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2007年5月7日

 スペイン語翻訳者になろう vol.003

     ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

       スペイン語翻訳者になるのに何が必要?
         才能?コネ?学歴?留学経験?
               いいえ。
         「絶対になる!」という信念と
            的を射た努力だけ。

         現役の実務翻訳者である私たちが
        あなたの夢の実現のお手伝いをします。

     ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 GW,いかがでしたか?
 楽しい思い出、できましたでしょうか?
 自分(ピーチ)は風邪をひき、なにもかも億劫で、どんどんすさんでいく
 家の中でじっとしていると、心まですさみそうでした(笑)。

 「出したらしまう、これができれば家はいつも綺麗♪〜」
 とよく言われますが、「出す」のは面倒でないのに、「しまう」のは
 何故かくも面倒なのか?

 この謎を解明し、解決策を提示してくれる革命的な研究は
 ないのであろうか? ないならば誰か手がけてくれないだろうか?

 ・・・などと阿呆なことを考えているうちに、
 GWが終わってしまいました。

 では、気を取り直して、第3号です!

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  ==<もくじ>=======================
    1) 出版翻訳と実務翻訳の違い その3
    2) きょうのキーワード
    3) 実際に訳してみよう
    4) ピーチのメタボリック雑記
  ==============================

  ※スペイン語の表記:このマガジンは比較的上級者を対象としている
   ことから、基本的にアクセントおよびティルデを入れていません。
   ただし動詞など重要な部分については入れることがあります。
   例)bajo → bajo'(動詞、三人称点過去の場合)


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┃1│ 出版翻訳と実務翻訳の違い その3
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前回は、実務翻訳の「訳し方」の特徴について、

その1:発行される媒体にふさわしい文体にする
その2:とにかく正確に!「これくらい、いいじゃん!」はだめ

ということをお話ししました。きょうは最後の2点についてです。
念のため、もう一度原文と試訳を挙げておきましょう。

La tabaquera japonesa Japan Tobacco completo' hoy la compra de
la britanica Gallaher, en la mayor adquisicion empresarial de
la historia realizada por una compania nipona y que la consolida
como el tercer coloso mundial del sector.

A)日本のタバコ屋さんの日本たばこ産業が、イギリスのタバコ屋さんの
  ギャラハーを買いました。日本のお店としてはすごく大きなお買い物
  でした。このお買い物で日本たばこ産業は、世界で3番目に大きな巨
  人になりました。

B)日本たばこ産業が本日、イギリスのタバコ企業ギャラハーの買収を完
  了した。日本企業が行った企業買収としては過去最大のもので、これ
  により日本たばこ産業は、世界のタバコ産業で第3位の地位を固めた。

で、Bが実務翻訳としてふさわしいのでしたね。ではなぜAではだめ
なのか、その続きです。

その3:専門用語を使っていない
Aの訳では、completo' compra を「買いました」、adquisicion を
「買い物」としていますね。しかしここでは両方とも、経済の専門用語
である「買収」という言葉を使うべきでした。

自分の判断で専門用語を別の言葉で言い換えたりすると、
通じるものも通じなくなってしまいます。

その4:訳語の統一が取れていない
その3とも通じる話ですが、実務翻訳では compra も adquisicion も
「買収」というひとつの言葉に統一しなければなりません
(もちろんこの文脈で、の話です)。

小説の翻訳なら、「compra はお買い物で、adquisicion は購入に
しようかな」などと工夫するところですけれども、ここも実務では、
同じ意味で使われている言葉には同じ日本語を当てはめます。

スペイン語は言い換えを好む言語であるということは、おそらく皆さんも
感じていることと思います。この compra と adquisicion も、同じ「買収」
という意味で使っているのですが、わざわざ言い換えていますね。

出版翻訳では、「言い換え」を楽しむのもいいかもしれません。
しかし日本の報道文や法律文では、同じ意味の言葉は常に同じいい方を
するのが普通ですし、読者もそれに慣れていますから、
翻訳文もそうしなければなりません。

このテーマではどうも、実務翻訳のストイックな点ばかり強調して
しまいましたが、本当のところそうなので仕方ありません…。
表現をまったく自由に工夫するのも楽しいですが、一定の枠内で
どれだけわかりやすい訳文が作れるかに挑戦するのもなかなか
楽しいものです。

