配の方でも、安心して参加していただける雰囲気に
したいと思っています。この機会にぜひご参加下さいね。

 ※詳細はこちら
     →http://www.pie.vc/course/index.html

          ★☆ セミナー概要 ☆★

   『 ス ペ イ ン 語 翻 訳 力 UP セ ミ ナ ー in Nagoya 』

  実務翻訳では必要不可欠な「インターネット調査術」と、正確で読み
  やすい「商品としての訳文」を作るための翻訳術を学ぶセミナーです。
  実際にネットに接続しての「検索実演」や、事前課題を用いた訳文の
  細かい検討など、生の講義ならではの体験を存分にしてください。

  これまでのアース&ピーチ企画のセミナーに出席していただいた方か
  らは、「こんなに充実した講座は初めて」「実践的で非常に役に立っ
  た」から、「時間が短すぎる」との苦情(?)まで、大好評をいただい
  ています。「現場で通用する翻訳力」を鍛えるというただその一点に
  注力した私たちの講座に、あなたも参加してみませんか?

   開催日時: 2008年5月31日(土) 13:30 〜 16:30
   場所  : 名古屋国際センター(名古屋駅から徒歩約7分・
         地下鉄桜通線「国際センター」駅すぐ)
   申込締切: 2008年4月20日
   対象者 : 実務翻訳者を目指している方、インターネットを用いた
         翻訳調査スキルを極めたい方、自然な訳文が作れるよう
         になりたい方など。

     ◆当日のセミナーに加え、事前提出課題があります。
     ◆定員を超える場合は、先着順とさせていただきます。

   詳細・お申し込みはこちら→http://www.pie.vc/course/index.html

   ※前回までのセミナーの様子はこちらでご覧になれます。
     →http://www.pie.vc/report/course_report01.html(7月)
     →http://www.pie.vc/report/course_report02.html(11月)

◆編集後記◆
ピーチです。
遊んでくれくれくれ〜と執拗に迫ってくる生き物の猛撃をかわしながら、
これを書いております。
ちょっと静かになったかと思うと、食卓の椅子の背に上って、椅子もろとも
ひっくり返り、大泣き。泣きたいのはこちらで諏訪よ、ほんとに。
ということで、今回はこれにて失礼させていただきます。
花粉症の皆さま、何とかこの季節をお元気で乗り切ってくださいね
(わたしは花粉症ではありませんが)。

|
|

« 2008年3月26日 | トップページ | 2008年4月9日 »