そして「かっちょいい〜!」訳文ができたときは、
ひとりムフフと笑ってみたりして。ムフフ。

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┃2│きょうのキーワード 【facilitar】
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実にいろんな文脈で使われる語ですので、訳出に迷うこともある
と思いますが、核となる意味は

 「(なにかの実行を)簡単にする」
 「(役に立つモノやサービスを)提供する」

の2つ。あとは文脈に「より適した」訳語をあてはめるだけです。

 「・・だけ、といわれてもそれが難しいのよ〜」
 「むずかしーんだよー」
 「難しいのじゃ〜」

と輪唱が聞こえてくるような・・・。そ、そうですよね。
では、「実際に訳してみよう」コーナーで練習してみましょう。

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┃3│実際に訳してみよう
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◇本日の課題

Este programa esta' destinado a contribuir al desarrollo economico y
social de Argelia, promover las relaciones economicas entre Espana y
Argelia, y facilitar la exportacion de las empresas espanolas a dicho
pais.

【直訳】
このプログラムはアルジェリアの経済的社会的開発に貢献すること、
スペイン・アルジェリア間の経済関係を促進すること、スペイン企業の
アルジェリアへの輸出を容易にすることに向けられている。

この直訳では facilitar を「(輸出を)容易にする」としてみましたが、
「(輸出に)便宜を図る」でもOKです。

この直訳でも西文和訳の試験ならば合格点をあげられますが、翻訳としては
まだ少しぎこちない?

【練り訳】
このプログラムの目的は、アルジェリアの経済・社会開発への貢献、
スペイン・アルジェリア間の経済関係の活性化、そしてスペイン企業に
よるアルジェリアへの輸出の促進である。

練り訳では「促進」としてみました。

便宜を図ってもらえば輸出は増える(輸出活動が促進される)と考えるのが
自然ですから、大筋は正しいのですが、若干きれい(?)にまとめすぎたかな
という気もします。

もし、facilitar の語感を十分に生かした良い訳文を思いつかれた方が
いらしたら、ぜひ教えてください。

※「練り訳」とは私たちの造語で、直訳を練って作った
 「翻訳として商品価値のある訳文」のことです。

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┃4│ピーチのメタボリック雑記
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爪が割れやすいといったら、「女優さんのおもいっきり手袋」なるものを勧め
られた(「どの面下げて女優手袋だよ?」と思った人、でこピン!)

メッシュの網目になっているナイロン製の手袋で、爪を保護すべく、指先だけ
ジョーゼットが二重になっている。
炊事のみならず、シャンプーや洗顔、犬や猫を洗う際にも使えるらしい
(爪の保護以外に、顔やペットなど洗う対象物を爪から守る意味も
あるのですね)。

こうやって爪を守ってくれる手袋。
「なんて親切!なんて画期的!」
そう思って使い出したが、すぐに使わなくなってしまった。

その理由は、「いったん濡らすと、着脱が面倒だから」。

どんなに優秀なものでも、ちょっと便利じゃない点が見えると使わなくなって
しまうのだなあ・・・

使ってもらえるためにはなにより「便利」でなくてはだめなのね。

これは、翻訳者にもあてはまる。

翻訳者は通訳者同様、技術職というよりサービス業だと考えるのが、おそらく
正しい。
クライアントにとって、翻訳会社にとって、「便利」な存在にならなければ、
使い続けてはもらえない。
それは翻訳者のみならず、あらゆる職業に言えることなのだろうけれど。

会社員時代、自分にはこの辺の自覚がまるでなかった。
今思うと、会社にとってかつての自分は、どうしようもなく「不便」な存在
だったのだろうなあ・・・と、台所の片隅でクッタリ横たわる「女優さんのお
もいっきり手袋」を見ながら、思うのです。


◆編集後記◆
アースです。は〜。結局、今年のGWも、まるっと1日休むことなしに
終わってしまいました。経済辞書の制作が佳境に入った2004年秋
くらいから、「暇さえあれば机にへばりつく」習慣がついてしまった
みたい・・・。みなさん、休めるときには休みましょう!!!

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